休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

ディック・フランシス/矜持

20200314(了)
ディック・フランシス&フェリックス・フランシス/矜持
    CROSSFIRE by Dick Francis and Felix Francis
    訳;北野寿美枝
    2011年1月/ミステリー小説/単行本/早川書房/中古
    <★★★☆>

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鬼平犯科帳」でも「街道を行く」でも「三国志」関係でもなく、「デ

ィック・フランシス」・・・

 

〈紹介文〉 英国陸軍大尉トマス・フォーサイスは、アフガニスタンで爆弾
によって右足を吹き飛ばされ、6カ月の帰宅休暇を命じられた。 偉大な調
教師で厩舎を経営する母ジョセフィンとは折り合いが悪かったが、ほかに
行くあてもなく、彼は母と義父が暮らす家に帰る。だが、厩務長から意外
な話を聞かされた。このところ厩舎の馬が勝てるはずのレースで不審な負
け方をすることが続いているというのだ。さらに母と義父の口論を聞き、
家計が逼迫していることを知る。彼は母の仕事部屋を調べて、母の個人口
座から毎週2000ポンドもの金が引き出されていることを突き止め、脅迫状
を発見する。母と義父に事情を聞くと、会計士に勧められた節税方法を採
用したが、脱税をしていると何者かに脅され、金の支払いと馬をレースで
負けさせることを強要されるようになったという。会計士の勧めでヘッジ
ファンドに投資し、大金を失ってもいた。トマスは脅迫者を暴き、母の金
を取り戻そうとするが、手がかりとなる会計士は死んでいた。卑劣な手段
でトマスの命を奪おうとする敵と、彼は自己の名誉を賭けた闘いを繰り広
げる。競馬シリーズで世界中の読者に興奮と感動を与え続け、惜しくも死
去したディック・フランシスの最後の作品。


上記はネットに載っていましたが、単行本のカバーの内側の文と同じです。
息子さんと共著スタイルになって復活してから数冊。
もともと奥さんとの二人三脚が長かったようです。で、奥さんが亡くなっ
てからは息子さんとのコンビ。もっとも息子さんは、奥さんとの家内工業
状態だったうちから、どうやらその中に参加していたようですけどね。


主人公は、いくつかの例外を除けば、見事に職業がちがっていまして、こ
の最終作は軍人。それも、アフガンに派兵されて片足の膝から下を吹っ飛
ばされているという障害者。障害者の主人公はひょっとしてこれだけかも。
でも、それだからこその盛り上がりがありました。捕われてしまってとん
でもない態勢にされてしまっているところから、何とか逃れるあたり!っ
て、書いちゃいかんのでしょうがね。


まあ、実は印象とか感想文とか言っても、この程度でして、だからここま
でにしておいてもいいのですが、それじゃあアップするには短いので、ど
うでもいいことを付け加えました。


菊池光さんの男らしいストイックな訳が北野寿美枝さんの訳に替わって第
一作目なんかは、ちょっと違和感を覚えたのですが、その次の作品(もう
息子さんとの共著になっていた気がする)からは、菊池訳に負けないもの
になっていったような記憶があります。
本作品もとても(男らしい)いい訳だと思いました。

 

若い頃に読んだもののほうがきっと面白かったのでしょう、タイトルもい
くつかは思い出せますが、この最終作も水準は維持しています。
これで小説は43冊と、途中までの自伝「女王陛下の騎手」を読んだことに
なります。たいてい古本屋で手に入れた。順番に拘らず、単行本だったり
文庫本だったり。ただダブらないようにだけは気を付けていました。
先日古い文庫本をパラっと見たら、その活字の小さいこと!
こんなちっちゃい字でもって、チェルトナムだとかランボーンだとかいっ
た地名を、何度も何度も読んだんだねぇ。見知らぬ土地なのに、なんとな
く知ってるような気になるのが面白い。


さてさて、長いことほっときましたが、最終作品をとうとう読んじゃった
ので、あと一冊だけになった。20台の後半あたりからポツリポツリと読み
始め、中年になってからは、あまり読まなくなった。それでも知らない間
にあとわずかになり・・・考えてみりゃあ、こんなにひとりの作家を読ん
だのは、フランシスだけかもしれない。
競馬は、東京にいるころに、後楽園の場外馬券売り場で買うのを覚えたも
のの、次の転勤先ではやらなくなりました。
競馬といっても、フランシスの競馬シリーズは、ご本人が障害レースの騎
手だったことから、確か多くが障害レースだったはずで、普通のレースと
はだいぶん違ったんでした。