クラシック中心のドイツグラモフォンからというのがちょっと変わってますね。 |
さて、マリアネッリというとイタリア系。 |
「プライドと偏見」(英、2005)、「アレクサンドリア」(スペイン、2009)、 |
「ジェーン・エア」(英、2011)、「アンナ・カレーニナ」(英、2012) など |
というヨーロッパのリメイク物の文学的作品も手がけている。 |
「プライドと偏見」を少し聴いたぐらいで、ちゃんと聴くのは今回が初めて。 |
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この映画を観た時には、あまり印象的な音楽だとは思わなかったが、ピアノが |
多く使われ(ピアノムードもの)、雰囲気は十分あるというぐらいの感じでし |
たかね。実際聴いてみたところ、言葉で言えばだいたいそんなところなのです |
が、付け加えておきたいことがいくつか。 |
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一つは、様々なテンポはあれど、基本、いずれもがいわゆるミニマルミュージ |
ックといっていいこと。もちろんそう単純なものじゃなく、オケが様々に絡む。 |
ミニマルというと、ワタシの天敵のようなフィリップ・グラスという宗家とも |
いうべき有名な現代音楽作曲家がいますが、全然ちがう。 |
二つ目は、繊細に、あるいは重厚に絡む弦(概して低弦)が魅力的であること。 |
三つ目は、時々咆哮するブラス、その中でもホルンが、ジェリー・ゴールドス |
ミスのように耳に残る。 |
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えー、まあそんな感じでしょうか。 |
主題というかテーマは、一つないし二つ。多くの映画音楽がそうであるように、 |
完全なメロディを構成しているわけでもないのが残念と言えば残念だけれど、 |
アレンジ~変奏~の上品さからサスペンスフルな重厚さまで、深い音色の優れ |
た劇伴(≒劇付随音楽)になっていると思います。そしてミニマル以外に最大 |
の特色と言っていいのが、派手さはないものの、そこはかとなく感じられる、 |
「ヨーロッパの映画音楽らしい香り」というか、そういったものが沁み出して |
いること。ドラマティック・アンダースコアとしての機能を果たしているにと |
どまらず、この「香り」は個性というに足る。ワタシとしては実はそっちが主 |
なんですけどね。 |
フィリップ・グラスより、根っこでハンス・ジマーを苦手にしているという意 |
識が染み出してしまっているような気がします。別にそこまでじゃないと思っ |
てるんだけど・・・ ジマーにも時には、ここでのマリアネッリより長くてい |
いメロディもある。例えば『グラディエイター』なんかそうじゃなかったっけ
・・・
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このよく知られた歴史的事実だけでできたような映画、メイキャップの話題性 |
から観たなんていう方もきっと多いでしょう。でも音楽を意図的に聴いた方は |
きっと多くないでしょうね。かく言うワタシも音楽が主だったわけじゃない。 |
様々な状況が積もり積もってこんな展開になって行った感じを、ミニマルを巧 |
妙に取り込んだ音楽でもって見事にたたみかけ、支えていたんだということを、 |
報告しておきたいと思います。 |