休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

ヒラリー・ハーン/パリ

20230929(了)

HILARY HAHN PARIS

(1)ショーソン(1855-1899);

     詩曲 Op.25 ①16:57

(2)プロコフィエフ(1891-1953);

   ヴァイオリン協奏曲 №1 Op.19

      ②9:36 ③3:55 ④7:56

(3)ラウタヴァーラ(1928-2016);

     二つのセレナード(世界初録音)

      ⑤7:50 ⑥6:37 (編曲:カレヴィ・アホ)

 

  ヒラリー・ハーン(ヴァイオリン)

  ミッコ・フランク指揮/フランス放送フィルハーモニー管弦楽団
  録音:2019年2月&6月、パリ、フランス放送オーディトリアム Tot.52:51
  CD/協奏曲/Ⓟ&ⓒ 2021 ドイツグラモフォン/ユニヴァーサル・ミュージック/輸入/中古
     ①<★★★★>、②-⑥<★★★☆>

一度聴いてみたいと思っていたヴァイオリニストです。アメリカのかたのよう
ですがイザイの孫弟子だとか。パリやこのオケにも縁が深いといったことで、
このタイトル・・・
 
(1)ショーソンも「詩曲」もけっこう久しぶりです。
フランク一派の匂いぷんぷん。いいですねぇ、ロマンティックでぇ。
 
そしてハーンさんのヴァイオリンですが、ちょっと硬質で甘さが少ない。だか
らというのもなんだが、所謂美音でもない。ごく普通に歌ってはいるんですけ
どね。知らずに聴いたら、女性じゃないと思うんじゃないかなあ。(男勝り、
なんて死語にされそうだけど・・・) 曲が曲だから、線が細くなくても、な
よなよしなくても全く問題ない、とあえて書いておきましょう。彼女と付き合
いが長いらしいオケは粘らず柔らかくつけていて無難。昔はあまり好きな曲じ
ゃなかったので、正直、いい曲じゃん(じゃ有名曲に失礼だけどさ)。
 
(2)プロコフィエフのヴァイオリン協奏曲。名曲中の名曲。というか、ワタ
シ自身が大好きな曲。硬めの、強いが熱くはない音が、この曲にはピッタリ。
情感はともかく、技術をひけらかすことは大いに可能なこの曲を、生真面目
に弾きとおしたことも好ましかった。
ただちょっと残念だったのは、オケ「伴」であること。「伴奏」っぽいんだよ
な。ヴァイオリンに負けじと、そこそこ工夫して主張するなり、ヴァイオリン
をガンガン鼓舞するなりしてほしかった。その辺がちょっとね、もの足りなか
ったかしらん。安定感はあっても、全体的には、普通の演奏になってしまった
んじゃないか。
 
(3)これは珍しい・・・フィンランドの現代音楽の雄エイノユハニ・ラウタ
ヴァーラもしばらく聴いてなかったですが、そういうことじゃなくて、ネット

のコメントによると、この曲、ヒラリー・ハーンのために書かれたものなんだ

って。

わからないなりにライナーを眺めていると、1990年ごろのオペラから編曲した
もののようで、二つ目の曲は名が載っている別の編曲者であるよう。バックは
モーツァルトのサイズの木管群や弦楽オケ。セレナードねぇ・・・
⑤はラウタヴァーラの音色を少しは感じるものの、のっぺりした抒情的な曲。
オペラからの曲なのだから心象なのかもしれないが、なんとなくひんやりとし
フィンランドの景色っぽい感じもした。アルプスのような山々がない景色。
ところどころに、ウキウキした部分が挟まる。人の心というよりは虫や鳥やそ
の他動物のいる・・・と、ワタシはそうなりがちだね・・・情景。
脱線しますが、、、鳥の鳴き声というとなんたってメシアン。日本じゃ吉松隆
なんて思い出しますが、ラウタヴァーラにもモロ鳥の声を模した曲がありまし
たっけ・・・もう忘れていました・・・
⑥前の曲のイメージを引継いでいるという感じ。ややテンポが上がるがその調
子が続き、最後に盛り上がって次があるぞ、と思わせたところで終わってしま
う。独立した曲としては変。アレンジしきれなかったのか、あえて「そのまま」
にしたのかはわかりません。

オーケストラを柔らかく録ったアルバムなので、ハーンさんの硬質なヴァイ
オリンとはあまりいいマッチングとは言えない気がしましたが、問題云々で
はなく録音上意図的にそうしたということなのかもしれません。
3曲とも楽しみました。