休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

志ん朝/居残り佐平治』『雛鍔』

20231108(了)

古今亭志ん朝〈2〉 (落語名人会2)

『居残り佐平治』

  ①出囃子「老松」~マクラ

  ②事の発端    ③翌朝の掛け合い   ④2日目の夜
  ⑤三日目の朝  ⑥蒲団部屋入り~イノどん誕生
  ⑦主人との掛け合い~サゲ~砂切り
     録音:1978年12月5日 三百人劇場 <★★★☆>

雛鍔

  ⑧出囃子~三下り中の舞~マクラ

  ⑨屋敷での検分 ⑩ ご隠居入来  ⑪ 子供の帰宅~サゲ~追い出し
     録音:1981年4月16日 三百人劇場 <★★★△>
 
  監修;榎本 滋民
  CD/落語/Ⓟ1979・1985 Sony Music/邦盤/レンタル落ち(中古)

『居残り佐平治』;無銭遊興で居残った男のため遊郭は大混乱

マクラで遊びのレベルのことが説明され、「居残り」というのがどういうレ

ベルなのかわかる。これはどうも店の「女性」の側からの基準らしい。がと
もあれ、お話は、実はそれを逆手に取ったようなもの。
吉原は飽きたので、今度は品川に行ってみようということになる。
この遊びなるものが遊郭におけるものなんだということを、ちょっと忘れて
しまいそうな感じ。妙に明るい。
ワタシはこの噺は知らない(って、たいてい知らないけどね)ので、②事の
発端 ③翌朝の掛け合い あたりはどんなことになっていくのか、あまりピ
ンとこなかったのですが、どんどん面白くなり、志ん朝さんの調子も上がっ
て行ったみたい。
45年前の録音ですか。
お客のノリもいい。というか、もうお客は志ん朝さんの噺のスピードについ
て行くのに慣れている、とか、もうボチボチ笑えるネタが来るぞぉと予測し
ている、とか、なんかそんな感じもするけどね。反応が早いんだよなー。
でも、面白かったです。

 

  「おこわ【御強】 に かける」という言い方が下げで使われる。「一杯食
  わされた」「騙された」の意になる。知りませんでした。
  おこわはお赤飯のこと。赤飯にかけるごま塩とだんなの頭髪(ごま塩頭)
  の様子をかけたものだそうだけど、今じゃ使われない言い方だって。
  お客はドッと笑ってたけどね。スタンダードな出し物なんで、大半のかた
  が既に知っているということか。

 

雛鍔;銭を知らない若様を真似して気取る附け焼き刃

「ひなつば」でいいんだろうか。これもちょくちょく見かけるだしもの。

お金のことも知らないさるお坊ちゃまが拾った穴あき銭のことを、ひな人形の
キャラが持っている刀の鍔みたいだと言って話題になる。高貴なところの子ど
もは違うなあ・・・ そのへんを息子がバッチリ聞いて学習している。
そっちのほうへ噺が進むのかと思ったら、違うのね。疲れて帰った庭師(親方)
であるオヤジが、子供のことでカミサンと(面白く)ぶつかっているところへ
大家さん(だったか)が尋ねて来る。
さっきの(学習した)子どもは、遊んで来いと追い出される。
大家は庭の(樹々に関する)依頼のことで行き違いがあったことを詫びる。
その行き違いの際、親方のほうこそ下手に怒ってしまって引っ込みがつかなく
なって謝りにくくて困ってしまっていたので、やれ助かったというようなやり
取りに噺が移る。なのでトラブルのほうは案外すんなりおさまっちちゃう。
じゃあこの先どんな話に進むんだろうと思ったら、夕飯時ですぐ帰ってきた息
子が拾って帰った穴あき銭に関して、高貴なお坊ちゃんの真似をして大家さん
に大うけ。そのへんでのギャグがサゲに繋がって、エンド。
喋りが調子よくて笑えるけれど、噺としては構成的にちょっとバランスが悪
いような気もしました。
 
落語好きの役には立たない鑑賞記でしょうが・・・
喋りのキレやテンポが、さすが、実にいいですね。
こんな感じじゃ演りにくい、向かないネタもきっとあるわけで、そういう時は
がらっと変わるんでしょうか。名人だもんね。でも、アタシャ(なんてね、気
取るこたぁない、ワタシは、でいい。でもそうなるんヨ)知らないです。