20200522(了)
エル・タンゴ~ピアソラへのオマージュ2
/クレーメル
EL TANGO / GIDON KREMER
アストル・ピアソラ
①レピラード 3:12
②パチュリ 8:13
③3001年へのプレリュード(作詞;アンジェラ・タレンツィ) 3:51
レオニード・デシャトニコフ
④マイ・ハピネス(原曲;イエフィム・ローゼンフェルド) 2:19
ピアソラ
⑤エル・タンゴ(作詞;ホルヘ・ルイス・ボルヘス) 6:51
ギア・カンチェリ
⑥インステッド・オブ・ア・タンゴ 4:15
ピアソラ
⑦デカリシモ 3:38
フアン・カルロス・コビアン
⑧ロス・マレアードス(酔いどれたち) 5:18
ピアソラ
⑨チェ・タンゴ・チェ(作詞;ジャン=クロード・カリエール) 3:00
⑩3人のためのミロンガ 6:29
⑪ミケランジェロ70 3:23
アストル・クァルテット:
ギドン・クレーメル(vln)、ペル・アルネ・グロルヴィゲン(バンドネオン)、
ヴァディム・サハロフ(p)、アロイス・ポッシュ(b)
ゲスト:
オダイル・アサド(g)、セルジオ・アサド(g)、ミルバ(③⑨ vo.)
カエターノ・ヴェローゾ(⑤ 語り)
録音:1996年12月、パリ
CD/2013年/室内楽//Ⓟ1997&ⓒ2012 Nonesuch//WMJ/邦盤
<★★★☆>
帯 「私がピアソラの音楽の価値を信じるのは、ノスタルジアという語法
によって、よりよき世界を示してくれるからだ」―ギドン・クレーメル
わかるような、わからないような、変な言葉。
実際、なんで時折聴きたくなるのかよくはわかりません。やっぱり中南
米系なら大抵耳になじむと思っている(≒思い込んでいる)せいかしら
ん。 猛烈な緊張感で満たされた演奏なので、はじめ、ちょっとしんどい
感じでした。それはそれ、問題あるなぁと思えたものの、次第に慣れて
きました。
①中の緩徐部分は濃厚だが、前後の速いパッセージは軽快で技巧的。
この調子なり音色なりが、本アルバムの代弁をしているよう。
②楽譜だけあって録音されたことがなかったかもしれないという、全体
にはしっとりした曲だが、ぐっと秘めたものがある感じ。眉間の皺・・・
③なんとミルバ! 25年ほども前だからまだバリバリだったんやろね。何
ヶ国語もこなす彼女、ここではイタリア語。ワタシにはしつこすぎて乗
れない曲だったけど、久々のミルバの迫力ある歌唱はちょっとだけ懐か
しかった。繰りかえして聴こうとは思わない。
④アルゼンチンともピアソラとも違い、コンチネンタル・タンゴふう。
短い。
⑤ヴァイオリンの変わったテヌートや擬音ふうなの弾き方以外はピンと
来ないが、語りが入ってきて、なんとブラジルの大立者カエターノ・ヴ
ェローゾが語る。ただ、これがスペイン語。出来るのだろうがあまり迫
力は感じない。解説だと発音がポルトガル訛りだと指摘している。ボル
ヘスの詞といっても、ワタシにゃ別に霊験あらたかでもなんでもない。
⑥あの現代音楽のカンチェリ(1935- グルジア生まれ)の作品とのこと。
さすがに新しい感覚。分断されるリズム・・・ なかなかどうして面白
かった。
⑦バンドネオンがリードする滑らかな曲で、ちょっと地味だけれど、い
い感じです。
⑧ヴァイオリンとバンドネオンのみ。ピアソラの影響を受けた作曲家の
作品だそうで、1922年。当時はこのセンスに時代が追い付かず、ずっと
のちに評価された曲らしい。ピアソラの影響を受けたというのはうなず
ける。
⑨ミルバの発音(フランス語!)が意識的なのか、オーバーな感じで独
特。ピアソラがミルバとのショーのために書いたそうな。曲自体は軽快。
⑩アサド兄弟のギターとヴァイオリンとバンドネオン。ウォン・カーウ
ァイの97年映画『ブエノスアイレス』でも使われたそうな。スローなテ
ンポながら、表現意欲横溢の凝った作品。名作かも。映画でこういうム
ードたっぷりの濃い曲を使うのかなぁ、邪魔にならんのやろか。
⑪これ、知ってます。サキソフォン・クァルテットやそれ以外でも聴い
たことがある。不協和音をぶつけるように使う。テンポが速いので、ま
あ最後の曲としてうまく嵌っているよう。
⑧⑩⑪あたりがよかった。
ちょっと点数辛いのは、ミルバの唄やヴェローゾの語りが、どちらかと
いうと苦手、回数聴けないから。
第3作目はどうしたものか。
これの第一作目、引っ張り出してみよう。