休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

ドン・エリス・アット・モンタレー

20230624(了)

‘LIVE’ AT MONTEREY!

 DON ELLIS ORCHESTRA

(1)33 222 1 222(Don Ellis) 10:29
(2)コンチェルト・フォー・トランペット(Don Ellis) 12:53
(3)パッサカリア・アンド・フーガ(Hank Levy) 7:10
(4)ニュー・ナイン(Don Ellis) 12:16
 
 録音:1966年9月17日&18日 モンタレー・ジャズ・フェスティヴァルにてライヴ録音
 リマスター:2010年
 CD/ジャズ/Ⓟ2010/ユニヴァーサル・ミュージック/邦盤/(Pacific Jazz)/中古
  (1);<★★★★>、(2)(3)(4);<★★★☆>

アンサンブルにしろ、トランペットソロにしろ、よく言えば激しく荒々しく生
生しい。楽譜があるからだろう、破綻はしない。
スイングすることなど伝統的なものは尊重しつつも、それまでにはなかった
リズムの扱いや重々しく尖った圧力あるビッグバンドを作ることだったよう。
編成もすこし変わっている。
魅力も結局そのあたりじゃないかしらん。
影響を受けたであろうミュージシャンや作曲家としては、ミンガス、ジョージ・
ラッセル、ドルフィージョン・ケイジインド音楽・・・ なるほどです。
 
いや、ライブ以外も聴いてみなきゃわからないですがね。
なんたって、『フレンチ・コネクション』なんて映画の素敵なサントラをもの
しているし、それが意外なほどいけてますから。
 
(1)「19拍子」が紹介される。
基本、単純に何度も下降するメロディのくりかえしだけみたいなもんなんだけ
れど、わくわく感や興奮度が半端でない。
その下降のメロディは、ベース3本のアルコで弾く。コントラバスやね。それ
らがうねってうねって、重々しい土台になり、荒々しいサックスとトランペッ
トの力一杯のソロを頂点に、ブラス群、ホーン群がぶ厚く炸裂する。圧倒的。
ものすごい圧迫感にぞくぞくする。
ジャケット写真もなんとなく覚えている。これ、学生時代に聴いたんだよなぁ。
サムイボなんか出たはずがない、きっと「ウルセー!!!」だったんだぜ。
そして50数年たった今、サムイボ。
 
(2)始めエリスが曲の説明を始めたら、とたんに飛行機らしい音で中断。屋
外のライヴ会場だったんやね。で、あらためて曲紹介。
コンチェルトというように、エリスのトランペットの独奏は終始。
最初の曲を引きずったような大仰な重たるい第1部は序奏で、ラテン系の深
刻ぶった盛り上げ。そのあとが第2部で、4分の5拍子。これはサルサだよ
な。少し重いながら悪くないノリ。このサルサが盛り上がったあとは、ベー
スが音を刻み続ける上で、トランペットのカデンツァ。いいソロ。その後は
サルサがさっきよりは軽い調子で戻って第3部。おしまいは始めの第1部と同
じ曲想でコーダ。
構成が利いている。
 
(3)クラシックも勉強してましたよ!と言わんばかりの曲名パッサカリア
17世紀頃の音楽形式で、前奏や間奏をギターの和音で奏でるというだけの
説明で、具体的にはよくわからん。(1)とたいして変わらん気もするが、と
もあれ4拍子。アルトのソロは、名だけは知っているトム・スコット。
ワイルドな感じは強いものの、ビッグバンドとしては「普通」に近い。確かに
フーガやカノン調子が少し臭う。
 
(4)「ニュー・ナイン」のナインは9拍子という中近東によくある変拍子
ことらしい。(3)でも少し聞こえたオルガンが、ここではソロを取る。
(1)のような尖った調子のアンサンブルアレンジが刺激的。
この調子って、あの『フレンチコネクション』に近くないやろか。
エリスのソロが調子よく、プレーヤーたちの手拍子の伴奏による「カデンツ
」は聴きもの。
あとはいろんなソロが現れ、コンガとドラムスのソロのあとは、偶然だろう

が『エイリアン2』のたたみかけによく似たリズムの盛り上げ方でもってエ

ンディング。

 
いつも通りとはいえ、真面目な「曲レポ」になりました。
まあ、結局は(1)と(2)が聴きものじゃないでしょうか。とりわけ(1)の
19拍子が頭抜けた曲であり演奏だったと思います。

学生時代にジャズ喫茶で何度も聴いている。良くかかった。好きな人がいたん
やね。多分というか、当然というべきか、聴いたのは(1)と(2)だけのはず。
それから、、、もう一枚LP聴いたかな。でも、覚えてない。
ともあれこのライブアルバムが、デビューステージだったというようなことが
書いてあった。つまりほとんどファースト・アルバム。

エリスのアルバムを仕入れてみたのは初めてです。

なにかもう1枚聴いてみたい気になりました。