休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

ブーレーズ/ワーグナー&マーラー作品集


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20190514(了)
ブーレーズワーグナーマーラー作品集
 
《DISC1》
(1)ワーグナー: ヴェーゼンドンクによる5つの歌曲(1857)
  ①天使 2:40 ②とまれ 3:43 ③温室 6:09 ④苦しみ 2:18 ⑤夢 4:21
(2)マーラー: リュッケルトによる5つの歌曲(1901-03)
  ⑥美しさのためだけに会いするのなら 6:28 
  ⑦真夜中に                 5:35
  ⑧わたしは柔らかな芳香を吸いこんだ 2:17
  ⑨わたしの歌を視つめたりしないで    1:17
  ⑩わたしはこの世間から消えたのだ  6:26
 
《DISC2》
(3)マーラー: 嘆きの歌(全曲)(1880)
  ①第1部:森のメールヒェン        30:03
  ②第2部:吟遊詩人             19:35
 
《DISC3》
  ①第3部:婚礼の出来事          20:45
(4)マーラー交響曲第10番 嬰へ長調(1910)
  ②アダージョ                 21:03
 
  ピエール・ブーレーズ指揮/ロンドン交響楽団
  〈Disc1〉:イヴォンヌ・ミントン(メゾ・ソプラノ)
  〈Disc2〉〈Disc3〉:
        エリザベート・ゼーダーシュトレーム(ソプラノ)
        グレイス・ホフマン(ソプラノ)
        エルンスト・ヘフリガー(テノール)
        ゲルト・ニーンシュテット(バリトン)
        イヴリン・リアー(ソプラノ)
        スチュアート・バローズ(テノール)
        ロンドン交響楽団合唱団
  録音:Disc1=1979年5月、Disc2&3=1970年4月 ロンドン
  CD/3枚組/クラシック/歌曲/ⓒ1987 CBS/SONY Ⓟ1982 CBS//中古屋
  (1)(2)<★★★★△> (3)<★★★△> (4)<★★★☆>
 
大阪府に戻って、また中古屋に時々行くようになってから、この3枚組のCD
はずっとその店の棚にあった気がする。
たまたまなんだけれど、ラッキーというべきか、この4曲はみんな、ちゃんと
聴いたことがないものばかりなんだよね。まとめて聴ける!そこがおもしろ
いっちゃあ面白い。毛嫌いしてきたというわけではないつもりながら、遠から
ずなんです。だいだい歌曲は5-6年前までは苦手で通してきたしね。
その後苦手という気持ちも薄らいで、いろいろ聴くようになってきた。今回、
なんで突然このセットものを手に取る気になったのかは、(安いじゃないのォ
と思ったこと以外は)まるで説明できないんですけどね。
 
(1)(2);
オケ伴の歌曲にそこそこ好きなものがあるのは、宗教系のものに好きなも
のがあるせいなんだが・・・
「ヴェーゼンドンク」と「リュッケルト」の美しさ、すばらしさにはビックリでした。
邦盤で、ありがたいことに(1)(2)(3)は訳詩付きだったので、すべて読む
ことができましたが、思ったとおり何の感興も呼び起こさずじまい。詩のセン
スの乏しさは大人になっても、ジジイになっても、変わらなかったですね、
結局。
 
「リュッケルト」はマーラー交響曲中の歌付き部分の水準に勝るとも劣ら
ないので、まあそのつながりで聴けたんだけれど、ヴェーゼンドンクにはビ
ックリしました。特に後半3曲。そのセンス、その美しさ、尋常じゃない。「ト
リスタンとイゾルデ」を書いている時期と重なるんだってね。それに、マーラ
ーにだってちゃんと繋がってる。いやー、知りませんでした。
演奏にもよるんでしょう。
イヴォンヌ・ミントン(Ms.)のセンスやうまさもあろうが、なんといっても透明
感のある声質だと思う。マーラーはピッタリでも、これじゃあワーグナーはど
うか、となりそうなのに、これがめちゃくちゃフィットしてました。
それから、ブーレーズ、ロンドン響がねばつかず、やはり透き通った感じな
のも、曲にすっごく合ってた。
 
(3)マーラーの作曲家人生のプロローグを飾る作品だそうな。
さすらう若人の歌」まで3-4年、「巨人」まで5-6年というところ。
ワタシの印象としては、音色やフレーズが、いわばロマン派やワーグナー
ブルックナーなどの借り物が、本来のものとは言え未成熟なものとごち
ゃまぜになっている。どの楽章もどうも収まりが悪い。オリジナリティある
成熟したフレーズやオーケストレーション、それに構成力などを磨き上げ
るところまでしばらくかかるというところ。なんというか、もうちょっとという
感じ。特に長い第1部は全体に石の多い玉石。第3部は管弦楽はだいぶ
んマシなんだけれど、歌は残念ながらソロも合唱もかなり具合が悪かった。
例によって車中でのヘヴィーローテ―ションのおかげで、だいぶん馴染み
ましたけどね。
ブーレーズは、この内容を叙事詩的な広がりという言葉を使って説明して
います。ストーリーや歌詞を読むと、ワタシには相当にドラマチックというか、
暗いメルヒェン。それに、、、なんだか聞いたような話。要約してみると・・・
 
第1部・・・誇り高い女王が、森の中に咲く赤い花を見つけてきたものと結婚
し王座につけると公示。ある兄弟がそれを受けて赤い花を探しに出かける。
善良な弟がそれを見つけるが、よこしまな性格の兄がスキを見て弟を刺殺
し、宮廷に花を持ち帰る。弟は柳の木の下に人知れず?埋められる・・・
第2部・・・ある吟遊詩人が偶然その柳の木の傍らを通ると、一本の白く輝く
骨を見つけ、これをフルートに作り替える。すると不思議なことに、このフル
ート、兄弟殺しの物語を語るではないか。詩人はその女王と婚約者を探して
旅を続ける・・・
第3部・・・女王の城郭でまさに婚礼が執り行われようとしている。吟遊詩人
が招き入れられ、フルートを吹くことになる。フルートは兄弟殺しを物語る。
新王はフルートを奪い取るが、それを唇に当てると、またもやフルートは兄
弟殺しを、その物語と殺された者の悲しみの歌を歌う。女王は地に倒れ伏
し、客人たちは散り散りに去り、城郭は崩れ去る・・・
 
だいたいこんな話を5人の歌手と合唱が歌う。ところが、第1部をマーラー
気に食わず破棄してしまった。 大分たって第2部と第3部をまとめ上げて出
版し、初演。
この破棄されたはずの第1部が生き残り、数奇な運命を経たのち、ブーレー
ズが再演、録音する権利を得た。それまでに随分の年月(80年とか90年と
か)がかかったことになる。
経緯なんかどうでもいいことだけど、ともあれこの話はオペラっぽい。
脚色したらよかったのにとつい思っちゃいましたね。もっとも恋人をマーラー
に取られてしまったツェムリンスキーにならできても、マーラーじゃオペラは
想像出来んワ・・・
ワタシの感受性では、物語が説明不足になってしまうことも辞さずに、第2
部、第3部だけにしてしまったマーラーの判断はいくらかはわかった気にな
りました。
長くなりました・・・
 
(4)交響曲第10番アダージョ。字面としては若い時から知ってはいたのです
が、まじめに‘ちゃんと’聴くのはおそらく初めて。
 「調性的には交響曲第9番からさらに不確定な印象を与え、無調に迫
 る部分が見られる。極度の不協和音が用いられており・・・」(Wiki
とあるも、その辺はよくわかりません。でもうんと新しい不協和音があって、
こんなのは確かにマーラーでは初めて聴いた気がするけれど、それ以外は
あくまでマーラーらしい緩徐な楽章。いくつか聞き覚えのあるメロディがあり
ました。
しかしそういったこと以外に・・・ワタシの安直な印象では、しきりと、波乱万
丈の一大ロマンスものの映画のエンドロールのような感じを受けたことです
かねぇ。せいぜい1950年代までかしらん。コルンゴルトだとかM・スタイナー
とか・・・
実にたくさんのかたが、この10番全体を補筆完成いるんやね。満足できる
ものなんて多分ないと思うし、あれば聴きたいけれど、、、マーラーのシンフ
ォニーを補筆してみたい作曲家はわんさかいたんだね。やはりWikiを覗いて
みて、ちょっと驚いた。
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5月にしては異常に暑い日が続きます。
さっきのニュースでは、帯広で38.8度。5月どころか、北海道の記録だとか。
こんな気温じゃあ、昼日中、聴いておれないような音楽・・・
もっとも、動くリスニングルームはただ今修理中。ちっぽけな車が、偶然と
はいえ二度続けてぶつけられて、今、代車をあてがわれてます。これには
残念ながらCDプレーヤーが付いていません。