休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

『パリタクシー』

20251017(了)

映画『パリタクシー』

  クリスチャン・カリオン監督/リーヌ・ルノーダニー・ブーン
  音楽;フィリップ・ロンビ
  2022年製作/91分/フランス/原題:Une belle course/DVDレンタル
  <★★★★>

一人は金策に疲れ果てる一歩手前の中年の個人タクシーの運転手。点数もう
ほとんどない。免停寸前。(点数の感じが日本のと似てたんちゃう?)
髭が伸び加減のオッサン(シャルル)。46歳と言ってたっけ。
今一人は家を処分し、老人ホームに入ろうとしている92歳の老婆(マドレー
ヌ)。この二人の1日にも満たない偶然の出会いを描いていました。とてもシ
ンプルなお話。最後にはちょっと泣かされてしまいました。
 
シャルルは四六時中金策の電話をかけている感じ。事情はよく分からないが、
事情を知っている人が、お金になるからとマドレーヌを紹介してくれ、断ら
ずに受けて、パリの端から端まで行くことになる。目的地は「ホーム」。「終
活」やね。マドレーヌが、今客にはとんと興味がないため無口なシャルルに、
彼女が人生を打ち明け始め、シャルルもどんどん引き込まれ、感情移入して
ゆく。実は彼女がけっこう知られた女性だったわけですが、そんなことはと
もかく、一連の話には強烈なインパクトがあった。
16-7歳のころ、アメリカの進駐軍の若い男との恋の結果、子供ができ、その
後フランス人労働者と結婚したが、DVに苦しめられる。5年後ついに切れて
夫に仕返ししてしまう。ところが、1950年台のフランスは女性の地位が低く
蔑視があったため、情状酌量など一切ないひどい裁判でもって長い禁固刑を
受けてしまう・・・云々(て、書き過ぎかな)。
 
彼女のパリにおける歴史をたどるような寄り道をしつつ、この二人の距離が
どんどん縮まっていく。すっかり変わってしまったパリ・・・。
シャルルも質問を受ける形で自分の事情を喋りはするんだけれど、彼女の大
変さを思えば金策どころじゃなくなってゆく。(ああこんな大変な人生があ
るんだなぁと)一呼吸ついて、人間らしさを取り戻すがごとし。観ているこ
っちもそうなっちゃうのね。しまいにゃ二人してレストランで食事をしたり
して、日はとっぷり暮れてしまう。
 
101万ユーロという金額が出てきます。ピンときませんでした。1ユーロが
175円ぐらいだから、1767万円ですか。フーン。
 
古臭い作りの作品だとは思いますが、ちゃんと人ひとりを描けば、感情は動
いちゃいます。こういうのも、いつまでたってもエンタテインメントです。
もっとも、92歳といったら、認知症にならないでいるのは、なかなか難しい
ってことを思わずにはおれなかった面はあります。その年齢の癌なら進行は
(部位によりけりとはいえ)ゆっくりしたものでしょうが。

           (メモした翌日の夕刊)