休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

映画『帰れない山』

20231205(了)

映画『帰れない山』

 監督;フェリックス・バン・ヒュルーニンゲン& シャルロッテ・ファンデルメールシュ/
 ルカ・マリネッリ/アレッサンドロ・ボルギ
 2022年製作/147分/G/イタリア・ベルギー・フランス合作
 原題:Le otto montagne/DVDレンタル(新作)
 <★★★△>

このイタリア映画の主な舞台は、多分イタリアンアルプス。アルプスといって
も、うんと高山というわけじゃない。ドロミテなんて言われるところもそんな
感じで、あの「クラシックワールド」の最後の作品が、その辺が舞台だったん

じゃなかったでしたっけ・・・ 知られた小説の映画化らしい。ちょっと長か

った。

 
山に魅せられた2人の男を(言ってみれば彼らの友情を)中心にしたお話。
ピエトロは都会育ちであまり山に興味がない少年なんだが、父親が本来の仕事
とは別に非常な山好き。その父親に義務的に付き合うぐらい。
もう一人はブルーノと言って、山の牧場育ち。
この二人が、ピエトロの父親の山好きが縁で出会い、友達になる。付き合いは
山にちなんだものばかり。
ピエトロは大きくなるにつれて、父に反発し山から離れて行くが、したいこと
が見つからず、いろんな仕事を経験する。一方ブルーノは、ピエトロの父から
一目置かれ、教養を身に着ける道筋を提供される。ピエトロの父親の「夢」の
具現を託されたようなものかも、と思わせられる。
二人は長じてくるわけだが、父の死によって、わだかまりを乗り越えられそう
になってきたピエトロと、やっぱり山から離れられないことがはっきりしたブ
ルーノが戻って、山の土地を手に入れ、そこのボロの山小屋を作り直して、夏
には住もうという計画に、協力し合うことになる。
女性とのいきさつもあるが、それはともかく、ピエトロは世界を巡り、ヒマラ
ヤの山麓に魅力を感じたり、山の本を一冊上梓するまでになる。
一方ブルーノは家庭を持ち、山の上り下りをする牧場経営を始め、一見落ち着
いた生活に入る。
ブルーノは時々「帰る」。二人の小屋だったわけだから。
しばらくの後、一方の生活に暗雲が垂れこめ始める・・・
共に山が好きなのだが、一方は山との距離感をうまく取った形を作り上げ、も
う一方は、山に魅入られたようになってしまう。その違い・・・
まあそんな感じでしょうか。

スリルやサスペンスといった要素はまったくなく、この小屋を中心にした二人
の成長や友情を描いています。エンディングは決して明るくありません。小説

どおりなんだね、きっと。「教養小説」(ビルドゥンクスロマーン)っぽくも

なかったと思います。

彼らの共有したもののすばらしさをこそ感じてほしいということなんでしょう。

いい物語でした。

 
イタリア語はまるで分らないが、、、邦題の帰れないの意味がわからない。
これ、そのままなの?違うんじゃないの?
 
音楽は少なくて、必要最小限といっていい。それでも、残念ながら、ワタシに
はいまいちでした。もっと少なくてもいいから、もうちょっとなんとかならな
かったかなぁ。映画音楽としては珍しく不満でした。