休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

マンハッタン・トランスファー ファイブ・オリジナル・アルバムズ 2/2

20240127(メモ了)

マンハッタン・トランスファー 

ファイブ・オリジナル・アルバムズ 

3・4・5/5

   THE MANHATTAN TRANSFER

(3)ヴォーカリーズ  
   Ⓟ&Ⓒ 1985 Atlantic  45:36
(4)スウィング  SWING
   Ⓟ&Ⓒ 1997 Atlantic  44:57

(5)スピリット・オブ・セントルイス

               (サッチモに捧ぐ) 

   Ⓟ&Ⓒ 2000 Atlantic  46:23
 
   2010年8月/CD/5枚組/ヴォーカル/WMJ(限定盤)/邦盤/中古
   ジャンル:ヴォーカル・ジャズ、ア・カペラ、フュージョン、ヴォーカリーズ
73年再結成時のメンバー
シェリル・ベンティー
ジャニス・シーゲル
ティム・ハウザー
アラン・ポール

(3)VOCALESE Featurering the Lyrics of Jon Hendricks (9枚目)

①は「ザッツ・キラー・ジョー」で、これってクインシー・ジョーンズでしたねぇ。

中ジャケの極小文字を見ていてなんとなくわかりました。元になるジャズコンボの
演奏があって、それをアレンジしているんだが、時にインプロヴィゼーション部分
も含めて声で、しかも歌詞をつけてやってるんだ。その歌詞が「ランバート,ヘン
ドリックス&ロス」なんてジャズヴォーカルのユニットのメンバーだったことで知

られるあのジョン・ヘンドリックスが書いた。それで、このタイトル。挑戦的で斬

新。

②のバックは本物のカウント・ベーシー楽団のよう。斬新さはないがいいキレ。
③ヘンドリックスも入って、ハイテンポ。ヴォーカルアレンジのシーゲルのハイト
ーンがすごい。ズート・シムズをシーゲルが、デイヴ・ランバートのソロをA・ポ
ールとハウザーが、ラス・フリーマンのソロをベンティーンが、そしてヘンドリッ
クスのソロをなんとヘンドリックス自身が、模す。④はスローテンポ。プレーヤー
もすごいが、なんとゲストにフォー・フレッシュメン!⑤古めのミドルテンポ。ベ
ニー・ベイリー(tp.)はよく知らない。ビックリの⑥(ナイト・イン・チュニジア)はパー
カッションのほかは声で楽器を模すんだが、ヘンドリックスはパーカーを模し、そ
のほかになんとボビー・マクファーリン本人! やれやれ、これ、すごいトラック。 
⑦はシンセが入ってブラックミュージック系のフュージョン。⑧再び懐かしい名が
何人も見えるが、今度はカウント・ベイシー楽団を丸ごと模す感じ。乗りよし。
⑨はマッコイ・タイナー/ロン・カーター/グラディ・テイト等のリズムセクションで、アート・ファーマ
ーのソロをA・ポールが模す。 ⑩ディジー・ガレスピー/ジョン・パティトゥッチ・・・ 「ク
リフォード・ブラウン」のソロをハウザーが模している。 ⑪マイルス・デイヴィ
スのソロをJ・シーゲルが、リー・コニッツのソロをT・ハウザーが模している。
参加メンバーもやっている中身も、なんと贅沢なジャズ&ヴォーカリーズ。間違い
なく5枚のうちの白眉。というより、ひょっとすると、このグループの最高傑作な
のかも。1985年かぁ、やるねぇ。録音も一段と良くなった。すごいので、つい長く
なってしまった。                      <★★★★△>

          (左から2人目がヘンドリックス)

 

(4)SWING(15枚目)

この5枚の中では分が悪いかもと思ったが、決してそんなことなかったです!
スウィングで括ってあってまとまりがよく、しかもスウィングったっていろいろ。
小さめのコンボが多いものの、インスト部分のアレンジの工夫が効いている。
スローな③⑦⑩だけでなく、⑫⑬などでも、生ギターやヴァイオリンのかけあい、
が抜群。⑤ではストリングスが入り、⑪はオシャレ。全体に乗りがいい。
ステージなど考えずに多重録音でひたすら美しいハーモニーを探求したシンガーズ
・アンリミテッド(男3女2)とは目ざすところが違っていたようだが、ここまで
すごい歌唱を聴いていると、本当に多重録音、やってないの?と言いたくなる。
それがわかるのが最後の⑬で、これだけライヴ。すごい、本当に歌っている。
                               <★★★★>

(5)The Spirit of St.Luis(16枚目)

ついニューオーリンズを連想するが、セントルイスなのね。ライナー読みたい。
①アップテンポのチャールストンという感じ。
②脚ふみのオルガンみたいな音で始まる古風を意識したブルース。
③この曲からサッチモの唱法を少し模し始める。(ジャンル名わからない)
④真夜中のカウボーイふうなポップス、ストリングスも入ってロマンティック。
⑤行進曲的ブラックミュージックで、サッチモの唱法(ジャンル名なんだっけ?)
⑥曲名にニューオーリンズがあるが、豊かなハーモニーのスローなジャズヴォー

カル。シンガーズ・アンリミテッドにアコーディオンのバンドとの傑作があるが、

その中の曲を連想。

⑦おっとりした楽しい会話で始まる。フィッシングがドウタラコウタラ。最後に

サッチモ

⑧アップテンポの①のジャンルに近い。バンジョーやサックス、そしてちょっと

サッチモ

⑨泣くようなギターが特徴のブルース調
⑩3拍子で奇妙に凝った「星に願いを」で、宇宙っぽいサウンドのジャズ(?!)
 
⑥と⑩はジャズだけれど、そのほかはなんとなく米南部の匂いで括ったようなと
ころのあるアルバム。かつリアルを目指してはいないサッチモの歌い方をあちこ
ちにばらまいている。(3)の「ヴォーカリーズ」とは違う凝り方のもので、ヴァ
ラエティに富んでいる。(4)の「スィング」とは1作違いだが、3年開いてい

るのは、わけがあったんだろう。きっと苦労して作られたんだと思う。 

                              <★★★☆>

 

以上、たっぷり楽しみました。
ほかに聴いてみたくなるかもしれないと、アマゾンを見てみましたが、いいのが
載っていませんでした。

シェリル・ベンティーンとジャニス・シーゲル、両女声ヴォーカリスト個々のア

ルバムも色々出ていて、聴いてみたい。

それにしても、他にも賞を獲ったものもあったのに、なんでこの5枚なのかなぁ、
やっぱり気になりました。ライナーには何か書いてあったのかしらん・・・
ハイ、諦めます。終り。

(ああ、ひとつ手に入れて聴いたことがあるアルバムというのは、「tonin’」

でした。あまり出来はよくないそうだが、探して聴いてみよう)