休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

ディック・フランシス/騎乗

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20160227(了)
ディック・フランシス/騎乗
Dick Francis/10-1b Penalty(菊池光訳)
  2003年/ミステリー小説/ハヤjカワ文庫/(単行本1998年)/ⓒ1997/ネット/中古
  <★★★△>
(カバー解説) 17歳の障害騎手ベンが突然厩舎を解雇されたのは、父親ジョージ
の策略だった。ジョージは下院議員選に勝利するため、唯一の家族であるベン
を必要としていたのだ。激しい反発を覚えながらも、やがて父親に説得されたベ
ンは選挙活動への協力を誓う。しかし、選挙区では、ジョージに対するスキャン
ダル攻撃と暗殺工作が待ちかまえていた!十代の少年を主人公に据え、生き
ることの厳しさと真の男の勇気を描くシリーズ第36作。
ミステリーとしては大したものではない。
ハードボイルドでもない。
魅力は競馬の臭いが濃いこと。「10ポンドのペナルティ」が原題で、いい意味で
も悪い意味でも使われている。
これが17歳かよ!と言いたくなる、非常に大人びた主役。
解説の佐々木譲さんは、こうであればいいなあという、フランシスの希望なんじ
ゃないかと書いている。まあ日本では全く想像できない17歳。
プロの騎手としては大成は望めないという烙印を押されても、家族と言えるか
どうかすらあやしい疎遠だった父親から、政界に打って出るにあたって、選挙
活動の看板としてそばにいるように命じられても、信じがたいくらい冷静に判断
し対応する。
いわば‘見てくれ’だったこの少年は、実は単なる騎手希望で数学が出来ると
いう程度の少年ではなく、優れた頭脳の持ち主であることを父親も認めてゆ
くことになるのだが、選挙活動が進むにつれて、彼には危ない状況が見えてく
る。更にどんどん成長してゆく。いったんは大学の4年間のブランクを経るもの
の、戻ってみれば状況は再びヤバイことに。
ミステリー味は薄いけれど、いいムードです。つまり競馬がほどよい絡みかた
をする。
それでこそだと思いつつ、すいすい読めた。
因みにこれは勿論労働党ではなく保守党のほうの国政の話で、選挙の裏側
がちょっと見えますね。こういう知らない世界を見事に取材して表現し得てい
るらしいところもフランシスの魅力。
今、アメリカの共和党はトランプ旋風。スーパーチューズデイだのスーパー・サ
タデイだの。雰囲気がずいぶん違う。
さて、全45冊、あと2冊になった。