休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

烈風/ディック・フランシス

20231130(了)

烈風/ディック・フランシス

 SECOND WIND by Dick Francis ⓒ 1999
 訳者:菊池光
 
  2004年11月/ハヤカワ・ミステリ文庫/競馬シリーズ/中古
  <★★☆>

ディック・フランシスの読み残していた作品。これでやめにするつもりで、本
棚にずっと放りっぱなしにしていたものです。緑のカバーは一部破れており、

天、小口、地などは真っ茶色。中もけっこう焼けているものの、ま、読める。

それに、心配したほど文字は小さくない・・・

 
全作品中、2冊ぐらいは飛ばしているかもしれない。44~45冊だっけ、勤めは
じめたころからポツリポツリ読み始め、長い間かかったとはいえ、よく読んだ
もの。一作家でこんなにたくさん読んだのは、フランシスだけです、多分。
競馬ミステリーと言われるが、競馬への関わりが少ないものもある。これだけ
読んだのだから、少なくとも英国の競馬については詳しいだろうと言われそう
なんですが、恥ずかしながら、ぜーんぜんそんなことないですねぇ。ニューマ
ーケットなんて町の名を覚えただけじゃないかしらん。
それから、知らない方にしか意味はないのですが、ここで競馬といったら普通
の競馬じゃなく、たいてい障害馬レースであること。フランシスがその騎手だ

った(名声も得た。自伝『女王陛下の騎手』1957もおもしろかった)からでし

ょう。

 
主役はすべて男でしたね、確か。そして、職業がすべて違う。例外はありまし
たが、主役が同じ人だったのだから、職業も同じというものでした。
 
これは文庫本のナンバーでいくと「39」となっているから単に文庫としての39
冊目なんでしょう。作品番号じゃない。
主役(探偵役)の職業は気象予報官。とても珍しい。テレビに出るので、顔は
よく知られている。競馬にも天候は非常に大きな影響を与えるものなので、同
じ予報官である友人の関係で、競馬の業界とも繋がりができ、事件に巻き込ま
れてゆく。
きっかけは、妙に偏屈な同僚予報官のたっての希望で、台風の目の中機を飛行
機で飛びたいというのに、なぜか付き合ってしまって、九死に一生を得たこと。
主人公が、打ち上げられた島が問題のある島で、主人公はあるノートのような
ものを見つける。それが奇妙な陰謀に絡んだものだとわかってくる。実は目の
中を飛ぶ企画にもかかわりのある胡散臭い競馬関係の人たちに繋がってくる。
競馬とは関係のない危ない裏稼業がうごめいていた、、、なんてね。
この島でもうひとつ事件があって、体調を崩してしまう。島の牛の乳を飲んだ
からなのだが、これが非常に興味深い扱われ方をする。
 
フランシスにはいい女が出てくることが多くてね、主人公にもちゃんといい仲
になる女がいる。感じではかなり美人だと思う。彼女は主人公のオバアチャン
の介護を受け持つ看護師。もっとも彼女の登場がなんだか唐突だった・・・
 
謎は、怪しい人々の所属する会社の裏稼業がらみ。
堅実でやや内省的な主人公は、最後にはやはりかなり果敢な(≒無鉄砲な)行
動に出て解決に導きはするのですが、しゃきっとは決まらない。
残念ながら、フランシスの傑作群にはかなり遠い出来だと思ったなぁ。
謎や理屈やサスペンスなど、どれも十分に納得できるものではなかったようで
すし、日本人にとってこのシリーズと不可分である菊池光訳がどうも良くなか
った。
作品の出来なのか、翻訳の不調か。まあなんとも言えないのですが、ワタシの
感じでは、フランシス自身の責任じゃないか。その後、息子さんが大々的にサ
ポートし始めて、ちょっと作品の印象は変わった(菊池氏が亡くなり訳者も替
わった)ものの、調子としては持ち直したように思えたものですが、とすると

この作品あたりは「底」だったのかもしれない。事情はよくは知らないので、

勝手な想像なのですけどね。

 
そんなことで、このシリーズを読むのもこれが最後で、最後に読む作品として
は残念な気がしました。しゃーない。
できればですが、でかい活字で名作の誉れ高い5-6作を読み返してみたいです。

 「本命」「興奮」「血統」「度胸」「罰金」「侵入」「名門」あたり。

 シド・ハーレーもので「大穴」「利腕」「敵手」もいいか。

 こんなところかな・・・

 

古い文庫の活字の小ささたるや・・・

このところ、オフクロ以外にも目の病気で苦労している人(網膜色素変性症)が
身近にいたもので、見えないことのつらさ、ひしひし。急だったら、死にたくな

るに違いないと思うこと度々です。

 

 

 (せめて11月のメモまではアップしてしまおうと、アタフタ・・・)