休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

映画を彩るピアノ協奏曲集 ワルソー・コンチェルト

20230420(了)

映画を彩るピアノ協奏曲集

WARSAW CONCERTO

AND OTHER PIANO CONCERTOS FROM THE MOVIES

(1)リチャードアディンセル(1904-77);

  ワルソー・コンチェルト 9:07 arr.ロイ・ダグラス

(2)ジャックビーヴァー(1900-63);

  Portrait of Isla 4:42 arr.フィリップ・レイン

(3)ミクロスローザ(1907-95);

  Spellbound Concerto 11:58 arr.ユージン・ザードル

(4)ニーノロータ(1911-79);

  The Legend of the Glass Mountain arr.フィリップ・レイン

(5)リチャード・ロドニーベネット(1936-2012);

  メイン・テーマとワルツ 5:46

  Murder on the Orient Express

(6)ヒューバートバス(1883-1945);

  Cornish Rhapsody 6:04

(7)バーナードハーマン(1911-1975);

  Concerto Macabre 5:01

(8)チャールズ・ウィリアムズ(1893-1978);

  The Dream of Olwen 5:01 arr.シドニー・トーチ

(9)レナードペナリオ(1924-2008);

  Midnight on the Cliffs 5:39 arr.Licien Caillet

 
 フィリップ・フォウク(p)
 RTÉコンサート・オーケストラ
 プロインシャス・オドゥイン(指揮)
 録音;1995年、ダブリン、ナショナル・コンサート・ホール Tot.74:18
 CD/映画音楽/NAXOS/輸入/中古
 <★★★>~<★★★☆>

なんだかなぁ、この大仰な惹句!
アルバムは随分前から知っていました。チャチなジャケット写真。どうせロク
な演奏じゃあるまいと無視したもんでしたが、今となってはちょっと愛おしい
ような気もしてきて、ちょっと聴いてみる気に・・・
 
<メーカー惹句> これはもう感涙の企画としか言いようがありません。映画をご覧
になった経験があるなら嬉しいのはもちろんのこと、華麗なサウンド好みの貴
方なら映画を知らずとも最大限に楽しめます。しかもピアノ演奏が、この種の
音楽が得意の知る人ぞ知るフィリップ・フォークということで価値倍増。「ワ
ルソー・コンチェルト」が最も有名で確かに演奏機会も多いのですが、その他
の曲も負けず劣らず魅力いっぱい、映画音楽好きなら気になる作曲家の名前が
並んでいます。言葉は要りません、音の洪水に身を浸す幸福に酔いましょう。
 
知っているメロディは(1)(3)そして中では飛びぬけて新しい(5)。ほか
はわかりませんでした。ともあれ、全部ピアノコンチェルト風に絢爛たる編曲
を施してある。オリジナルとどう違うのか(5)以外はわからないですね。
真先に連想したのは「カーメン・キャバレロ」。
チャラチャラした装飾音だらけのピアノムードのアーティストで、一世を風靡
したと言っていい。もうジジババしか知らないでしょうが、もし知っているな

ら、彼のバックのオケをぐーっと上等にした感じ、とでも言うとわかりやすい

かも。

 

(1) 「Dangerous Moonlight」1941

  ブライアン・デスモンド・ハースト監督/アントン・ウォルブルック

「ワルソー・コンチェルト」!

出だしからしばらくを知ってますね。子供の頃といっても高校生ぐらいだった

んじゃないかと思うが、「日曜ロードショー」などというテレビ放映映画のテ
ーマ曲として使われていた記憶です。正しいかどうかはわかりません。
で、実は知らない部分がべたべたしてなくてとてもいい。どういう映画だった
かは、めんどくさくて調べてません。
 

(2)「The Case of the Frightened Lady」1940

  (英)ジョージ・キング監督/マリウス・ゴーリング

出だしこそ大仰だけれど、中間部になると品のいい曲想。最後はちょっとあた
ふた終わってしまう。確かメロドラマと書いてあった。ま、ここのものはみん
なそう聞こえると言えなくもないですが。
 

(3)「白い恐怖」(Spellbound)1945

  (米)ヒッチコック監督/I.バーグマン/G.ペック

覚えちゃいませんが、テレビで観たかもしれません。音楽はミクロス・ローザ
(正しくはやっぱりロージャ・ミクローシュなんでしょう)で、「ベン・ハー」や「エ

ル・シド」のような歴史劇以外では最も知られた作品かもしれません。実際に

は他にも評価の高いものはあります。例えばシャーロック・ホームズものとか。

それから、ワタシの知っている音楽はこういうピアノ協奏曲じゃなくオケだけ
のもの。これが大変優れた復刻録音なので、ちょっと同列には論じられないの
ですが。ただこのコンチェルトは12分もかけてなかなか立派にできてまして、

まるでもともとこんな感じだったかのよう。変わったところではオンド・マル

トノか、あるいはある種の電子音のようなサウンドが聞こえます。

 
関係ありませんが、ローザのクラシック系のヴァイオリン協奏曲がなかなかい
いのです。久々に聴きたくなりました。この後出てくるハーマンのものと一緒

に入った弦楽四重奏曲集もあるようで、手にはいるかどうか、安いかどうか調

べる予定。

 

(4)「魔の山」(The Glass Mountain)1948

  (英)ヘンリー・カス監督/ダルシー・グレイ/マイケル・デニソン

どういう映画かもわからないし、ニーノ・ロータもこんなの書いたんだなぁと
いうぐらい。かなり古色蒼然な音楽。
 

(5)「オリエント急行殺人事件」1974

  (英)シドニー・ルメット監督/アルバート・フィニー

こればかりはよく知っている音楽です。アレンジャーの名がないので、ベネッ
ト自身のスコアの一部なのかもしれません。ところがこの録音、まるで映画の
年代である1930年台のものにまるで引っ張り込まれでもしたみたいな感じに聞
こえる。サントラでは、狙いは1930年台でも、もっと音の深みや広がり、始ま

りのわくわく感なんかがあったと思うのですが、それがない。こっちのせいで

はないと思います。

奇妙。そしてちょっと残念。
ベネットの音楽はまたいつか、別途聴くつもりでいます・・・
 

(6)「Love Story」1944

  (英)レスリー・アーリス監督/マーガレット・ロックウッド/スチュアート・グレンジャー

コーニッシュというと、英国の南西につき出したあたり、コーンウォルのほう
のことなんでしょう。ピアニスト(ロックウッド)の恋愛もののようですね。聴き

映えより見栄えのしそうなピアニズム。(4)なんかのようにかなり古臭さが

匂います。

 

(7)「戦慄の調べ」(Hangover Square)1945

  (米)ジョン・ブラーム監督/レアード・クリーガー/リンダ・ダーネル

ゴシック・メロドラマだそうな。これがなんとバーナード・ハーマン。アレン
ジャーの名はないので本人のスコアなんでしょう。これが、このアルバムの中
では最も異色、もしくは現代的といっていいでしょう。独特の陰影とサスペン
スのある楽想。もう「サイコ」が臭うもんね。ヒッチコックが気に入るわけだ。
ワタクシメにはこれが一番刺激的に(≒おもしろく)感じました。
 

(8)「While I live」1947

  (米)ジョン・ハーロウ監督/トム・ウォールズ/クリフォード・エヴァンズ

メロドラマだそうな。これ、おとなしいがなかなかいいメロディ。「これでも
か」感がない分、いいですねぇ。この作曲家知りませんが、長く活躍されたよ
し、なるほどです。
 

(9)「Julie」1956

  (米)アンドリュー・L・ストーン監督/ドリス・デイ/ルイ・ジュールダン

レナード・ペナリオといったらアメリカの知られたピアニストだったはずで、
「ステレオ」だとか「レコード芸術」なんて雑誌を読んでいた頃には、ちょく
ちょく新譜が出ていた覚えがあります。作曲もやって、唯一映画のために書い
たのがこれなんだとか。50年代半ばになっていて、かなり進んだモダンジャズ
なんかも出ていたことを考えると、他の曲同様かなり古臭い曲想やね。ルイ・

ジュールダンがピアニスト役? 4年ほど前に97歳で亡くなったドリス・デイ

このとき34歳、か。

 

 「レコード芸術」の名を出したついでに思い出しました・・・ 脱線です。

 

  

  もうすぐなくなるんだ。
  もう読まなくなって何十年もたつとはいえ、寂しいねぇ。

 

職場のラジカセではどうしようもない音でしたが、車に持ち込んだら、意外に
OK。さすがに大半が前世紀の前半のもので、キャバレロの名をどうしても思
い浮かべてしまいました。好みといえるほどのものもなかったけれど、オケの
アラもなく、なかなかこういうのを選んででかい音で聴く機会は乏しいもんだ
から、案外新鮮で楽しめました。もっとも、間違いなく飽きが来る音楽です。
もう当分(あるいは死ぬまで)聴かないかもしれない。