20230507(了) |
マーク・グリーニー
/「暗殺者グレイマン」(新版)
2022年7月/小説/冒険物/早川文庫/伏見 威蕃(訳)/中古 |
<★★★☆> |
たまにはドンパチ。ミステリーじゃない。ずばり殺人がお仕事の男の話。 |
その「彼」がひどいはめられかたをする。まあ冒険ものというしかないんで しょう。 |
グレイマンというのは俗称で、「人目につかない者」という意味。それが綽 |
名になっちゃった。彼は英国出身の殺し屋。 |
もとはCIAに所属していたが、よくわからぬまま切られ、逆につけ狙われ始 |
めたので地下に潜る。 |
故あって裏でそういう家業をやっているオッサン(その世界では調教師など |
という)に拾われていろいろ教育を受けて力をつけ、ついには名だたる殺し |
屋になってしまった。30台半ば過ぎぐらいか。 |
で、さるアフリカの大統領の弟だかを仕事として殺したのだが、それが大統 |
領を怒らせてしまった。その国は「エネルギー資源」を持っていて、大統領 |
は学習して発言権を得てしまった超我儘男。弟を殺した奴の首を差し出せと |
いう。昔の日本みたいな文字通り「生首」を要求しているみたいだった。死 |
体の写真ぐらいで済むとは思えない。さもなくば「資源」は他国と商売する、 |
というようなことだ。ただこの大統領の任期がもうすぐ切れるので、期限が |
区切られてもいる。 |
殺し屋軍団を操れる雇い主は、その大統領と取引をしている。フランスを根 城にする多国籍企業だ。 |
それを引き受けたセクションが、軍団、つまり息のかかった殺し屋を世界中 |
から腕っこき12チーム分を集め、競わせつつ、たった一人の殺し屋を始末 しようとする。 |
標的グレイマンを雇い育てたオッサンは、自分の家族を人質に取られたため |
に、いったんはグレイマンを売ってしまう。が、遅きに失したものの改心し、 |
なんとかしようとするが、監禁されて手立てはほとんどない。 |
それでもグレイマンは(はじめは裏切られたことすら知らずに)恩師と家族 を助けるために対決を決心する。 |
13-4年前の話なので、ただいま現在より情報網やツールなどは早くも遅れ |
ているように思える。それでも両者は早速ぶつかり、グレイマンは大勢の殺 |
し屋たちによってどんどん傷つきつつも(って、こんなに際限なくボロボロ |
になっててええのかいな)、なんとかわずかな治療をしながら包囲網をかい くぐり、火の粉を振り払いながらノルマンディの田舎町に近づいて行く。 |
そこは広大なお城のようなもので、その企業の保養所その他賓客をもてなす |
施設。最後の凄まじい戦闘の舞台となる。 |
いくら凄腕ったって、どう見ても無茶・・・ |
もっとも、映画にはあまりにもおあつらえ向き。 |
なんてなお話です。 |
タイプとしては新しくないけれど、スピード感や迫力があって楽しく読めま |
した。翻訳も良く、ページ・ターナーでした。 |
これがシリーズのスタートなんだから、なんとかなるんだろうが、あまりに ひどい劣勢状態での戦闘なんで、一体全体どうやって生き延びられるんやね ん、としっかり心配してしもたワ・・・
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そういや、記憶では「このミス」で何度か見かけているシリーズなんで、そ |
れなりに面白さを維持し続けていて、人気が高いのでしょうね。 |
そのへんもあって選んだのですが、続編は、ウーン、どうするかな・・・。 |
毎回すごいらしいのは、アクションだけであるはずがない。「このミス」で |
票を集めたのは、グレイマンの背景がどんどん複雑になってゆくところもあ |
るんだろう。そう聞くと、興味は湧きます。 ロバート・ラドラムの「暗殺者」(もう古いですけど)よりは、なんとなく あっけらかんとした感じがありますかねぇ。 |
カラシニコフとかグロックとかならなんとかわかりますが、武器類がしこた |
ま出てきてワタシにゃろくにわかりません。でもこういうの好きな人にはた |
まらんのでしょうなぁ。 |
新版の文庫本の表紙には、映画「グレイマン」原作とある。この映画知りま |
せん。ああ、下のほうに「NETFLIX」とある。そういうことね。 |