休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

グラッペリ & ペトルチアーニ/フラミンゴ

20230806(了)

グラッペリ & ペトルチアーニ/フラミンゴ

Stephane Grappelli & Michel Petrucciani 〈FLAMINGO〉

  ステファン・グラッペリ(vln) ミシェル・ペトルチアーニ(p)
  ロイ・ヘインズ(ds) ジョージ・ムラーツ(b)
  録音:1995年6月、パリ
  CD/ジャズ/Ⓟ&ⓒ 1996 Disques Dreyfus/Sony Musuc France/輸入/中古
  <★★★★>

グラッペリのヴァイオリンは知っているが、ペトルチアーニ(1962-1999)のア

ルバムは初めてです。学生時代のワタシにはまだ聴けなかった。って、もう半世

紀もたってしまいましたけどね。

骨形成不全という難病で、身長は1mぐらいまでしか伸びず、20歳までという
見立てを、37歳まで生きたが、やっぱり短い。よくもまあピアニストなんかに
なれたもんだ。
これは一応フランスのジャズということになるのかしらん。
 
ペトルチアーニについては、なにかのコメントに、ビル・エヴァンスが好きなら、
十分楽しめるとあった。言わんとすることはわかるけれど、似て非なる音楽だと

思うのですが、どうでしょう。特に、叙情のタイプ。エヴァンスのものは線が細

く、沈潜してしまいがちだし、場合によっては痛々しぐらいになちゃう。
それに対し、ここでのペトルチアーニは、ことこのアルバムについてのみという
制限付きだけれど、叙情的なところでの線は、その他もだけれど、決して細くな
いと思った。トリオやソロじゃないんで、なんとも言えないが、ここじゃあそん

な感じ。体のとんでもない障害からすると、意外なほど翳がなくむしろぐっと

「健康的」。

 
さて、このアルバムですが、華麗でスマートで、ものすごくよくまとまっている。
言わば、無茶苦茶普通の作品。誉め言葉です。
録音時86-7歳だったはずのグラッペリ(1908-1997)のヴァイオリンは、タイ
プとしては古いけれど、音楽は矍鑠とし、ありとあらゆるテクニックを正確に駆
使してムーディだし、それをリズムセクション3人が、のびのび受け、支えて、
しかも皆上手い。
ヘインズはなんたってコルトレーンのレコードでさんざん聴きました。
ムラーツは、東欧系のベーシストですが、ピーターソンのトリオにいた記憶があ
るし、「サド・ジョーンズ/メル・ルイス」のオーケストラにもいたような記憶
があります。「サド・メル」が来日した際聴きにいったことがありますが、その
時のベースはリチャード・デイヴィスだったかなぁ。(東欧出身というと、ミロ
スラフ・ヴィトウスという天才肌のベーシストもいましたねぇ、懐かしい。) 
そうそう、このムラーツさん、アルコが得意なんだそうで、それはこのアルバム
でもちょっとだけど披露してくれている。ジャズ・ベーシストのアルコはあまり

上手い人はいませんが、彼のは実に正確なもので、ヴァイオリンと絶妙に繋がっ

てました。

 
ヴァイオリン・ジャズのお手本のようなアルバムで、グラッペリのヴァイオリン

は古風なインプロヴィゼーションとはいっても、年齢など感じさせない立派なも

の。

ヴァイオリンのジャズを知らない人には、是非お薦めしたい。