休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

映画『CLOSE クロース』

20240514(了)

映画『CLOSE クロース』

 監督;ルーカス・ドン
 2022年製作/104分/ベルキー・オランダ・仏合作/原題:Close
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 <★★★△>

12才の美少年二人が非常に親しい。接触はしないんだが、近い。
それがこのタイトルなんだろう。親友以上みたいだが、その年で恋人というわ
けでもないから、まあ恋人以下。「兄弟」は違うね、兄弟はこんなにCLOSEじ
ゃないと思う。互いにお泊りをやりあっている。卑猥なんかじゃないんだが、

かといって、観るほう(ワタシのことですが)は「そんな見方」を無視は出来

なかった。

‘微妙な距離感’なんて表現はかえってヘンかも。
 
詳しくは表現されないが、どういう学校の制度か自分の小さいころの教育とは
まるで違って、引っかかるところもあるので、少し気になりましたね。わから
ないから。でも時代が違うし、理知の勝ったお国柄のイメージもあって、まあ
ちゃんとしたものなんでしょう・・・
新学期が始まってから終わるまでの一年を描く。二人はクラスも同じ。自転車
で登校するのも同じ。ほとんど一緒にいるのも同じ。
金髪のレオ君は相棒といないときは、家の農業(花)の手伝い。クラブ活動に
興味を持っている。特にアイスホッケーはこの後度々描かれる。
黒髪のレミ君の両親は共に勤め人で、レミ君の課外はオーボエをやっているこ
とぐらいしかわからない。
 
ある時、クラスの仲間から二人の関係は「つきあっている」状態なのかという
問われかたをされたことから、金髪のレオ君は二人がCLOSEな状態でいること
に居心地悪く感じ始めてしまい、それがレミ君を避けたり遠ざけたりすること
になってまう。黒髪のレミ君のほうはこっぴどいショック。二人のぎくしゃく
がひどくなり、喧嘩に発展し、二人はついに疎遠になってしまう。
ところがある時、レミ君が「いなくなる」という表現で死んでしまったことが
わかる。どのように死んだのかは最後までわからない。
ここまでが前半。
 
後半は、レオ君とレミ君の両親が、レミ君の死をどのように受け入れてゆくか
が、ゆっくりゆっくり、そして優しく描かれてゆく。
もちろんというべきか、メインで描かれるのはレオ君で、日常の様々な物事に
感情を押し殺しながら気丈に対処してゆく感じが辛そうではあるものの、どこ
か観る者の感情移入を拒むような感じもある。
(ネタバレしちゃってるようなものですね、ゴメンナサイ)
 
レオ君の振り返った顔で、彼の波乱の一年も映画も終わります。
二人のCLOSE加減がタイトルなんだろうが、カメラも相当CLOSEでしたね。
少年二人がとても美しいので、それでいいんでしょうが、あんまり大写しが多
いのもなんだかシンドかった。
大きな賞を獲ったのは、映像の美しさも預かってのことじゃないでしょうか。
ただ、始めにも書いたように、ある種のエロティシズムからは、自由になれま
せんでした。(当たり前だろ!というかたもおられようが、、、ワタシはまあ
これぐらいの表現しかできません)
 
言葉がフランス語っぽいので、ベルギーだろうと見当をつけてもたところ、ど
うやら当たっていたようでした。
音楽は、レミ君奏するオーボエ入りの室内オケものも含め、あたりさわりのな
いおとなしい劇伴でした。こういうの、主張を強く出せないから、センスや持
ち味を出すのは難しい。無難なものはいくらでも付けられそうだけど。