休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

映画『カードカウンター』

20240508(了)

THE CARD COUNTER

 ポール・シュレイダー監督/オスカー・アイザック/タイ・シェリダン/
           ティファニー・ハディッシュ/ウィレム・デフォー

 2021年製作/112分/米・英・中国・スウェーデン合作

   /原題:The Card Counter/DVDレンタル
 <★★★☆>

はじめっから映像にとても力が感じられる作品。
ウィリアム・テル(正しくはティリッチ)は、捕虜収容所で上官の影響から特
殊任務に就いていたが、そこで(強制されて?)起こした残虐行為で監獄入り。
ところが、監獄にいることが意外なことに自分に合って、生き生き生活し様々
「学習」。そこで覚えたカードゲームを、出てからは生業にして国じゅうのカ
ジノを渡り歩く。実力はあるものの、有名にはならぬよう気を付けている。抑

え込んではいても、過去の任務によるトラウマや贖罪の念に往々とらわれてい

る。それと、かなり異常な潔癖症

このトラウマのもとは、今では正当視されることのほぼないイラク戦争だ。
 
ある時出逢った若者に感じるものがあって、一緒に行動するよう提案し、受け
入れられるが、それをきっかけとして、贖罪と復讐の念をむける先、つまり、
カジノの渡り歩きには一定の意義、目的が付与される・・・
もう一人のキャラとしては、このギャンブラーと顔見知りの黒人女性がいて、
彼の行動に興味を持ち始め、なぜかカジノにおいてだけの仲間という存在にな
る。さてさてどうなってゆくのか、というお話。

ストーリーとしては、なるほどと思わせるものの、そのきっかけや引き金に関
する偶然性あたりには引っかかりましたけどね、テルの思いつめた目つきがポ

ーカーフェイス、カードゲーム・フェイス(?)にも通じて、そのまんま押し

切られてしまいました。

戦争批判や社会問題に物申すようなものではなく、あくまでこの男の、経験に
よるらしい性格や感受性の興味深さが主であるように思われました。ここでの

隠れた問題というものがあるとしても、戦争を知らない日本人にはわかりにく

いものなのかもしれない。

カードゲームのシーンがまあまあ面白かった。ルールは、(ブラックジャック
だったか)はじめに説明してくれるんですが、ワタシまったくわかりませんで、
知っていたらもっと面白かったに違いありません。

深読みの必要はないとは言えないかもしれませんが、十分集中させられ、楽し

みました。

例えばマージャンなら随分やってルールもわかっていましたね。そんな学生時
代には『麻雀放浪記』(朝だ、徹夜だ!)は、仲間と回し読みして全巻大いに
楽しみましたっけ。もっとも、卒業後、そんな仲間だった一人が、マージャン
がもとで死ぬことになってしまった。現実です。ギャンブルがメインのものに
出くわすと、よく思い出します・・・ オスカー・アイザックの醒めた目つき、

あるいは死んだような目つきは「ギャンブラーの感じ」がよく出ていたように

思います。

 
音楽は、あちこちで聞こえるタメ息のような音がアイデアなんでしょうが、あ

れでいいんでしょうかねぇ。違和感が湧いて邪魔っけで、ワタシにはつまらな

かった。