休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

映画『存在のない子供たち』

20211102(了)

映画『存在のない子供たち』

 
  ナディーン・ラバキー監督//ゼイン・アル・ラフィーア/ヨルダノス・シフェラウ
  2018年製作/125分/PG12/レバノン/原題:Capharnaum/DVDレンタル
     <★★★☆>f:id:kikuy1113:20211110165358j:plain
<映画.com>解説から ; 長編デビュー作「キャラメル」が高い評価を得たレバ
ノンの女性監督ナディーン・ラバキーが、貧しさゆえに親からまともな愛情も
受けることができずに生きる12歳の少年の目線を通し、中東の貧困・移民問題
を抉り出した人間ドラマ。中東の貧民窟で暮らす12歳のゼインは、貧しい両親
が出生届を提出していないため、IDを持っていない。ある日、ゼインが仲良く
していた妹が、知り合いの年上の男性と強制的に結婚させられてしまい、それ
に反発したゼインは家を飛び出す。仕事を探そうとしたがIDを持っていないた
め職に就くことができない彼は、沿岸部のある町でエチオピア移民の女性と知
り合い、彼女の赤ん坊を世話しながら一緒に暮らすことになる。 しかしその後、
再び家に戻ったゼインは、強制結婚させられた妹が亡くなったことを知り・・・
 
原題は「カペナウム」で、旧約では出てこなかったように思う。新約聖書には
エスがいろんなこと(まあ、癒すというようなこと)をやったガリラヤあた
りの地名ということで出て来るのでちょっとだけ知ってはいました。もちろん
レバノンじゃないから、聖書の内容に紐づけられたタイトルなんやろう。
癒しを必要としているんじゃないかという繋がり具合なのか、そんなもんじゃ
効かないんじゃないかということなのか、せっかく癒してあげたのに(あるい
はせっかく祝福されて生まれてきたのに)効果がアレヘンやないか、というこ

となのか・・・ 

カペナウムがらみだと、三つ目? ワタシにゃなんとも言えない。

 
少年ゼイン(12‐3歳らしい)の日常をしばらく見せた後(って、ここだけでけ
っこうワタシなんか苦しかったけどね)、裁判のシーンになり、なんと、自分
を生んだという理由で両親を訴えたことがわかる。途中2度ほどとおしまいに
裁判シーンが出てくる。もちろんそれらのあいだには、実際はどういうことが
あったかを詳らかにしてくれる。
ワタシはしんどかった。エチオピア移民の若い母親の住まいに転がり込むこと
で不法移民の話が濃厚に出てくると同時に、そこに子供の人身売買の話が絡む。

彼の妹(まだ11歳の少女!)を親は金のため、口減らしのため、に無理やり

結婚させ、彼の裁判にも関わってくる不幸な結果も生む。時代錯誤的な因習が
いまだにあるらしい。
もちろんベースには貧困(貧しいから出生届を出せないというのが、実はよく
わからないって、それも問題か・・・)や格差 (まだゴーンさんが逃げ込ん
ではいなかったかもしれない・・・ハハハ)、子供への虐待だとか育児放棄
はたまた、男尊女卑のようなものも見えていると言ってもいい。そんな社会問
題がてんこ盛り。
途中に、くすっと笑わせるようなところがあってほっとしたんですけどねぇ、
焼け石に水・・・。
12-3歳の子供に、生まれてこなければよかったと言わせるのは、なんとかぎ
りぎりわかるものの、だから生んだ親を訴える、という言葉(行為)になる
と、もはや、考えにくいかなぁ。もっとも実にしっかりした子だった。
 

スマホも一応出てくる。これが今なんだとわかる。

最後の最後に見せてくれた彼の初めての笑顔がとびっきり可愛くてね、唖然と
した状態で迎えたエンディングでした。