著者の父親の相当な記憶力と淡々とした表現に、著者自身もかなり驚嘆して |
いる。読むほうもそうでしたね。学者先生である著者の補足や解説と相互補 |
完するようにできており、とても理解しやすい。一見お手軽ながら、名著なの |
かもしれません。 |
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感じるものが多くて、感想文がやたら長くなってしまったんで、こもままではイ |
カンと、紹介にとどめることにしました。
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《ネットの内容紹介から》 | 戦争とは、平和とは、高度成長とは、戦後日本とは、いったい何だった | のか。戦争体験は人々をどのように変えたのか。徴兵、過酷な収容所 | 生活、経済成長と生活苦、平和運動への目覚め・・・。とある一人のシ | ベリア抑留者がたどった人生の軌跡が、それを浮き彫りにする。 |
著者が自らの父・謙二(1925-)の語りから描き出した、日本の20世紀。
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シベリア抑留の話は初めて読みましたが、読書中、たまたまオフクロのところ |
に、慰労金(抑留されてすぐに亡くなったお兄さんが対象)の案内だか通達だ |
かが来ていて、ゆくゆくはワタシにも関係があるとかいう。そんなことはどうで |
もいいんだが、オフクロにはタイムリーだったようで、読み終えたら貸せという。 |
今はもうオフクロの部屋に置いてある。 |
兄の抑留の状況を知りたいのか、多くの裁判の後も補償なんぞする気はな |
い政府の苦肉の「慰労金」までのいきさつを知りたいのかというと、まあ当然 |
というべきか、この本の前半のほうが興味の対象だろうと思う。 |
こんなに読めるんだろうか・・・なんて、命より目のほうが先にイカレルんじゃ |
ないか、なんて心配してみても始まらない。 |
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終戦も近づいていたころに招集された若者の経験した武器などロクにない軍 |
隊の状況などは、ばかばかしくも興味津々だったですねぇ。 |
で、抑留。約60万人ほど連れていかれ、亡くなったのがそのほぼ10%だが、 |
大半はその最初の1年(1945-46)でのことだったそうな。オフクロのお兄さん |
も恐らくその中にいるということだ。ソ連だっていかにじり貧だったか、これ読 |
んでよくわかりました。 |
そして生き延びた日本人たちが落ち着いてきて、その次に陥りがちだったの |
が‘捕虜の社会’の中で蔓延していく“民主運動”、日和見や忖度の代物。 |
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帰国後は、焼跡闇市派だとか、開高健の「日本三文オペラ」だとか小松左京 |
の「日本アパッチ族」なんてものは、ここではまるで描かれない。学歴も技能 |
もなく単なるサラリーマンとして苦労を重ねる。ちゃんとした治療方法に間に |
合わなかった病気(結核)もとても重い経験。しかし少しづつ立ち直ってゆく。 |
でも、なんといっても白眉は最終の第九章!(オフクロにとっても、かも) |
偶然、元シベリア抑留者の朝鮮人皇軍兵士と文通を始め、日本政府を相手と |
した戦後補償裁判などに、実に様々な形で参加してゆくことになる。 |
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これでみんな説明できるはずもありませんが、9章中、とても凝縮された感じ |
がした第4節をべたべた貼り付けて、とりあえずおしまいにします。 |