休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

ケクラン/サクソフォンのための作品全集 2-1

20230712(了)

KOECHLIN COMPLETE MUSIC FOR     SAXOPHONE 2-1

  Charles Koechlin(1867-1950)

<CD1>64:28

(1)ソナチネ Op.194 №1(1942)
   ①~⑤ 10:55
(2)ソナチネ Op.194b №2(1943)
   ⑥~⑨ 10:12
  以上 Duo Disecheis(David Brutti(ss)、Filippo Farinelli(p))
(3)Monodie №9(12 Monodies Op.213(1947)から) ⑩ 1:54
(4)Le repos de Tityre(11 Monodies pour instrument à vent Op.216(1947)から)
    ⑪ 3:28
  以上 David Brutti(as & ss)
(5)24 Duos Op.186(1946) for two saxophones
   ⑫~㉟ 37:32
  以上 Atem Saxophone Quartet(David Brutti他 ss、as、ts、bs)

 

  録音:2011-12、イタリア
  CD/3枚組/室内楽/Ⓟ&Ⓒ 2012 Brilliant Classics/輸入/中古
  <★★★★>

近ごろは知られるようになっていると思うケクラン。ウィキペディアにも載っ
てはいるものの、記述は意外なくらい少ない。大体作品の一覧がない。抜粋す
らない。広いジャンルにわたって200数十の作品を残したんだが、まだ研究
者は少ないと見える。NAXOSやいろんな通販サイトを見るしかない。
 
フランスの後期ロマン派なんて書き方をしたものを見たが、独立独歩的。斬新
ではなくても、また決して天才ではなくても、わたしに言わせれば、センスも
完成度もピカイチ。ま、「フランス近代』という括りでいいんじゃないかなあ。
徒党は組まなかったけれど、同時代の音楽はよく勉強して、ちょっとは尖がっ
た音楽(無調など)も書いたし、そもそも作品数が多いもんだから、サクソフ
ォンだけでこんなふうにCDで3枚も組めちゃう。
また、「・・・ハリウッド映画に触発された作品も数多く残している。コール
・ポーターの唯一のバレエ作品である「Within the Quota」のオーケストレー
ションも担当している」なんてね、こんな面もある。真っ先に聴いたのはその

たぐいの作品(キップリングの「ジャングルブック」に触発された交響詩集)

でした。

 
<CD1>
(1)(2)は確かにフランスものという感じなんだけれども、類例を知らない。
若い間には絶対に好きにはならなかったろうね。(2)は既知ながら(1)とよ
く似ている。音楽自体は、どこか都会からは離れ、といって田舎っぽくもない、
例えて言うならニュートラルな美しさ。洗練とも違うように思う。ひたすら吹
いていて「間」はないのに疲れない。音は、ジャズで馴染んだソプラノサック

スなんだが、ここまでクラシックとして気持ちよく聴けるのはほとんど意外。

ピアノ伴奏。

 
(3)(4)はソロで(3)はアルト、(4)はソプラノ。Monodiesは哀悼詩なん
て意味だけど、(3)はテンポのあるエチュード風。(4)はのびのび歌う。
 
(5)はサックス・デュオのための24の小品。ソプラノからバリトンまで、い
ろんな組み合わせがある。で、ここまで出そうで出しにくかった言葉「牧歌的」
というのをやっと書くことができる。(1)から(4)まででもそんな曲調はあ
ったのだけれど、この24曲は概ねそのムードだね。勿論ゆったりしたものば

かりでなく、牧人たちの悲しみや憂鬱、喜びや踊りなどを様々に(勝手に)聴

き取れる。

まあ、平凡な妄想や連想ですが、、、連想で言うなら、「オーヴェルニュの歌」
というフランスの田舎の歌なんかにも近い気がする。ソロでないのがいいな。
その音色からの連想という面もきっと大きい。

 

地味なケクランで、読んでくださる方などほとんどいらっしゃらないだろうが、

ワタシは好きな曲が多い。

一枚目で一度切ることにします。