休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

立川談春/「九州吹き戻し」「文七元結」

20230120(メモ了)

立川談春/20年目の収穫祭

CD1

「九州吹き戻し」 2004年11月12日(金)

  ボーナストラック【談志のお墨付き】

CD2

文七元結  2004年11月13日(土)

    お囃子:杉浦ひろ
 
  CD/落語/2枚組/Ⓟ 2005 YUMEKUKAN/邦盤/中古
  <★★★☆>

本は一冊読みましたけどね、それ以外はできるだけ前知識なしで聴いてみる
つもりで、安い中古CDを手に入れてみました。大分前の録音です。

ま、このジャンル、歴史的録音も多いわけで、それに比べりゃ、現代みたい

なものかもしれません。

2004年11月の二日続けての公演から二つの演目を、CD一枚づつにおさめてあ
る。もう18年も前のものだし、レンタル落ちでかなり汚れてましたが、な
に、構やしない。
車中で何度かづつ聴きました。
肝心の落語。へぇ、こういうお声、こういう喋りの感じなんだ、、、
 

CD1「九州吹き戻し」

江戸のそこそこの店のボンボン「キチノスケ」?が大事な身上をきれいさっ

ぱり食い潰してしまう。やむなくあてもなく西へ向かってふらふら旅をする。
路銀もなくなって行きついた先は熊本。たまたま「江戸」という名の宿を見
つけて、ええい、ままよと無銭飲食、宿泊を決行したところ、なんと、その
店の主はかつて江戸でよく知っていた人だった。事情も分かってくれ、「能
力」を生かしてここで働かんかという。
なんと、それが成功して3年が過ぎた。店を大いに支え、彼宛ての謝礼も知
らん間に溜まってきた。それが100両と分かって里心が激しく疼く。
宿屋の主人は色んな注意を言い含めて送り出す。ひょんなこと(ギャグが多
い)から海路(荷物運搬船)で向かう・・・
 
江戸行きが決まってからが聴きどころで、海路を採るところまでが大変。
こんなに覚えなきゃならないなんて、ホントものすごいのですねぇ。
この噺、勿論初めてでした。そのせいでしょうが、え?そっちかい?てなふ
うに意外な進み方に思えたところがありました。その最たるものが、最後。

さんざんお金の心配をしてもらうので、そっちへ行くのかと思いきや・・・

予想外のえらいこと(つまりタイトルの事)が起きてしまう。

 
キレよくアップテンポで進む(ちょっと前のめりかなぁ)ので、ダレること
はないのですが、もっとみっちり表現して笑わせてくれてもいいように思え

たところもあったように思います。(エラそうに言うほどわかっちゃいませ

んけどね)

 
「談志のお墨付き」なるものがついていました。これは、間違いなく不要や
ったね。ダラダラと弟子を褒めているだけです。
 

CD2「文七元結

博打好きの談春さん、そのことで短く枕をやったあと、即本編へ。

長兵衛は優れた左官職人らしいが、博打に入れあげ、当然負けがこんでひど
い借金をしている。家は奥さんと17になる娘の3人暮らし。もはや、質に
入れたり売ったりできるものは肉体以外に何もない。
年の暮れ、寒いのに着るものにも事欠いて、笑いのネタになる。住まいは吉
原にもそう遠くないあたりか。
 
そんな状況で、娘がいなくなってしまうが、わかってみれば家の状況を慮り、
吉原に自ら進んで身売りに行っていた。さあ大変。
着るものがなく、カミサンの羽織っているものを引っぺがして(寸足らずな
もんだから、かなりあられもないひどい格好で)吉原に乗り込む。
すると、件の店のおかみがえらく優れた教師だった。世の中の真実や博打と
いうものの本質をこんこんと諭し切り、しかもなんと借金50両分を貸して
くれる。もっとも娘は一種のカタにとられるんだけど。

(なかなかの聞かせどころ。どうもこの強いおかみの物言いや、かけるプレ

   ッシャーは談春さんの演出なのかもね)

 
ところが、長兵衛さん、その帰りにさる大店の若者(文七)が今まさに川に
飛び込んで死のうとしているところに出くわしてしまう。まったく同じ50

両という金を掏られてしまった。天涯孤独で頼る人もいない、もう店には帰

れないという。

長兵衛と文七のやりとりが面白い。ほっとけないだろ!ってんで、長兵衛が
折れて、ついに借りた50両を文七に押し付けて帰ってしまう。
 
長兵衛んちでは、近所迷惑も甚だしい、夜っぴて夫婦喧嘩・・・
さあどうなってしまうんだろう、という噺。
最後は、するするっと終わっちゃいます。ちょっと説明が足りない感じなん
だが、あの喋りでいいんだろうね。
ストーリーが二つくっついたような奇妙な構造ではあるけれど、聴き直して
も不自然だとは思わなかった。
なんだかひどい話になりそうなんだが、ドタバタしたギャグに何とか引っ張

られているうちに、噺の進み具合に光が差す感じ。江戸っ子の人情譚、楽し

んだ。

 
博打に関する吉原のオカミの解説がバッチリ嵌りました。大学生の時、聞き
たかったネ! これはオリジナルの通りだったんでしょうか。とにかく、あち
こち、演る人で大分変りそう。
そうだ、これ「―もとゆい」でもいいが、ここでは「―もっとい」というの
ね。で、言葉のもともとの意味はおおよそわかったんだが、この噺とどうつ
ながるのかが、恥ずかしながらわかりませんでした。

 

CD2枚を通して、ところどころ良く聴こえないところがあった。多分マイク
の問題じゃなく、ブツブツ口ごもったところのセリフが、声が小さくて拾い
きれなかっただけだと思います。キズじゃないが、気にはなりました。

 

落語、ほったらかしてまして、数年ぶりです。

 

「芝浜」を変える?

って、たしか公演の広告にあった。ワタシャ落語の常識なんてないので・・・

有名だが相当古めかしいネタなんだよ、きっと。
これにしても「文七元結」にしても、他の演者のソフトにありました。
 
最後に、ご本人の文章が載っていたもんだから、それを貼り付けておしまい
にします。

              (家元はもちろん談志)