休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

『クモのイト』中田兼介

20230331(了)

『クモのイト』中田兼介

    はじめに
    この本に出てくる主なクモたち
第一章 クモと人間の不思議な関係
       コラム クモの名前のオシャレ心
第二章 クモのことあれこれ
       コラム クモの飼い方
第三章 クモの網、最強説
       コラム 八本は八本でも
第四章 恋するクモたち
       コラム ときめきクモ図鑑
第五章 クモ的思考 その1 個性って?
       コラム クモのお医者さん
第六章 クモ的思考 その2 コミュニケーション上手になりたい
       コラム 蜘蛛学会事務局長のお仕事
第七章 クモ的思考 その3 不確実な世の中をサバイバルする
第八章 もしもクモがいなかったら
    あとがき
 
    2019年9月/生物学エッセイ/ミシマ社/単行本/中古
    <★★★★>

クモのことばかリ書かれた本を読んだのは初めてです・・・
 
クモの網って、タンパク質でできていて、いくらでも腹から出てくるわけじゃ
ないのは想像がつくが、食べて再利用するのね。巣(網というのが正しいよう
です)の放射線状の縦糸はべたつかず自身の移動に使う。ぐるぐる巻きの横糸
はだからべたついて餌獲り用。ちゃんと使い分ける。
貴重だからね、人なんかに通りがかりに破られたりはらわれたりしてしまうの
は、それを作った個体にとっちゃあリサイクルできずに大損害なんだ。
そうそう、インターネットでの「ウェッブ」って言葉、もともとは「クモの網」
のことなんだって。知りませんでした・・・
 
けっこうたくさんのクモ、見てはきましたけど、触ったことは案外少ない。ど
うも気色悪くって。そりゃ、ハエトリグモが手の上を通りかかったって、どう
ってことはなく放置できますが、庭や草むらや林の中を歩くときに、クモの巣
/網が顔に引っかかったりするのは、やっぱり嫌だし、刺されると(じゃない、
嚙まれると)ヤバそうという気がどうしても起きてしまった。たいてい、ジョ
ロウグモやコガネグモぐらいなんかだけどね。それから家の中であのでかい
(4cmはある)アシダカグモなんてのが突如現れたら、ビックリしないほう
がオカシイだろ! あの動きの速さ! こいつなんて、今でも慣れない。
 
印象はですね、「ああそんなに嫌がらなくてもよかったんだな」ということに
なりますか。
セアカゴケグモなんかはともかく、人に毒なクモは非常に少ないし。
子供のころから、間違いなく考え違いをしていた。
触ってもかまわなかったんだ。じゃあこれからは平気か?今から触ることに
するか?というと、やっぱりそれはようせん。
例えば・・・
  ・・・残念ながら人間のクモを恐れる気持ちには先天的な部分があるよ
  うです。なにせクモのなんたるかをまったく知らない生後半年の赤ん坊

  でも、クモの絵を見せられると、瞳孔が開きストレス反応を示すのです

        から・・・

なんですって。なかなか深いね、こりゃ。
 
節足動物の仲間で、ダニやサソリに近い。こいつらにだって触りたくない。
絶対触りたくないヤツの中にムカデもいる。関係ないが、カミサンはムカデ
を異常に恐れる。最近夜中に目が覚め、気付いたら、腕の上をでかいのが這
っていたんだって。それ以来・・・なにかというと・・・いやこれは脱線。

蝶や蛾の鱗粉というには、クモ(クモの網)に対抗するために発達した!と

断言しておられる。
この進化がなきゃ、つまりクモがいなきゃ、蝶も蛾も生き残ってこれなかっ

たかも、とのたまう。なるほどとは思うが、それ、常識というか定説なのか

ね。

 
クモの糸にはどうやら細菌の繁殖を抑える効果があるらしい・・・

 

この本は、クモってそう怖がらなくてもいいですよー、という感じ。
クモを面白おかしく見せてあげよう、というタイプのもので、初心者向けの
平易さ、あるいはソフトさがある。楽しい啓蒙タイプでしょうかね。プラス
・・・少し人生論が臭う読み物。
読みやすくて、結構ほっこりする。
でも、ちょっとばかり、思ったものとは違っていたのです。
 
読み物としての楽しさはバッチリ。
どちらかというと周辺的な情報を中心にユーモアたっぷりにいろいろと教え
てくださってます。もっと写真がほしいが、マンガは可愛かった。
でも、ワタシとしては、クモって、なんなんだ!どんなヤツなんだ!と、小
むつかしくてもいいから、もう少し「ストレート」でも「ハード」でもよか
った。そういうのはすでに上梓されているんでしょう。