休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

Brass Septet Music, Vol. 3   ロシア音楽編 (Septura)

見事な編曲、見事な演奏 ブラスの醍醐味

20220408(了)

金管七重奏のための音楽集 3 

 - ショスタコーヴィチプロコフィエフスクリャービンラフマニノフ(セプトゥーラ)

ドミートリー・ショスタコーヴィチ - Dmitry Shostakovich (1906-1975)

弦楽四重奏曲第8番 ハ短調 Op. 110 (S. コックス、M. ナイトによる金管七重奏編)
 ①-⑤ 22:21

セルゲイ・プロコフィエフ - Sergey Prokofiev (1891-1953)

ピアノのための10の小品 Op. 12 (抜粋)(S. コックスによる金管七重奏編)
 ⑥-⑨ 10:22
組曲「3つのオレンジへ恋」 Op. 33bis - 第2曲 行進曲(S. コックスによる金管七重奏編)

 ⑩ 1:44

アレクサンドル・スクリャービン - Alexander Scriabin (1872-1915)

⑪6つの前奏曲 Op. 13 - 第1番 ハ長調(マエストーソ)(M. ナイトによる金管七重奏編)
⑫3つの前奏曲 Op. 35 - 第3番 ハ長調スケルツォ)(M. ナイトによる金管七重奏編)
4つの前奏曲 Op. 31 (抜粋)(M. ナイトによる金管七重奏編)
 ⑬No. 4 in A-Flat: Lento
 ⑭No. 2 in F-Sharp Minor: Con stravaganza
⑮5つの前奏曲 Op. 16 - 第4番 変ホ長調(レント)(M. ナイトによる金管七重奏編)
24の前奏曲 Op. 11 - 第6番 ロ短調アレグロ)(M. ナイトによる金管七重奏編)
  ⑪-⑯7:54

セルゲイ・ラフマニノフ - Sergey Rachmaninov (1873-1943)

14の歌 Op. 34 - 第14曲 ヴォカリーズ ホ短調(S. コックスによる金管七重奏編)
  ⑰ 5:59
6つの小品 Op. 11 から「4つの小品」(S. コックスによる金管七重奏編)
   ⑱-㉑ 17:19

   

   編曲と演奏;セプトゥーラ

   録音: 5-7 December 2014, St Paul's Church, New Southgate, London, UK
   CD/室内楽(ブラスアンサンブル)/Ⓟ&ⓒ 2015 Naxos Rights US.Inc./輸入
   <★★★★>

いま、ロシアものというだけで、演奏会なんかでは、風当たりが強いかもしれ
ないなぁ。どうなんだろう・・・
聴く側が意識しているはずだから、と、主催者や演奏家のほうが、過剰反応し
て取り下げちゃうんだろう、となんとなく想像したりしています。あるいはそ
の逆か。
 (アップする今、予想通りになっている。日本だけじゃない。)
 
<アルバム紹介文>  第1集ではメンデルスゾーンシューマンなどロマン派の作
 品、そして第2集ではバロック・オペラの名曲の数々を新たな装いで聴かせた
 金管アンサンブル「セプトゥーラ」。第3集ではなんとロシアの作品集に挑戦
 です。冒頭のショスタコーヴィチから炸裂するお馴染みの音形「D-S(Es)-C-H」
 が何とも印象的で、本来なら皮肉と哀しみに彩られているはずのこの作品が、
 何となく華やかに聴こえるのが面白いところです。他にはプロコフィエフの初
 期の作品や、スクリャービンの先鋭的な作品と、ラフマニノフの憂鬱な感情を
 讃えた作品など、今回のアルバムにおいての彼らは、これまでよりも更に豊か
 な響きを追求しているようです。もちろん編曲も見事で、まるでこれらの作品
 がオリジナルであるかのような存在感を放っています・・・
 ・・・この見事なアンサンブルには感嘆するほかありません。
 
 
上掲は明らかに宣伝、惹句なんだけど・・・
これまでこのグループのアルバム、3枚ほど聴いてきましたが、今度のはすごい。

ブラス・アンサンブルへの編曲ものがこんなにピッタリくるとは想像出来なかっ

た。

 

ショスタコーヴィチ①-⑤

弦楽合奏版(=室内交響曲版)というのでも聴いたことがありますが、ショスタ
コーヴィチという作曲家は暗い曲が書ける。思うに、ホントに暗い曲が書ける作
曲家って、なかなかいないんですよね。国威発揚にそぐわないとか国の芸術に関
する方針に背くとか言われて修正を迫られるのみならず、そもそもそんなもの書
いたって普通、売れないんだもの。
で、この曲も暗さや諦念があり、何より怒りが強い。政治的な主張かな。戦争や
軍靴の音はないけどね。そしてこれが弦楽クァルテットや弦楽合奏で演られると、
暗いだけでなく、ひどく神経に触るイライラ感ヒリヒリ感なども伴わせられる。
繰り返して聴くのはシンドイ。
それがどうだろう、このブラスへのアレンジ版では、イライラ感、神経質感がな
いのね。むしろ骨太な音楽に様変わりして、書いた人の意図とはいささか違って
しまったかもしれないが、ある種堂々と(政治的?)主張をしているみたいだし、
民謡調は少なくなった気がするものの、ロシア人の感性と思しき強靭さみたいな
もの(≒凄味)も期せずして出て来ちゃった気がする。録音も見事なものだから
でしょうか、ちゃんと美しさも伝わる。
 

プロコフィエフ⑥-⑨&⑩

ピアノ独奏曲にも有名なものがあるプロコフィエフだけれど、協奏曲しか知ら
ない。こんなものなんです。
で、⑥-⑨。ショスタコーヴィチとはがらーっと雰囲気が変わって、暗さがない。
ついでに民族色も殆ど感じない。ショスタコーヴィチといい対比。
⑩は人気取り用の選曲二つのうちの一つ。
 

スクリャービン⑪-⑯

前奏曲6曲で8分弱なので、一つ一つはうんと短い。
でも、仄暗い曲の多いスクリャービンにしてはなんとなく・・・ウーン、粋な感
じに仕上がった編曲。これはこれでグッド。
 

ラフマニノフ⑰&⑱-㉑

ヴォカリーズ⑰は⑩と共にボーナストラックやね。
そして、意外と言ってはヘンかもしれないんだけれど、4つの小品がいずれもい
かにもロシアっぽく感じました。⑱の「ロシアの主題」だけでなく、⑲「スケル
ツォ」、⑳「ロマンス」、㉑「栄光あれ」も皆。㉑なんて「展覧会の絵」の「キ

エフの大門」にちょっと似てない?ああ、もうキーウという表記になるんだ、

「キーウの大門」なんて、ピンとこない)

 
各作曲家たちも、このアレンジを聴いたら、さぞビックリすることでしょうなぁ。

このブラスでドイツのロマン派の音楽も聴いてみたくなりました。ワタシとして

はちょっと珍しい。

 

  見事なアレンジまでやってのけているこのグループ、英国の5つ6つの

  オケから集まったプレイヤーで、常設ではないのですが、惹句どおり見

  事としか言いようがない。

  昔フィリップ・ジョーンズ・ブラスアンサンブルを聴きに行ったことが

  あって、そのうまさにあっけにとられた。このグループも負けていない

  と思います。生、聴きたいね。

 
追記:
●このあと、余勢をかって、ショスタコーヴィチ弦楽四重奏を室内オーケスト
 ラに編曲したヴァージョン(この曲の場合は弦楽合奏)のCD2枚組を、しば
 らく車内で聴いていました。予想通り、以前より面白く聴けました。
 
●決して、ロシアによるウクライナ侵攻の影響で選んだわけではありません。
 このニ三日、ウクライナも敵に回すと(って、なんで敵にしなきゃならんの
 かはともかく)大変な相手なんじゃないかと思っています。

●このCDのジャケット写真はマトリョーシュカ。

 で、Wikiから写真一枚を拝借・・・ 

 大きさが逆だろ・・・

 昔、といってもソ連が解体されてしまった後だったかな、ウクライナの若者に
 熱心にマトリョーシュカを売り込まれたことがあります。だから、マトリョー
 シュカはウクライナの人形だと、それ以降思い込んでいました。
 由来の説はいくつかあるそうですが、いずれにしても、ロシアのもののようで
 すね。

 (左から2番目、3番目が実はよくわからない。2番目はエの字? 3番目はゴ

 の字? 違うような気がする。2番目がゴの字、じゃあ3番目は? ブレジネフや

 フルシチョフがいないなぁ・・・)