落穂拾いなんかじゃない!
20240420(了) |
RELEASE ME 2/STREISAND
① Be Aware |
(Burt Bacharach/Hal David) 1971 |
② You Light Up My Life |
(Carole King) 1974 |
③ I'd Want It to Be You (Duet with Willie Nelson) |
(Steve Dorff/Jay Landers/Bobby Tomberlin) 2014 |
④ Sweet Forgiveness |
(Walter Afanasieff/John Bettis) 1994 |
⑤ Living Without You |
(Randy Newman) 1971 |
⑥ One Day (A Prayer) |
(Michel Legrand/Alan Bergman/Marilyn Bergman) 1968 |
⑦ Rainbow Connection (Duet with Kermit the Frog) |
(Paul Williams/Kenny Ascher) 1979 |
⑧ Right As the Rain |
(Harold Arlen/E.Y.“Yip” Harburg) 1962 |
⑨ If Only You Were Mine (With Barry Gibb) |
(Barry Gibb/Ashely Gibb/Stephen Gibb) 2005 |
⑩ Once You've Been in Love |
(Michel Legrand/Alan Bergman/Marilyn Bergman) 1973 |
CD/ヴォーカル/Ⓟ&Ⓒ 2021 Columbia Records |
<★★★★☆> |
バーブラ・ストライザンドは1942年4月24日生まれなので、ただいま現在、 |
82才。 |
ワタシがファンになったのは地方都市でミュージカル映画『ファニー・ガ |
ール』を観てからだから、もう54-5年ですかぁ。ずいぶんたったもんだ。 |
「リリース・ミー」の始めのものが出たのが2012年。ワタシが聴いた |
のが2022年2月。感想文、ちゃんと書いてます。★は同じ。まあ当然 です。 |
同じこと書きますけどね、この10曲がお蔵入りしていたなんて、信じら |
れない。といっても、誰でも出来がいいからって出せるものじゃない。出 |
せるのは大立者である彼女だからで、そうでなきゃあ、まず出してもらえ |
たりなんかしない。 |
名だたる作曲家作詞家のものが並んでいるようで、大半知っています。 ①のバカラックでいきなり引っ張り込まれます。絶品! |
③のウィリー・ネルソンとのデュエットもすばらしいが、バーブラ自身の |
歌唱など臭み極少なのに感涙もの・・・ これが中では飛びぬけて新しい 歌声。 |
⑤とマリオネットか漫画系のキャラ(蛙のカーミットとかいう奇妙な声) |
とのデュエットの⑦は、「女の子」として・・・。 |
などなど曲ごとに書いてもいいかなと、一旦は思ったのですが、やめてお |
きます。全部、すばらしい。 |
特色は・・・例えば、鼻につくぐらいドラマチックな演出を施して歌い上 |
げたり、あちこちにくどい装飾音を入れ込んだりすることが多い彼女だけ |
れど、ここではそれらがかなり少ないことかしらん。 |
鼻につく演出や装飾音が苦手で、バーブラを好きになれなかったというか |
たは、案外いいじゃないか、なんて思うかもしれない。 |
ワタシも、装飾音は好きじゃない場合もありました。 |
でも星の数が多いのは、なんといっても大好きな「高音」がちゃんと出て |
いることも大きいかもしれない。張り上げようが、弱音だろうが(気持ち |
も音程も実に丁寧)、もともとどちらも大好きなのですけどね。 |
ひょっとするとだけれど、そういった「表現」が彼女としてはちゃんと盛 |
り込めなかった、表現しきれなかったという思いがあったのも、お蔵にな |
った小さくない理由だったのではないか、なんて今さら勘繰ってしまいま した。 |
こんなところです。 |
⑧は1962年!さすがに声が若い。較べると変わっていったことがよく |
わかります。既にものすごく上手いですが・・・ |
そうそう、もともと臭い歌い方だとよく言われていた彼女の歌い方、ワタ |
シには、表声と裏声の境目についてはよくわからなかった。今回のアルバ |
ムでも、やっぱりどれもそう。実にうまく繋いでいる。(あるいはそうい う繋ぎはもともとないのかな) |
お好きな方が多いでしょうから恐縮なんですが、人気のある臭い歌い方の |
歌手だと、オペラのマリア・カラスとか、歌謡曲だと美空ひばりなどは、 |
繋ぎ目がよくわかる歌い方で、(それだけがというのでもありませんが) |
苦手でした。お二人の歌は今でも出来れば聴かないで済ませてますねぇ。 |
カラス、ここで苦手と言っているのは、主に年配になってからの彼女。 |
どうでもいいことですが、太らないためにお腹にサナダ虫を飼っていた |
という噂を昔聞いたことがありましたが、どうだったんですかねぇ。 |
カラスが主役のパゾリーニの『王女メディア』という(オペラでなく) |
映画を大学生の頃に観て、ひどくつまらなかった記憶がありますが、同 |
じ学生時代、ストライザンドの『ファニー・ガール』のほうは何度くり 返して観た(≒聴いた)ことか。 |
たくさんあったバーブラのLPも今はなし・・・ |
今更買い集める気はありません。(CDは少しだけあります) |
落穂拾いふうな(決してそうじゃありません)アルバム2枚に代表させる |
ような歌手じゃないのはわかり切った話ですが、この2枚、出さないで終 |
わせることにならなくて、本当によかった。実際、初めて聴けたわけです |
し。言語矛盾ふうで妙な感じですが、お蔵だった曲を並べ直した(だけの) |
2枚の「リリース・ミー」はオリジナルに負けない傑作「アルバム」にな |
りました。そして・・・本作「2」はネットでは先のものより評価が低い |
ようでしたが、実は出来は逆だとワタシは思います。 |