休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

ニュー・シーズンズ/ギドン・クレーメル

20231111(了)

NEW SEASONS

   GIDON KREMER

      GLASS・PÄRT・KANCHELI・UMEBAYASHI

      KREMERATA BALTICA

(1)PHILIP GLASS(1937- );
    ヴァイオリン協奏曲 第2番「アメリカの四季」
   ①Prologue 1:38 ②Movemrnt Ⅰ 6:28 ③Song №1 4:06
   ④Movemrnt Ⅱ 11:13 ⑤Song №2 2:29 ⑥Movemrnt Ⅲ 6:19
   ⑦Song №3 2:50 ⑧Movemrnt Ⅳ 6:59 
(2)ARVO PÄRT(1935- );
    エストニアの子守唄(女声合唱と弦楽合奏のための) 2:08

(3)GIYA KANCHELI(1935- );

    エクス・コントラリオ

    for violin,cello,strings,keyboard,bass guitar 
    and performance CD 29:52
(4)梅林 茂(1951- );
  「夢二」のテーマ 3:25
 
   ギドン・クレーメル(violin)、クレメラータ・バルティカ
   リエパイテス少女合唱団 (2)
   録音:2013&2014年、ヴィルニウス、リトアニア国立放送レコーディングスタジオ Tot.77:39
   CD/現代音楽/Ⓟ&ⓒ ドイツグラモフォン/輸入
   <★★★△>

(1)少々苦手なグラスです。映画音楽でなら付き合えるのですけどねぇ。
ところが、①の短い歌うプロローグが絶品。グラスとは思えず。引っ張ら
れるようにして②も意外やいろんなメロディが馴染み、③はスローなバッ
ハ風で(バッハにない音も入るんだけれど)、情緒も感じられる。長い第
2楽章④は、やや沈んだ緩徐楽章。メロディやリズムのアレンジもとても
繊細。⑤のSongのⅡはしみじみとしたヴァイオリンのソロ。そして本領発
揮の⑥。第3楽章。まあこれがグラスのイメージに近い。メロディもリズ
ムも全体のサウンドもいかにも。ただ、珍しいのはハープシコードが聞こ
えること。SongⅢは⑤と同じくヴァイオリンソロのカデンツァ。最終の第
4楽章⑧は7分近い高速楽章。ソロヴァイオリンは大変!
アメリカの四季」というタイトルには、あえて拘る必要はなさそうでし
たが、正直に言ってここまで繊細な変化に満ちたグラスは初めてかも。
表現の幅もここまで発揮できるのなら、聴けます。ちょっと驚きました。
クレーメルとバルティカの「表現力」もきっと利いていたんでしょうね。
 
(2)たった2分のペルトです。
女声も弦(ピツィカートのみ)も少人数。
元々エストニアにある子守唄をアレンジしたんでしょうか。かわいらしい。
 
(3)カンチェリは久しぶりに聴きます。この曲は勿論初めて。意味は不明。
30分近いがバンドには分かれていない。曲調がどんどん変わって行く。
チャララランと始まるのは、ハープシコードか、案外電気的なキーボードか。
ああそうか、キーボードって書いてあらぁ。全体に、一音一音が長く、キラ
キラ感がありつつ、シンネリと流れて行く。(説明になってない!)
激しい部分だって少しはあるんだけれど、簡単に言ってしまうと、情緒の表
現でしょうか。いろんな情緒の表現。独特のムードはあります。ペルトやタ
ヴナーといった作曲家と並べて論じられることがあるのもわかりますね。
民族的だったり宗教的だったりするそうだが、その辺はどうかな。また簡単
に言うと「網羅的」だそうな。これもピンとこない。
グルジア出身だからどうのと言われてもわからないが、ロシア(実際はソビ

エト)の映画音楽はいくつか担当していて、あのケッタイなSF映画不思議

惑星キン・ザ・ザ』・・・観たよなぁ、へんてこりんな映画だったことは覚

えてるけど、へぇーカンチェリやったっけ。それは覚えてへん。
     たまたま見つけた自分の古い記述によると、「キン・ザ・ザ」の時のカ
  ンチェリの音楽はつまらなかったみたいなことを書いていました。記事
  自体は6年ほど前の、やはりクレーメルによる映画音楽系のアルバム

  (ピアノ伴奏中心にもの)の鑑賞記で、その中にはこの曲が入っていた

  わけではないが、少なくともその時までは覚えてたらしい。

 
(4)これは、鈴木清順監督の映画『夢二』のテーマだそうな。この三拍子
の寂しいテーマをクレーメルが弾いているのが不思議。ビートルズにこれと
似たメロディがあったよなぁ、というぐらいでしょうか。

(2)や(4)は短すぎて味わうようなものじゃない。アルバム構成上、何
 か意図があったんでしょう。
 カンチェリはムード音楽でしたが、意外な拾い物はグラス。こんなふうに
 手を変え品を変えここまでいろいろやっているグラスは、ひょっとすると
 ワタシ初めてかもしれない。<★★★☆>でもいいかも。
 「new seasons」の意味はわからず。
 まぁそんなところです。