20231112(了) |
未来のアラブ人③
―中東の子ども時代(1985-1987)
第11章~第16章 |
作/リアド・サトゥフ 訳/鵜野孝紀 |
2020年11月/マンガ/花伝社/共栄書房/単行本/中古 |
<★★★△> |
第11章 |
アサドの独裁政権下のシリアでの生活が続いている。親戚たちに囲まれて |
一家は一応落ち着きを見せている。7歳のリアドは通学しているよう。 |
依然としてお母さんはヒジャブ、ないしスカーフはしていないようだし、 |
依然としてアラビア語を習う気はない。主婦と子供ふたりの世話。たまに |
家族で親戚の家に行く。退屈しているといっていい。 |
父親は依然として内輪ではでかい口をたたくものの、お祈りなどはしない。 |
当然信心深くはない。この父親がルボンヌ大学でどうやって学位を取得で |
きたのかわからない。だいたいなんの学位なんだろう、いまだにわからな |
い。アラブ人が偉い、シリア人が偉い、ムスリムでないといけない、など |
という強がりは全然変わっていない。ま、子どもの目や耳からの判断なん |
だという解釈でいいんだろう。日本のテレビ漫画のヒーローが出てくる。 |
弟がだいぶん大きくなって、リアドと一緒に歩ける。最後にお母さんが、 |
また妊娠した。トラブルが多く住みにくい、と実家に電話する。 |
第12章 |
「コナン・ザ・グレート」、あのシュワルツェネッガーの映画のビデオを |
リアドが友人と二人で観ている。コナンの真似をするが上手くいかない。 |
割礼の知識。断食(ラマダン)。ラマダン明けに親戚が集まり、小遣いを 貰う。 |
第13章 |
割礼のことで父が父の叔母に激してしまう。 |
第14章 |
シリアの有力者の息子さんの洗礼に一家で出席する。十字架を握った神父 |
がお香をぐるぐる振り回したり、洗礼するんだから、カトリック? フーン。 |
そのエライサンとレバノンに行く。サイクス・ピコ協定の国境線の話など、 |
政治的な話が父の口から出る。エライサンというのは実はアサド大統領の |
護衛官らしい。レバノンその他の旅行の意味がわかる。 |
当たり前だろ、と言われそうなことが書いてありました。シリアのアサ |
ド大統領は少数派のシーア派(の分派)なんだが、多数派のスンニ派を |
抑え込んでいる。それはなんとか知っていますが、隣のイラクでは逆に |
少数派のスンニ派が多数派のシーア派を牛耳っている。ついでに上記レ |
バノンは(この時点は、ですが)大統領がキリスト教徒で、首相がスン |
ニ派。中東じゃ全体的にはスンニ派が圧倒的に多いのだから、イランと |
イラクは例外的。それにしても、いろいろなんだなぁ。 |
第15章 |
母の出産はフランス、ブルターニュで。3か月間もシリアを離れる。お父 |
さんはシリアに残った。リアドの学校は2年生から5年生までが一緒。小 |
人数だが大変・・・ あとは、隣の農場の老夫婦が猟奇的なこと、兄弟が |
生まれたこと・・・ 母のお母さん(お祖母さん)はフランスに住みなさ |
いと言い、お母さんもそうしたいが、果たしてお父さんはそうするだろう か。 |
第16章 |
シリアに戻ると、一族総出でお迎え。父にちょび髭。そのあとすぐちょび |
髭はなくなっている。 |
お母さんの不満を受け流すように(奇妙な夫婦)、お父さんは次なる引越 |
を宣言する・・・ (サウジに行くと言い出すのだ) |
第3巻はまあこんなところです。 |
第2巻は今年の1月にアップしました。面白いかどうかは微妙なのですが、 |
ほとんど知らない世界を、好奇心で、引き続き覗き見る感覚です。 |
日本じゃ売れなかったのかもね。 |
第4巻も第5巻も向こうじゃ(って、どこ?フランス?)既に出版されて |
いるのに、これらの日本語訳はまだ出ていない。この出版社の事情でしょ |
うか、、、 残念ながら、これで打ち止めになるかもしれない。 |
せっかく第3巻まで読んだのだから、もう少し先まで読んでみたいのだが。 |
抱腹絶倒ってのは絶対違うね。笑えるのなら、その方はスゴイと思う。