未来のアラブ人② ― 中東の子ども時代(1984-1985) |
第5章~第10章 |
作/リアド・サトゥフ 訳/鵜野孝紀 |
2020年4月/マンガ/花伝社/共栄書房/単行本/中古 |
<★★★△> |
一作目は去年の11月の初めごろにアップしました。 |
第5章 |
一作目からの続きなんで、第5章。主人公(作者)は6才。 |
まだまだかわいい完璧な子ども。 |
地元で豪邸を立てる気満々の父親は、やはり大学の先生だとは思えないトン |
チンカンさや地元(シリア)愛に満ちているよう。 |
突如息子を学校に入れるくだりもヘンだが、女子生徒がいない学校の奇天烈 |
さに唖然!担任はまるでヒットラー賛美者のごとき女性。 |
従兄たちと小冒険。 |
章の最後は、金満家の親戚の家に招かれ、自慢話まみれになる。 |
すごすご帰宅。特に父がやけに無口になる。 |
第6章 |
父親が借りた散弾銃で、雀をズタボロにする話。 |
母親が起こしてくれずに、遅刻する話。 |
父親が母親からなじられ(いつまでたってもスカーフはしないんだネ・・・) |
ビデオデッキ、洗濯機、オーブン付きガスコンロを買い込む話、など。 |
第7章 |
ある将軍夫婦(有力者?)に家族で招待されて、広大な遺跡を見物。 |
その将軍夫婦も含め、別の将軍に招待されて、食事など。 |
それらでもって、偉い人たちの噴飯物の俗物ぶりを、目の当たりにする。 |
それらに登場する子どもも、同様にゲッソリするような性悪。 |
ムカつくような内容をいいたいのだろう。 |
父はそんな人々に取り入ろうと、あさはかで無益な努力、母は意思疎通の努 力。 |
第8章 |
学校でコーランの音読をさせられる話、どうもみな意味がわかってないみた い。 |
7年に1回の大統領選挙の話、帰って親に「イエス」と書けと先生が言う。 |
当然のように対抗馬はいない。 |
軍人が大統領の前で生きたヘビを食う・・・ |
未婚の母は死に値するってのを実践(殺すこと)する人がいる・・・ |
父が頼んだレンジがレバノンからロバに乗った爺さんが3日かけて運んでき た。 |
第9章 |
一時、母親と(子ども二人で)ブルターニュの実家へ行く。 |
始めは大きなスーパーを満喫(特に母親)。 |
次はおばあちゃんと海で生き物の勉強(≒食料調達) |
じいちゃんばあちゃんは公務員だったから年金が多い。 |
スキー場へ連れてってもらうも、スキーは全くダメ。 |
第10章 |
村長が近隣の家長を役場に招いてばかり。それに付き合う。 |
父はフランスで買ったタバコ(ダンヒル)を見せびらかす、、、で、何? |
冬の終りに10日間の長雨、村中が水浸し、休校、、、友達と遠出をして遊 ぶ。 |
休みが終ったら、女の先生が気味の悪い男に変わっていて、臭く奇行の持ち |
主。 |
学校に行かない日は母親がフランス語を教えてくれるが、嫌でしょうがない。 |
ところがある日突然、絵本の言葉がわかり始め、絵本の見方が変わる。 |
春、水たまりにカニを見つけると、性悪な男の子がやけに怖がる。 |
夏休み、フランスには行かず一家で海辺のリゾート地へ旅行。ホテルでひた |
すらケチ臭い父親。 |
第8章で出てきた、未婚で妊娠した娘を殺した話があった。その殺した当事者 |
たる夫が数か月で放免されたようで、その男とすれ違う。父はすれ違っても |
知らんふりをする。 |
写真はこの巻の最後のページ。結婚しないで妊娠した女を殺した男・・・ |
そういや、「いいね」という訳語がいろんな場面で出てくる。一種の挨拶 |
的なことばなのだろうが、ほかにいい訳語がないのだろうか。紛らわしい。 |
・・・てなふうに、細かいエピソードが具体的だが、単純にただぞろぞろ羅列さ |
れていて、それをこちらも並べ立てました。帯の文言とは違って、第1巻のよう |
なインパクトが乏しかったですね。もっとも、逆に言えば、著者の記憶が具体的 |
になった感じでもある。ただ、並べ立てざるを得ない「篇」というような。 |
父はいつまでたってもトンチンカンに意地っ張りだが、少し感じが変わって来た |
か、こっちが慣れてきたか、、、 ウーン、慣れたとは言えないか。 |
シリア。同じ地球上の話だとは考えにくいほんとうに奇妙な世界です。 |
第1巻は様々な賞を受けている。 |
「あちら」では2010年に第3巻が出て、やはり賞を受けているそうな。著者の |
映画作品のことも紹介されている。そして、2020年秋には(やはりあちらでは、 |
ということなんだろう)、この第5巻が刊行予定なんだって。 |
日本では第3巻まで出ているけれど、かなり高く、第4巻はまだ出ていない。 |
第3巻はいずれ読めるかも。 |