20211128(了)
| 第一章 オランダの光を紡ぐ旅 |
| 第二章 アメリカの夢 |
| 第三章 神々の愛でし人 |
| 第四章 輝きのはじまり |
| 第五章 溶かされた界面、動き出した時間 |
| 第六章 旅の終焉 |
| 第七章 ある仮説 |
| あとがき |
| 2012年6月(第5刷)/木楽舎/単行本/中古 |
| <★★★★> |

| フェルメール(1632-1675)好きの福岡先生の本は、別のもあるけれど、 |
| 手に入れやすいこれを仕入れておいて、だいぶん経ちました。たまには |
| 絵の本をと選択。メモを適当に繋いだだらだら文をアップします。 |
| 忙しい研究者なのに、よくもまあこれだけあちこちに行ったもんやねぇ。 |
| すごいんで、本のためだけではないのかなとも思う。章のサブタイトルも |
| 挙げてみたいところ、地名だけを並べてみると、 |
| 第一章 フランクフルト、アムステルダム、ライデン/ハーグ/デルフト |
| 第二章 ワシントンDC/ニューヨーク/ニューヨーク |
| 第三章 パリ、ブール・ラ・レーヌ/ルイ=ル=グラン ― パリ |
| 第四章 エディンバラ/ロンドン/ロンドン/アイルランド |
| 第五章 ドレスデン/ベルリン、ブラウン・シュヴァイク/ベルリン |
| 第六章 パリ/ウィーン |
| これだけ回っても、37枚前後の現存するフェルメールの作品をみんな |
| 観られているわけじゃない。34枚? ウーン、でも・・・うらやましい。 |
| それぞれの街に彼の絵があったり、その謎に迫るヒントみたいなものが |
| あったり。 |
| 謎というのはやっぱり科学者の目からのもの、分析的なものが中心で、 |
| つまるところセンスオブワンダー。「光」や「界面」。 |
| それとアマチュア科学者ではあったけれど、科学と生物学に多大な功績 |
| を残したレーウェンフックの研究との関係、そして、実は二人は同じ年 |
| 生まれ、出身地が同じデルフトで同世代であることも相まって、のっぴ |
| きならない接点があったのではないか、というふうに進んでゆく、この |
| 本の趣意や妄想が楽しかった。 |
| 妄想の一つには、先生の「動的平衡」に繋がるぞ繋がるぞと思わせると |
| ころが何箇所かと、満を持したように「動的平衡」という言葉をぶち上 |
| げるところが一箇所、まあ「お約束」ふうに出て来ました。 |
| 細かく見て行くと絵にもほんとにいろんな情報があるものだけれど、な |
| るほどフェルメールの絵にはそういうものが多いんだ。こじつけっぽさ |
| も感じつつ、先生の好奇心を猛烈に刺激したことがわかる気もしました。 |
| 近ごろは日本でもあまりに人気が出て、そのせいか、テレビなんかでも |
| 科学的分析をしてみせたりする。部屋の壁にはもともと何が描かれてい |
| たのかなんてね、ある番組でも観ました。びっくりぽん、みたいなのも |
| ありましたっけ。 |
| でもまあ、先生のはそんな単純な「・・・愛」とは違うのめり込みよう |
| でしたね。 |
| 世界のあちこちの美術館に展示されている状態のフェルメールを福岡先 |
| 生が観て、根拠のある妄想を膨らませたり新たな妄想を得たりするとい |
| うこの本、ほんのちょっぴりはその場に行った気分になって、観られま |
| した。用事にかこつけてだったのでしょうか、なんと4年もかかってで |
| きた本なんだって・・・ |
| さて、ワタシがジジイになってから好きになった画家というと、フェル |
| メール以外には、その100年前のカラヴァッジョ(1571-1610)。派 |
| としては、フェルメールの200年あとのバルビゾン派。といっても、 |
| 絵の知識なんかろくにありません。 |
| ただ、この本にもカラヴァッジョのこと、その信奉者、追随者を意味す |
| るカラヴァジェスキ(フェルメールが勉強のため所属したグループがそ |
| うだったらしい)のことは、チラッと出て来ました。カラヴァッジョの |
| 名が出てきて、少しだけ色めきたったりしましたね。 |
| ワタシがフェルメールの絵で一番好きだと思っているのは、実はこの本 |
| のカバーに使われている「デルフト眺望」。バルビゾン派が気に入って |
| いるのと関係あるかもしれない。(でしょ?)よくわからないけど。 |

| 中の写真の第一枚目が、レーウェンフックが誰かに描いてもらった昆虫 |
| の脚。極めて細密に描かれていて、光の具合もすごい。こうした点も、 |
| 得るのか、可能性は非常に高いはずだ、、、」 |
| 最終章を読む前に、どうも、先生、フェルメールの謎解きに挑戦してい |
| るようでいて、実は、レーウェンフックとの関係のみならず、「顕微鏡 |
| の父」たるレーウェンフックのほうに我知らず、軸足を置いてしまって |
|
いたんじゃないか、なーんてね。こりゃワタシの冗談ぽい妄想ですけど ね。 |
| 最終章とあとがきを読んだ後は、、、最終章には確かにレーウェンフッ |
| クとの関係という謎(フェルメールがレーウェンフックの論文に添付す |
| る絵を一部描いたんじゃないか!)にかなり拘っていたのであって、あ |
| とがきの時点では、その謎からは少し離れ、フェルメールの絵が汲めど |
| も尽きぬ謎の宝庫なんだと言って客観的に締めくくられている。 |
| あの特徴的な「フェルメールの部屋」というパターンは、繰り返し観た |
| せいか、ワタシも光の具合などがつい思い起こされることがあります。 |
| 今回は写真がすごくきれいでした。もっとも、視力がだいぶん落ちてき |
| たので、でかい虫メガネをそばに置いてのメンドクサイ読書になりまし |
| た。部屋の電灯をもう少し明るいものにする必要があります。 |
| 忘れるところでした。 |
| 先生は今、ロフティングの「ドリトル先生」のスピンオフ的な物語「ド |
| リトル先生、ガラパゴスを救う」というのを、朝日に連載されていて、 |
| もう190回ぐらいになる。紙面としては「科学」の欄。土曜日以外ほ |
| ぼ毎日で、今までのところは一応すべて目を通せています。一日分はい |
| たって短いものの、楽しんで読めている。日本国中。大変な読者数でし |
|
ょうね、きっと。まだガラパゴスにはたどり着いていません。先は長い ようです。 |