休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

映画『スモールワールド』

20230721(了)

映画『スモールワールド』

 監督;パトリック・ベガ//ピョートル・アダムチク
 2021年製作/116分/ポーランド/原題:Small World
 <★★★△>

ヨーロッパ発の人身売買の話。
始めは小児性愛者用にポーランドから攫われる女の子(ウーラ)。他にも攫
われている女の子がいて、5人ほどまとめられる中に、スロバキアという国
名も聞こえた。
ポーランドの女の子の母親が気づき必死で追いかけ、警察も少し時間はかか
るが、気付いて追いかけるも、寸でのところでロシアに逃げ込まれる・・・
ロシアの中で彼らは値切られ、売り飛ばされ、こっぴどい人生を強いられて
ゆく。
 
ウクライナの孤児同然になった子供がロシアに半ばさらわれ、再教育を受け
させられる話(救って養子縁組される???)が聞こえてきているから、つい、
その手の方向に進むのかと思ったが、違ってました・・・ 人身売買の歴史
はたぶんもっとずーっと古い。
 
国境でウーラを助けられなかった警官が一人、彼女を延々追い続けるという
流れになってこの世界を描いて行く。
彼女は慰み物として売られ続け、何年も経ながら大人に近づいてゆく。彼の
ほうは諦めない。しかしどこでももう一歩にところで追いつかない。彼のほ
うも歳を取って行く。徐々に精神に異常をきたした状態にも陥る。(一体彼
はどうやって生活してんだぁ?)
 
英語圏なんかも経、最後はタイ。ウーラはパトロンもしくは紐らしい男と住
んでおり、仕事は娼婦。自己決定ができない奇妙でいびつな性格のよう。
件の警官が「ボロボロ」になりつつもついに追いつく。既に12-3年ぐらいた
っている。彼女との接触は叶うが説得には成功したようには見えない。
一方人身売買のグループの存在と企画を知った彼は、おかしくなりつつも一
計を案じる。(って、ほとんど計画になっていない) この組織の女ボスは
極端で、人身売買業界の確かさを信じ、ほとんどホラーまがいの怖さ。
 
DVDには116分と書いてあったんだけど、2時間半近くあったイメージで、長
く感じました。10数年分をある程度は端折っていたんですが、更にもう少し
整理編集してもよかったかも。ただ、中のキャラクターに嘘っぽいところが
ちらほらあったとはいえ、こういう世界が厳然としてあるということを踏ま
えている感じはありましたね。観る者の心胆を寒からしめる効果はかなりの

ものだと思いました。解決策は一切提示も暗示もされない。実にいたたまれ

ない。

で、、、この映画の中のストーリーですが、彼女ウーラはどんな人生を送る

ことになるのか、一匹狼で頑張った警官の目論みはどうなるのか。予想でき

なかった。

ポスターの「サスペンス」という言葉は相応しくない気がするなぁ。