休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

リャードフ : 管弦楽作品全集

 リャードフの‘展覧会の絵

20231005(了)

リャードフ : 管弦楽作品全集

 Anatoly Konstantinovich Liadov(1855-1914):Complete Orchestral Works

プーシキン生誕100年記念ポロネーズ Op.49 ―7:13

②古い時代から Op.21 ―6:02

スケルツォ第1番 Op.16 ―5:46

④挽歌 Op.67(1914) ―3:20

⑤音楽の玉手箱 (おどけたワルツ) Op.32 ―2:33

⑥アマゾネスの踊り Op.65(1910) ―3:46

ヨハネの黙示録より Op.66 ―10:42

⑧アントン・ルビンシテイン像除幕式祝賀ポロネーズ Op.55 ―4:34

8つのロシア民謡 Op.58(1906) ―Tot.14:15

 ⑨Religious Chant 1:57

 ⑩Christmas Carol 1:21

 ⑪Melancholy Song 3:43

 ⑫Humorous Song(I danced with a Gnat) 0:57

 ⑬Legend of the Birds 1:35

 ⑭Cradle Song 2:26

 ⑮Round Dance 0:45

 ⑯Village Dance 1:31

3つの交響詩

⑰キキーモラ Op.63(1909) ―8:00

⑱魔法にかけられた湖 Op.62(1909) ―6:35

⑲バーバ=ヤーガ Op.56(1905) ―2:59

 
  クラスノヤルスク交響楽団 Krasnoyarsk Symphony Orchestra
  指揮:イワン・シュピレル Ivan Shpiller
  2001年(もしくは1994年)録音 
  CD/クラシック/管弦楽曲/カタログ№:BRL-94077
  /ⓒ2010 Brilliant Classics(National Music Companyからのライセンス)/中古
  <★★★★>

生まれついての楽才に恵まれ、ムソルグスキーその他から技術的手腕に関し
高い評価を受た。リムスキー=コルサコフの作曲科にも籍を置いたが、生来
の怠け癖などから進歩せず、とうとう大作をひとつも完成させられずに終わ
ってしまったというのね。生涯、記憶力や画才にも優れていたという。例の
「ロシア5人組」と関係を持ったし、ペテルブルグ音楽院では教鞭も取った。
教え子にはなんとプロコフィエフやミャスコウスキーがいたという。すごい
じゃないの。
でも、音楽史上は日陰者的やね。決定的理由は、天下のディアギレフから依
頼されたのにウジウジと返事を渋り、しまいにゃアブラゲをさらわれた。さ
らったのはなんとストラヴィンスキー。作った曲が『火の鳥』だった・・・ 
(もったいない!と言っていいのかどうかは、ちょっぴり微妙やけど)
 
amazonの投稿に収録曲の日本語訳があったので、記載することができまし
た。キリル文字ならそれも面白いかと思いましたが、Brilliantは基本英語表
記みたいだから、かえって意味が気になってしまう。 もっとも、⑨-⑯の
民謡の曲名は載せていなかった。ま、ワタシでもだいたいはわかりますが。
Completeとなっているものの、全集という訳はピンとこない、 せいぜい
「全管弦楽曲」というぐらいがいい。
⑲以外は正直、全く知らない。
 
さてさて、、、恥ずかしながら「びっくりポン!」でしたね。こんなに聴
きやすく親しみやすい、見事に華麗な音楽だとは想像したこともなかった。
始めはグラズノフ(ワタシ結構好き)のようなプロフェッショナルという
か職業作曲家のタイプかと思ったんだけれど、聴くうちにもう一段上だな
と考えを改めた。むちゃくちゃオーケストレーションが上手い。それも脳
天気な華麗さなんかじゃない。
ムソルグスキーに評価された話を載せたけれど、ム氏は『ボリス・ゴドノ
フ』や『禿山の一夜』なんかリムスキー=コルサコフに助けて貰ったはず
だし、『展覧会の絵』はラヴェルオーケストレーションがなかったら、

今ほど有名になったかどうか。そんなム氏だから、評価したというよりは、

大いに羨ましがったと言った方が正しいのではないか・・・なんてね。

 
そのム氏の『展覧会の絵』を持ち出したところで、ああこのアルバムは、
ちょっと曲数は多いけれど、先に書いてしまうと、ちょうど彼の『展覧会
の絵』といってもおかしくない、いや、おかしくないどころか、ピッタリ

なんじゃないかと思った次第。展覧会、あるいは美術館の19枚の絵。 

ところどころに「プロムナード」でもあれば(まあちょっと長すぎるけれ

ど)完璧だよ。それくらい鮮やかなオーケストレーションが聴ける。

①物々しいポロネーズ。祝典の序曲。リズムが重いのはこのトラックのみ。

②ちょっとピアノが聞こえ、ゆったりと古のロシアを思う気分。元々ピア

曲。

③「中央アジアの草原にて」ふう始まりとスケルツォ
④没年作の、少し憂いを含んだロマンティック曲。弦と木管
⑤大人が子供のために発想するキラキラ可愛いワルツの玉手箱。元ピアノ曲

⑥アマゾネスなんて名ばかりで、コサックやイスラム圏のムードが匂う。勇

壮。

⑦もっと暗くてもいいところ、天国でも見えそう。壮麗な盛り上がりもある

大作。これ、(「キエフの大門」のように)アルバムの最後に持ってきたか

った感じやね。

⑧最初の祝典と似た雰囲気だけど、リズムは確実。
以下は「8つのロシア民謡集」とある。
 ⑨宗教的? このしみじみとした感じはすばらしい。ファゴットがいい。
 ⑩すてきなクリスマス。今、特にロシア正教には幻滅してますけどね。
 ⑪メランコリー、ゆったりと美しい。これこそreligiousかも。
 ⑫ブヨ(もしくは蚊?)と踊る様がユーモラス?
 ⑬鳥の声を楽しく模している。
 ⑭ゆりかごだから、あやす感じなんだろう。優しい.。いかにも民謡風。
 ⑮お祭りで丸くなって踊る感じ。
 ⑯前の⑮が「全体の踊り」になってゆく感じ。アップテンポへ
3つの交響詩
⑰民謡調がちりばめられているだけでなく、「魔法使いの弟子」のような
ストーリー性や歴史や自然の奥行きまで感じさせる。傑作じゃないでしょ
うか。演奏も力が入っている。
⑱タイトルの意味は分からないけれど、おどろおどろしさじゃなく、神秘

的な湖らしい。これもいい曲。前曲と同じ年の作ということは、「まじめ」

だったんだね。

⑲この曲は『禿山の一夜』との比較ってことで知っています。上手い!
 
こう聴きやすいとね、飽きるのもちょっと早いかもしれないな。
ロシアものでいうと、やっぱりグラズノフだとかミャスコウスキーなんか
がそのタイプでしょうか、ワタシにとっては。ムソルグスキーにあってリ
ャードフ氏に少なさそうなのは「ダークサイド」かも知らんが、なに、グ
ラズノフに比べりゃ、ちゃんとあると思うな。多くはないけれど。
「でも、CD1枚分だけかぁ!交響曲のひとつも書かなかったのかよ!った
く」と思う。(本当に残念)
どの曲も優れものですが、最後の3つの交響詩はいずれも名曲。ほかにも、
③⑥や9つの民謡もみなよかった。
評には演奏がおとなしいなんてのがあって、確かにそうかもしれない、も

っと派手に鳴らせるところはいくらでもあった。でも十分に力も主張もあ

りましたよ。

また、ホールの響きもよく、録音も悪くなかった。

地方の名でもあるこのオケの町はその南の端で、地方そのものは、ちょう
どロシアのまん真ん中。エニセイ川とオビ川に挟まれたあたり。ちょっと

北に行けばタイガや溶けつつあるツンドラでしょ?こんなところにも優れ

たオケがあったんですね。

もう昔といってもいいぐらい前のことですが、ウラルにすごいオケがある
なんて聞いたことがありましたが、調べてみることもなくそのままになっ
てしまいました。そんなことがあったということは何故か覚えています。
最近名前を見かけたウラル・フィルハーモニー管と同じ楽団かどうかはワ
タシにはわかりませんが、そうかも。
  *なんと、偶然見つけました。米原万理『ロシアは今日も荒れ模様』

   を再読していたら載っていたのです。ウラル・フィルハーモニー

   弦楽団で合ってました!

このクラスノヤルスク響もワタシにはどこか幻のオケめいて感じましたね。
この録音の指揮者が四半世紀常任だったようです。
ああ、ひとつ思い出したことがあります。ホルンがビブラートします。レ
ニングラード・フィルハーモニー管(今はもう名前が違うか)も確かそう

でしたね。やはりパリ音楽院管などのフランスのオケの(フランスに習っ

た)影響が残っているんでしょう。

 
長たらしくなりました。これぐらいにしておきます。