休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

アルベール・ルーセル 交響曲全集 2/2

 ルーセル、すこし身近になりました

20240425(了)

アルベール・ルーセル 交響曲全集 2/2

 ALBERT ROUSSEL(1869-1937):Symphonies 1-4

Disc2 61:00
(3)交響曲 第2番 Op.23 (1921) 39:03
  ①16:18 ②8:11 ③14:22 
(4)交響曲 第4番 Op.53 (1934) 21:57
  ④6:27 ⑤8:41 ⑥2:50 ⑦3:50
 
  マレク・ヤノフスキ指揮/フランス放送フィルハーモニー管弦楽団
  録音:1993-94年、ラジオフランス、オリヴィエ・メシアン・ホール
  CD/管弦楽/Ⓟ&Ⓒ 1996 BMG Music/輸入盤/中古
  (2番)<★★★★△>、(4番)<★★★☆>

「つづき」です、長めになります・・・

 

第2番;

長めの第一楽章は第1番のもやっとした雰囲気を引きずっているような始まり

なんですが、感じとしては例えば、宇宙の深い漆黒の闇に向かっているよう。
といってもスペースオペラ(「スターウォーズ」のような)なんかとは全く違
う。それが徐々に調子が変わり、やや重たいながらもリズム感が出てきて、ド
ラマティックなバレエ音楽.『くもの饗宴』(作曲年は1番と2番の間なのです
ね)に似たムードに移行してゆきます。これは決してリズムに満ちたバレエ音
楽ではありませんけどね。
第2楽章に入っても、第3楽章も、リズム感はやや乏しくても、それは続きま
す。非常に魅力的な仄暗いサウンド。1番よりさらに好みです。

 

第4番;

1番や2番のようにレントから始まり、どうなるかと思いきや、アレグロに変

わって、なんとミヨーやアメリカが匂ったりする。でもそこまで。イタリアや
イギリスはなく、そこまでの独・仏のロマン派の集大成みたい。その関連にな
るかもしれませんが、フランクの音がちょっと聞こえたり、メンデルスゾーン
っぽくない?なんてね。そんなふうで、毎回いろんなものが聞こえる。掴みに
くいけれど、逆に、過去のものをこんなふうに再構成してきちっと形式を整え、
魅力的に聴かせることができるのも大変な力量なんじゃないか、といった言い
方もできるんじゃないか。安直には「新古典」という面はあるけれど、そんな
尺度では測りにくい魅力があるように思いましたね。
おしまいはバッカナールふうに盛り上がって終わりました。
 
何度もまじめに聴きましたが、やはり掴まえ易くはなかった。
「大作曲家の交響曲をろくに調べもせず、自分の感覚だけでよう書くわ」と言
われるでしょうが、楽しみ方は人それぞれだし変わっても行くので、それでか

まわないと考えます。

これでも、ワタシとしては、ルーセル、だいぶん身近になりましたよ。

好みとしては2番。次が1番、でしょうか。
ジジイになってからも、感性や好みっていたって簡単に変わてゆくということ

ではありますが、なにはともあれ、音楽を聴く時に心や精神に「余裕」がある

こと。これが第一。これなしでは鑑賞記は書けない。「薬効」なんて期待でき

ない。

 
ヤノフスキさんの名前を初めて知ったのはずいぶん昔。ショルティ以降ではも
のすごく久々の『リング』全曲の録音が出て、その時雑誌で覚えた指揮者名が

ヤノフスキさんでした。名前だけ。ぼんやりとした記憶ですが、あまりいい批

評もないかわり、悪い批評もなかった。

ポーランド生まれのドイツ人指揮者と書かれている。広いジャンルをこなすヤ
ノフスキさん、ここでもすごい職人という印象です。(そう言っては失礼なの 
かな) 音楽に一本しっかりした心棒が通ったような感覚があります。ドイツ
や東欧系の音楽の録音が多いみたいですが、フランス音楽ならラヴェルやドビ
ュッシーよりルーセルが合ったのではないか・・・ わかりません、想像です
けどね。でも、今回ルーセルがぐっと身近に感じられるようになったのは、こ
のかたのバランスよくとてもきちっとした音楽のまとめ方によるところ大なん

じゃないかな。エーリッヒ・ラインスドルフだとかルイ・フレモーのような職

人さん的な指揮者に通じるみたいな気がしました。

 

 ただし、職人肌といっても、大変な職人なのかもしれないと思い始めていま
 す。くどいですが・・・理由はこのルーセルの第2番。
 実はこの後、ルーセル管弦楽曲のセットものを引っ張り出して、ザーッと
 復習していたのですが、中に2番だけ交響曲が入っていまして、演奏はジャ
 ン・マルティノン指揮のフランス国立放送管弦楽団。マルティノンも好きな
 指揮者なのですが、この2番をまとめきれてはおらず、しゃきっと締まって
 バランスのいいヤノフスキさん指揮のもののほうがはるかに曲の魅力を引き
 出せていることにビックリしてしまった・・・ 演奏でここまで違う。
 2種の演奏だけとはいえ、クラシックの「聴き比べ」というのはこういうふ

 うに、掴んでいるか否か(実は聴き手の問題なのですが)みたいなものをぼ

 ろっとさらけ出したりするから困る。

 ハイ、戻りまして・・・

 

ただいま現在、「ほしいものリスト」の中では、ヘンツェの交響曲のCDの指揮
者がヤノフスキさんのもの。もっとも、ヘンツェはこのごろあまり聴きたくな
い。特に7番で撃退されて以降は、比較的最近1~6番を作曲者自身の指揮の古
い録音でさっと聴いただけ。リストは残してはいます。ま、またいつか聴く気

になるかも・・・ 今は、そうですね、スイス・ロマンド管で録音したブルッ

クナーの交響曲全集(ワタシとしては超大物)を聴いてみたい気がしています。

聴いたことのない音色なんじゃないか、なんてなことを期待してしまいます。

 
最後に・・・
このCDの写真は見たことがあって、カミーユピサロの絵「エラニーの景観」。
点描もの。しかし、どうも違和感があるんで、調べてみたら、なんと、左右が
逆! BMG(つまり昔のRCA)のものだからアメリカの会社だが、 Made In EC 
とあって、EUの前身なんだから、それなら作ったのはヨーロッパ。だけどヨー
ロッパの人間がこんな間違いするんかい! まあそれはなんとも言えんが、ジャ

ケット写真(=ライナーの表表紙)はアメリカ本社で作って間違ったままになっ

た可能性が高いか・・・ 

 

関係ありませんが、カミサン、このごろ、絵ばかり描いてます。何故かヒトは

ほとんど描かない。食事時、どう?とよく訊かれる。「いい」時もある。

      ハイ、これが正しい向きの ピサロ;「エラニーの景観」