休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

ケニー・バレル セヴン・クラシック・アルバムズ

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20191211(了)
KENNY BURRELL SEVEN CLASSIC ALBUMS

〈Disc1〉
〈1〉INTRODUCING KENNY BURRELL - 1956
 ①-⑦
 トミー・フラナガン(p)、ポール・チェンバース(b)、ケニー・クラーク(ds)、キャンディド(コンガ)
〈2〉EARTHY - 1957
 ⑧-⑩
 アル・コーン(ts)、アート・ファーマー(tp)、ハル・マクシック(as)、マル・ウォルドロン(p)、
 テディ・コティック(b)、エド・シグペン(ds)
〈Disc2〉
〈2〉EARTHY - 1957 Cont.
 ①-②
〈3〉2 GUITARS - 1957
 ③-⑨
 ジミー・レイニー(g)、ドナルド・バード(tp)、ジャッキー・マクリーン(as)、マル・ウォルドロン(p)、
 ダグ・ワトキンズ(b)、アート・テイラー(ds)
〈Disc3〉
〈4〉ALL NIGHT LONG - 1957
 ①-④
 ダグ・ワトキンズ(b)、アート・テイラー(ds)、ジェローム・リチャードソン(fl.ts)、
 マル・ウォルドロン(p)、ハンク・モウブ゙リー(ts)、ドナルド・バード(tp)
〈5〉ALL DAY LONG - 1957
 ⑤-⑧
 トミー・フラナガン(p)、ドナルド・バード(tp)、フランク・フォスター(ts)、アート・テイラー(ds)、
 ダグ・ワトキンズ(b)
〈Disc4〉
〈6〉KENNY BURRELL - 1957
 ①-⑤
 セシル・ペイン(bs)、トミー・フラナガン(p)、ダグ・ワトキンズ(b)、エルヴィン・ジョーンズ(ds)
〈7〉K.B. BLUES - 1957
 ⑥-⑩
 ホレス・シルヴァー(p)、ハンク・モウブリー(ts)、ダグ・ワトキンズ(b)、ルイス・ヘイズ(ds)

CD/4枚組/ジャズ/Real Gone Jazz/輸入/中古
 <★★★☆>

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これは、柴犬娘を連れて伊勢に行ったとき、車中でかけていたと書いた名
ギタリストの4枚組セットもの。オペラと違って、長さは気にならない。
いつも思うんですが、なんで8枚分を入れなかったんでしょうねぇ。ワタシ
は途中でぶっ切れるのには、そう拘らないほうですけど、それでも・・・

 

1枚目が1956年である以外は、みな1957年制作(ないし録音)なのね。編
成が違っていても、みんなよく似ている。サイドメンに知らない名前もな
い。ウェス・モンゴメリーのようなギターを聴いちゃうと、いかにも地味
で、埋没してしまうなんて書いたものがあったが、とんでもない。地味が
滋味に通ずる典型的な例。★数きつかったかな。バレルは素晴らしいギタ

リスト。

〈1〉イントロデューシング・ケニー・バレル
このジャケットは写真では右下のもので、見覚えがあります。他は覚えて
ません。コンテンポラリーレーベルのよう。〈2〉~〈7〉の録音順は不明。
どんな曲調でもとても軽く、勢いや甘い若さがある。実に調子がいい。キ
ャンディドのコンガもいいが、フラナガンのピアノは品があっていいなぁ。
でもとにかくバレルがしっかり中心にいる。
〈2〉アーシー
トランペットとテナー、アルトが加わってサウンドに厚みが増し、ベニー・
ゴルソンのアレンジでも効いているみたいにグルーヴィーという感じ。こ
っちもゴキゲン。ただし、ここではバレルのギターはややわき役風。

性格が分かれている感じなので、仮に〈1〉をAタイプ、〈2〉をBタイプと
すると・・・
〈3〉2 ギターズ
一応Bタイプやね。ギターのもう一人ジミー・レイニーは名前しか知りませ
ん。ウォルドロンのとつとつとしたピアノ、すぐわかるマクリーンのアルト。
「レフト・アローン」を連想します。マクリーンの乾いた音は好きではあり
ませんが、アレンジはゴルソンふうでなくてもよく効いて、アンサンブルの
サウンドは独特。なかなかいけます。ギターはどっちがどっちかわかりませ
ん。

〈4〉オール・ナイト・ロング
このアルバムについてだけは、バレルの名が一番じゃなく、ベースのダグ
・ワトキンズが真っ先に書いてある。バレルのリーダーアルバムではない
のかも。
ともあれこのアルバムはサックスやフルート、トランペットが加わっている
ものの、A寄りのタイプ。
〈5〉オール・デイ・ロング
タイトルからして<4>と同系統。つまりA寄りタイプ。
〈4〉の①同様、これの始めの⑤も長いチューン。トミー・フラナガンのリ
ズムセクションが地味だけどとても品よく落ち着いた感じ。〈4〉ほどでな
いが、バレルも合わせるように地味。
この二つのアルバムでは、サックスとトランペットが時に奥ゆかしくオブリ
ガートをつけるアレンジが聴かれるものの、〈2〉のようなぶ厚く懇切丁寧
な徹底したものじゃない。

〈6〉ケニー・バレル
フラナガンのピアノがしっとり落ち着きます。アルトでもテナーでもない、
バリトンサックスであるのも柔らかくいいムードに貢献している。バレルの
ソロは頑張ってます。おおよそタイプA。といっても、例えばこの③なんか
はとっても素敵なアレンジで聴かせるのでB。Aタイプ、Bタイプなんていう
のは特にどうでもよかったですね。アルバムごとでは嵌らない。
⑤もBタイプで楽しい。バレルのソロの途中でペインが間違って入りかけ、
気づいてとどまるというところがあるんだけれど、このテイクを採ったのは
やっぱりバレルのソロがよかったからなんでしょう。
聴く側としては、リーダーは頑張っているが、全体としてはとても寛いだ感
じに聞こえるセッション。みんなの調子も悪くない。〈1〉と双璧で、いい
出来なんじゃないか。
〈7〉K.B.ブルース
Bタイプ系。カリブ海っぽい雰囲気で始まるアルバム。⑥はホレス・シルヴ
ァー好みでしょうか。ちょっと変わったサウンドがあります。
⑦は結構長いユニゾンがいい。

 

4枚組とはいえ、長くなってしまいました。やっと総括。

全体的に、力んだところがない気楽に聴けるアルバムぞろいで、優劣はほ
とんど付けられない。でもまあ順位付けするなら〈1〉〈6〉〈2〉かしらん。
録音の質はいずれもとてもしっかりしたものでした。

それだけいいセットものになっているんじゃないでしょうか。バレルが好調
なほぼ一年強の録音ばかり集められたというのも、いいほうに働いている
と思う。いろんなものが聴けるというんじゃなく、同時期の上質なものをた
くさん、という形。飽きるかもしれないものの、ちょっと置くとすぐまた聴
きたくなる類。

 

昔話です。
四国のある町の日参していた小さいジャズ喫茶で、バレルさんの横に座った
ことがあります。評論家イソノテルオ氏に連れられて公演後地元のジャズ喫
茶を仕方なく回らされたんでしょう。すらっと背が高く、ひどく物静かとい
うか、イソノ氏の言いなりというか、まあそんな感じだったように記憶して
います。公演の内容は、行ったわけでもないので、まったく覚えてません、
じゃない、知りません。
これは1970年頃だったかな。この4枚組を聴いているうちに思い出しました。