| 20230717(了) |
『新版 動的平衡
生命はなぜそこに宿るか』/ 福岡伸一
| 「青い薔薇」――はしがきにかえて |
| プロローグ 生命現象とは何か |
| 第1章 脳にかけられた「バイアス」 |
| ――人はなぜ「錯誤」するか |
| 第2章 汝とは「汝の食べた物」である |
| ――「消化」とは情報の解体 |
| 第3章 ダイエットの科学 |
| ――分子生物学が示す「太らない食べ方」 |
| 第4章 その食品を食べますか? |
| ――部分しか見ない者たちの危険 |
| 第5章 生命は時計仕掛けか? |
| ――ES細胞の不思議 |
| 第6章 ヒトと病原体の戦い |
| ――イタチごっこは終わらない |
| 第7章 ミトコンドリア・ミステリー |
| ――母系だけで継承されるエネルギー産出の源 |
| 第8章 生命は分子の「淀み」 |
| ――シェーンハイマーは何を示唆したか |
| 第9章 動的平衡を可視化する |
| ――「ベルグソンの弧」モデルの提起 |
| あとがき |
| <★★★★> |

| 帯は 「生命とは何か」 地球最大の難問を解く です。 |
| 当たり前の話ですが、生物学の行き着く先。 |
| ワタシにとって小むつかしいところはあちこちあったものの、面白かったです。 |
| 文学的(文学系ぐらいの意味か)だ、なんていう評もありましたっけ。それも |
| またよし。ワタシは哲学にも近いと思うんですけどね。 |
| 一度読みかけて途中で長らく放置してしまった本。当初の単行本は始末して、 |
| 新版になったものを読んでみることにしました。(加筆と新章追加されている |
| そうな)読んでおられる方が大勢おられようが、この「動的平衡」をひとまず |
|
まとめた単元を、書き写してみました。鬱陶しいでしょうから、読み飛ばして ください。 |
| って、そうしてしまわれると、読むとこ、ないんですけどね。 |
| ワタシとしては、この基本概念を、どうも頭の中に定着させるのが難しそう―― |
| あるいはたちまち忘れそう、あるいはとっさには説明できそうもない――なの |
| で、自分で文字にしてみておこうというぐらいの感覚です。 |
|
「動的平衡」とは何か 生体を構成している分子は、すべて高速で分解され、食物として摂取した分 |
| 子と置き換えられている。身体のあらゆる組織や細胞の中身はこうして常に作 |
| り変えられ、更新され続けているのである。 |
| だから、私たちの身体は分子的な実体としては、数か月前の自分とはまった |
| く別物になっている。分子は環境からやってきて、いっとき、淀みとして私た |
| ちを作り出し、次の瞬間にはまた環境へと解き放たれていく。 |
| つまり、環境は常に私たちの体の中を通り抜けている。いや、「通り抜ける」 |
| という表現も正確ではない。なぜなら、そこには分子が「通り過ぎる」べき容 |
| れ物があったわけではなく、ここで容れ物と呼んでいる私たちの身体自体も通 |
| り過ぎつつある」分子が、一時的に形作っているにすぎないからである。 |
| つまり、そこにあるのは、流れそのものでしかない。その流れの中で、私た |
| ちの身体は変わりつつ、 かろうじて一定の状態を保っている。 その流れ自体が |
| 「生きている」ということなのである。シェーンハイマーは、この生命の特異 |
| 的なありようをダイナミック・ステイト(動的な状態)と呼んだ。私はこの概 |
|
念をさらに拡張し、生命の均衡の重要性をより強調するため「動的平衡」と訳 したい。英語で記せば dynamic equilibrium(equi=等しい、librium=天秤) |
|
となる。 |
| ここで私たちは、改めて「生命とは何か?」という問いに答えることができ |
| る。「生命とは動的平衡にあるシステムである」という回答である。 |
| そしてここにはもう一つの重要な啓示がある。それは可変的でサスティナブ |
| ルを特徴とする生命というシステムは、その物質的構造基盤、つまり構成分子 |
| そのものに依存しているのではなく、その流れがもたらす「効果」であるとい |
| うことだ。生命現象とは構造ではなく「効果」なのである。 |
| サスティナブルであることを考えるとき、これは多くのことを示唆してくれ |
| る。サスティナブルなものは常に動いている。その動きは「流れ」、もしくは |
| 環境との大循環の輪の中にある。サスティナブルは流れながらも、環境とのあ |
| いだに一定の平衡状態を保っている。 |
| 一輪車に乗ってバランスを保つときのように、むしろ小刻みに動いているか |
| らこそ、平衡を維持できるのだ。サスティナブルは、動きながら常に分解と再 |
| 生を繰り返し、自分を作り替えている。それゆえに環境の変化に適応でき、ま |
| た自分の傷を癒すことができる。 |
| このように考えると、サスティナブルであることとは、何かを物質的・制度 |
| 的に保存したり、死守したりすることではないのがおのずと知れる。 |
| サスティナブルなものは、一見、不変のように見えて、実は常に動きながら |
| 平衡を保ち、かつわずかながら変化し続けている。その軌跡と運動のあり方を、 |
| ずっと後になって「進化」と呼べることに、私たちは気づくのだ。 |
| 今流行りの「サステイナブル」という言葉がここだけで何回も出て来ます。こ |
| の本が出たころは流行ってなかっただろうね、勿論。今は日本国民の大半が辞 |
|
書を引かなくても意味を知っている・・・ それでもって、これじゃあ一見いかにもはかなそうな「効果」「流れ」として の「生命」なんだけれど、語弊を恐れずに言えば「ちゃんと」サスティナブル。 |
| 激烈な、小難しくも力こぶの入った(少々メンドクサイ)第9章こそが、白眉 |
| なのかもしれません。交響曲の最後の楽章の「コーダ」の感じです。 |
| ワタシとしては前半のまだ気軽な (と言ってはまたまた語弊がありますが)読 |
| み物の部分のほうが楽しかったかもしれません。 |


| 図でいうと、ワタシなど「合成と分解」の、合成のほうのスピードがボチボチ |
| 落ちてきてしまいつつあって、残りの輪っかが急速に短くなりつつある。 |
| そういやぁ、百歳になろうとしているオフクロなんて、ここにあるような説明 |
| で行けば、いかほども輪っかなんか残っていない、変な図になっているはず。 |
|
それでも、ワタシのほうが先に使い果たすなんてことも、なくはないんだ。 しっかりボケているオフクロも、自分より子供が先に死ぬのはひどく嫌なよう で、それはワタシも似たり寄ったり。でも、「動的平衡」の状態の「生命」に とっちゃあ、ささいなことにちがいありません。 |
おしまい。
(追)
| さて、台風(7号)一過の、すぐそこのケヤキ並木400-500mの道は、枯れ枝 |
| や落ち葉などがすごくて、非常に歩きにくかった。普段なら邪魔な枝などは脇 |
| へどけたり、砂や落ち葉で塞がってしまっている雨水桝をきれいにしたりする |
| (ここは実は自分の町内じゃないんですけどね、いつも犬コロと散歩で通りま |
| すから)のですが、今回は一人でどうこうできる状態じゃなかった。 |
| ところが、どういうもんだか昨日、役所(の指示を受けた業者)がこれを片付 |
| けちゃった。おとといは惨状だったからね、驚いたねぇ・・・こんなに早く。 |
| どなたか発言権のある方がこの辺に住んでいらっしゃって、市に清掃の「依頼」 |
| をなさったんでしょうか。 |

| よく見えるようになった地面の写真を一枚。まだ穴がくっきり。 |
| 地中で6~8年ほど過ごし地上では1~3週間生きるセミ。 |
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これらはたいていクマゼミの穴やね。死骸はパラパラ。多くは清掃で片付けられ ちゃって、ここには一匹ぐらいしか写り込んでいない。そして肝心なこと、もう |
| 新しいセミ殻はありません。つまり、少なくとも清掃のあとは、クマゼミは新た |
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に孵化というか、変態はしていないってことだね。今生きている個体が寿命を迎 えたらおしまい。 |
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朝はまだそれなりにうるさく鳴いてはいますが、午後にはほとんどアブラゼミば かり。(基本的にはクマ公は鳴くのは朝だけだったもんですが、近ごろは増えて 大味になったか、昼を過ぎても、夕方までも鳴くようになっちゃってる。) |
| 遠くでツクツクボウシの鳴き声が聞こえている。日差しはまだめちゃくちゃきつ |
| い。それでも季節の変わり目が近づいた感覚はあります。 |