あの発声法に魅力を感じる人も、たまにはいる
| 20240112(了) |
映画『テノール!人生はハーモニー』
| 監督:クロード・ジディ・Jr. /MB14/ミッシェル・ラロック |
| 2022年製作/101分/フランス/原題:Tenor/DVDレンタル |
| <★★★△> |

| オペラの映画というんじゃない。オペラやオペラ的な歌唱に魅せられてしま |
| った畑違いの若者のお話。こんな直球勝負なのは、まあ、珍しいかもしれま |
| せん。今風に言えば「ベタな」というのかな。 |
| イタリアものでもなく、英米独でもない、フランスもの。 |
| 邦題というか、副題、こんなんじゃ意味がない、要らないと思います。 |
| 国立って訳語が見えたから、大都会パリの、「パリオペラ座」関係ですね。 |
| ワタシャ、観たことなんてない。でも、この映画の世界では、オペラ座も |
| 出てはきますが、基本下町だ。 |
| 兄は本業はよくわからないが、ガタイがでかく喧嘩に強いのを生かして、ス |
| トリートファイターのようなことをしている。弟思いで、家庭環境を補うよ |
| うに弟を庇護している。弟は兄に較べると華奢。すし店の配達のようなバイ |
| トをしつつ、会計の勉強をし、趣味はラップ(「バトル」をやる)。その他 |
| 兄弟のようにいつもつるんでいる仲間が大勢おり、そういう集まりどうしの |
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争いなんてこともある。ラップをやる連中にも競い合いというよりやはり争 いがある。 |
| この若いラッパーがオペラ座に寿司の出前をし、たまたまふざけて「発声」 |
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をしたことから、一種スカウトのようなことをされ、クラシックの歌唱に関 わるお話が動き始める。 |
| わかってみれば、どういうものか彼はもともとクラシックの発声に近いもの |
| を持ってはいて、興味もなくはなかったということなんだけどね。 |
| でも、ラッパーだろ? 寿司の出前だろ? 貧乏で下賤の出だろ? |
| それで、何が悪い!と映画は進むわけで、めちゃめちゃわかりやすく、ベタ |
| なんて言葉を使ったんですが、じっさい、ほぼほぼ予想通りに進んじゃう。 |
| ヴォイス・トレーニングのみならず、楽理など音楽関係の堅めの教育なんか |
| が、かなり足りない気はしました。でもま、いいかな。 |
| 幕切れは、オペラ歌手としての(国立オペラ座に所属するための?)昇格試 |
| 験。ちゃんとあのオペラ座の舞台で歌うんです。 |
| なんと、下町の仲間たちが試験に駆けつけてくれます。 |
| オケはピットにはいなかったが、オケが鳴っていたから、カラオケ? |
| 曲は練習大詰めでうまく歌えなかったあの超有名アリア、ジャコモ・プッチ |
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ーニ作曲、歌劇『トゥーランドット』から「誰も寝てはならぬ」なのです。 殆どズルイ! |
| 最後の高いキーをちゃんと歌えるかどうかということも気にはなるが、そん |
| なもん、映画ですから歌えるに決まっている。やっぱりこれはこの曲の効果 |
| 狙い。短いし、テノールのアリアとしては最高にかっこのいい曲の一つであ |
| ることは間違いないんで、やったぁー!!!という予定調和エンディング。 |
| もう少し輝かしい声のテノールになることを期待したけど・・・ |
| 近ごろだとこの曲、ソースではパヴァロッティの歌唱がよく使われるものの、 |
| ここでの華奢な主役があんなとてつもない喇叭タイプの(ってパヴァロッテ |
| ィのタイプなんてご本人以外に聴いたことがないけど)豪快な歌唱をするは |
| ずがない。なに、イタリアオペラを歌うテノールは皆歌うのです・・・ |
| そのエンディング、ちょっと危なっかしい歌唱だった気もするものの、結局、 |
| 曲にやられてちゃんと感激してしまいました。 |
| そうそう、本物が一人出てました、ロベルト・アラーニャ。勿論ちょっとだ |
| け歌ってくれました。歌ってくれなきゃ知らない人には誰だかわからない。 |
| さすがでした。余禄! |
| オペラ座の深ーい舞台裏が結構見えてましたね。これも余禄。 |

(はい、これがアラーニャ)
| ロマン派や近代のオペラ(の映画)を観たくなってきました。 |
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METの映画の今期の上映予定が机の脇に貼ってあります・・・ 今回は、残念ながらあまり観たいのがない。むしろもうすでに上映が終ってしまった現代もののほうが面白そうだったなぁ。 |