休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

映画『帰ってきたヒトラー』

20200529(了)
映画『帰ってきたヒトラー

 監督・脚本:ダヴィット・ヴェント//オリヴァー・マスッチ/ファビアン・ブッシュ
 2015年製作/116分/G/ドイツ/原題:Er ist wieder da/DVDレンタル
 <★★★☆>

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映画は、チャーチルの次はヒトラーになりました。

「またヤツがいる」「アイツがまたいるヨ」ぐらいの意やね。

 

<映画.com解説から> ヒトラーが現代によみがえり、モノマネ芸人として大
スターになるというドイツのベストセラー小説を映画化。服装も顔もヒトラ
ーにそっくりの男がリストラされたテレビマンによって見出され、テレビに
出演させられるハメになった。男は戸惑いながらも、カメラの前で堂々と過
激な演説を繰り出し、視聴者はその演説に度肝を抜かれる。かつてのヒトラ
ーを模した完成度の高い芸として人々に認知された男は、モノマネ芸人とし
て人気を博していくが、男の正体は1945年から21世紀にタイムスリップした
ヒトラー本人だった・・・


観るほうは、はじめっから、「本人」であるとわかって話が進む。原題のと
おり。観ている人には自明なんだけれど、映画のキャラクターたちにとって
はわからない。
彼は‘らしい’考え方を臆面もなく振りまき続け、始めこそ時代にそぐわなか
ったり変人扱いされるが、どんどん学習し、順応力を発揮してゆく。
上手いことに、食い込んだのは巨大メディア、つまりテレビ局。
だからというべきか、人気は急騰、情況はどんどんヤバくなってゆくふう。
社会に与える影響のヤバくなるなり方が、おしまいに近づくほどスピード
が上がる。ヒトラー自身は世情が「好機」であることをどうやら捉えてい
る。ニンマリ。余裕さえ見せ始める・・・


カミサン、この映画、どう考えたらいいの?という。
わかっているつもりだけれど、この「ブラック・ジョーク」、説明しづら
い。このヒトラーにとって最もピンとくるのが緑の党であったり、ネオナ
チの連中がひよっこであったり、というようなことはわかりやすいが、ヒ
トラーのような考え方の、喋りのたくみなリーダー候補が出てきた時どう
なんだ?と言っているだけでもない。民衆の側がどれだけ“やわ”になって
いるのか、とか、過去の記憶が賞味期限切れになっていないかどうか、と
かの試験紙みたい。「ジョークなんやけど、皆さん、ホンマに大丈夫でっ
か?」と問う。

でも、こういう設定なんだといっても、よくもこれだけ、ただ今現在の問
題や「タブー」っぽい内容を次から次へと繰り出す映画が、許容され作ら
れたもんだと、ほとんど感心してしまった。現代の、あるいはちょい前の
「政治家ご本人」の映像もいろいろ出て来ました。