20210726(了) |
フィリップ・サルド=ベルトラン・タヴェルニエ監督作品集 |
LE CINÉMA DE BERTRAND TAVERNIER
:MUSIQUES DE PHILIPPE SARDE
1. (未公開)L'HORLOGER DE SAINT-PAUL 4:22
1973年/フィリップ・ノワレ/ジャン・ロシュフォール |
①Generique ②La visite
2. 判事と殺人者 LE JUGE ET L'ASSASSIN 17:49 |
1975年/フィリップ・ノワレ/ミッシェル・ガラブリュ/イザベル・ユペール |
③Le juge et l'assassin
④Complainte de Bouvier l'eventreur, par Jean-Roger Caussinmon
⑤Pour le temps et pour l'eternite
⑥Sigismond le Strasbourgeois, par Bob Morel
⑦La commune est en lutte, par Jean-Roger Caussimon
⑧Bal de nuit
3. (未公開)DES ENFANTS GATES 10:35 |
1977年/ミッシェル・ピッコリ/ピエール・パスカル/ミシェル・オーモン |
⑨Paris jadis, par Jean Rochefort et Jean-Pierre Marielle
⑩Le petit couteau
⑪Paris jadis
4. (未公開)COUP DE TORCHON 18:43 |
1981年/フィリップ・ノワレ/イザベル・ユペール/ジャン=ピエール・マリエール |
⑫Coup de torchon(ouverture)
⑬Dans la chambre vide, par Isabelle Huppert
⑭Ce soir on fete Munich
⑮La java de la masochiste, par Stephane Audran
⑯Je suis mort il y a si longtemps
5. 田舎の日曜日 UN DIMANCHE A LA CAMPAGNE 4:09 |
1984年/ルイ・デュクルー/サヴィーヌ・アゼマ/ミシャエル・オーモン |
⑰Un dimanche a la campagne, par Marc Perrone
6. (未公開)L.627 8:11 |
1992年/ディデイェ・ベザース/ジャン=ポール・コマール |
⑱L.627(suite)
7. ソフィー・マルソーの三銃士 LA FILLE DE D'ARTAGNAN 5:38 |
1994年/ソフィー・マルソー/フィリップ・ノワレ/クロード・リッシュ |
⑲Les oubliettes
⑳Ave Maria
作曲:フィリップ・サルド |
指揮:H・ロスタン、C・サヴィーナ、P・ナイト、H・ラビノウィッツ |
映画音楽/CD/2002年/仏ユニヴァーサル/輸入/中古 |
<★★★> |
ワタシの映画音楽の聴き方の一つです。全て観たことのない映画の音楽です。 |
タヴェルニエ監督についても全く知りません。 |
ですが、サルドについてはいくつか聴いていて、とても品のいい感じ。小編成 |
が多いが、ある程度規模のあるものも書ける。まだまだ聴き足りないので、聴 |
いてみたいもの(例えば『テス』など)をリストアップはしていますが、高い |
しね、順番が回ってこない。そんな中で、まあ安いから聴いてみるかと思えた もの。 |
ここの主役級の役者の名ぐらいは知ってるんですが、振り返ってみると、フラン |
ス映画というのも、案外観てこなかったですねぇ。屁理屈好きなくせに中身より |
はセンスを重視したような作り、なんていう思い込みがワタシに強くあったと思 |
います。そのくせ、音楽はセンス重視のフランス音楽が大好きなワタクシメ。 |
そしてこのアルバムの音楽は、まさにセンス、ということになります。 |
映画を観てないんだから、当たり前ですがね。 |
それから、小編成が多いと書きましたが、ここじゃほぼすべてが小編成で、ソロ |
楽器の選び方がやや変わっている。 |
もうひとつ・・・この監督さん、出演者に歌わせるのが好きみたい。それがねぇ、 |
ワタシは苦手。メロディなんかは素敵なんだけどなぁ。 |
1. (未公開)L'HORLOGER DE SAINT-PAUL |
①は太鼓系のリズムで引っ張り、ホルンがソロを採ったりする。②は木管が独 |
奏する弦楽四重奏ぐらいが規模で、繊細で優しい。原作はシムノンだそうなの |
で、ミステリー系かサスペンスでしょう。特別な魅力はありません。 |
2. 判事と殺人者 LE JUGE ET L'ASSASSIN |
③19世紀末の、精神異常者の殺人がらみのサスペンスもの。一通りのオケだ |
が小さく、薄い弦がいきなりギコギコとサスペンスを鋭く匂わせるが、様々な楽 |
器が入り乱れ始め、濃い味。どこかクラシック風味で、いいですね。⑤悲劇的情 |
感の濃い楽曲。これなど小編成オケの魅力たっぷり。⑧エンドタイトルか。皮肉 |
や哀感の三拍子。好きとは言えないが、抗しがたいムードがある。 |
④⑥⑦は、Rの発音で強烈に喉を鳴らす歌でワタシは苦手なので、パス。 |
④の器楽部分やメロディなんかすばらしい。 |
3. (未公開)DES ENFANTS GATES |
⑨はコミカルなワルツの歌でデュエット。パス。⑩チェロ、アルトサックス、ソ |
プラノサックスのトリオ。独特のムード。⑪は⑨の歌のメロディをピアノ、ベー |
ス、ソプラノサックスとテナーサックスでもって奏したジャズ・ヴァージョン。 |
使い過ぎなければ、ワルツはいいもんです。⑩⑪は小粋。映画の中身は不明。 |
4. (未公開)COUP DE TORCHON |
ジム・トンプソンの原作というから、まあ変な話でしょう。無能な警官が正義に |
目覚めて、犯人を殺し始める。 ⑫は調性が怪しくなりそうな弦のアンサンブルで、 |
不気味に始まり、打楽器がさらに不安を煽り、ブラス群がジャズっぽく盛り上げ |
る。(序曲)と書いてありますね。⑬はユペールの歌唱、甘く軽い調子。⑭アコ |
ーディオンやサキソフォン、トランペットなどにとっかえひっかえソロを取らせ |
る、軽い調子の3拍子。皮肉っぽいもんだろう。⑮はオーダーンの歌で⑬と同じ |
ようなシャンソン。⑯なんと言うことないワルツだが、メロディーがよく、不思 |
議にカラフルでいけてます。 |
5. 田舎の日曜日 UN DIMANCHE A LA CAMPAGNE |
パリ郊外で暮らす老画家のもとを訪れた息子と孫、娘等との交流を描いて、いろ |
んな賞を獲ったものらしい。⑰これもワルツ。このアルバム全体にワルツが多い |
ね。哀愁やペーソスといった感じの曲調。人の名が書いてあるが、これは多分ア |
コーディオン奏者の名ではないか。 |
6. (未公開)L.627 |
麻薬取引を強引なやり方で捜査するパリ警察麻薬課刑事を描く犯罪ドラマだそう |
な。⑱はアルバム中、唯一の「組曲」。 |
やや、曲調がとんがり気味なところもあって、、アルバムを通してもっとも聴き |
ごたえがあるトラックじゃないでしょうか。特に、途中にある木管のアンサンブ |
ルの音色は(そう長くはない、せいぜい1分半ぐらい)実に素晴らしい。このた |
めにアルバム全体を聴きたくなりそう。 |
7. ソフィー・マルソーの三銃士 LA FILLE DE D'ARTAGNAN |
日本公開は1996年。「三銃士」の後日譚で、老三銃士達とダルタニアンの娘が |
活躍するコメディタッチのものだそう。 |
時代物らしく優雅。やはり編成は小さい。⑲は上品なオルガンがフォーレのレク |
イエムのようなものを思い出させてなかなかよろしい。⑳はバロックの室内楽ふ |
ふうに入り、ラテン語の宗教的な歌詞の合唱が、徐々にあたらしいリズムや楽器 |
編成に変っていく中で、それらに乗せて歌われる。(女声)ちょっとオシャレ。 |
結局ほとんど全部書きました。 |
ワタシがもっとも気に入ったのは『L.627』⑱、かな。冒険心の感じられる 突っ込んだ~とんがった音色。 |
あとは、少し前に聴いたアルバムや、ミヨーやケクランやタンスマンを聴くよう |
には聴けないですね。 |
それに、歌が邪魔でした。 |
でも、やっぱりセンスの方。 |
先日、「サムライ」などを聴いた独特としか言いようにないフランソワ・ド・ル |
ーベとはまた違った感覚ですが。 |
いつか、リストアップしているものが聴けるといいな。 |