20221218(了) |
小説『楽園の真下』/荻原浩
2022年4月/小説/エンタメ(ホラー系?)/文春文庫/(2019年単行本)/中古(娘より)
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「日本で一番天国に近い島」が地獄になる
巨大カマキリ来襲!
2800人ほどの人口があるが、たいていひとっところに固まっていて、大半 |
は未開の山や原生林、一部などサンクチュアリ(≒森林生態系保護地域)なん |
て呼ばれている。 |
この架空の志手島、場所は奄美諸島あたりのイメージですかね。それとも伊豆 |
七島のほうか。大きさならわかって、 |
面積は小豆島や宮古島と同程度、日本の島の中では二十番目ぐらい・・・ |
とありました。飛行場がない。最寄り港まで船でなんと十九時間もかかる。 |
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自分の過去と少しは向き合うこともあるが、どこか投げやりな男、一応ジャー |
ナリスト~フリーライター。自殺者が異常に多いことのほうが本来の調査対象 |
なんだが、とりあえずは金のための巨大カマキリ探し。 |
島にただ一つある研究所に、虫博士がいるってんで行って会えたのは、背が低 |
めのざっくばらんな女性研究者(准教授)。彼女とライター氏はカマキリ探し |
に、島の奥へと向かう。 |
この本、娘が半年ほど前に送ってくれていたもので、ワタシが時々面白そうな |
本を食べ物などと一緒に送るお返しに、逆に娘が読んで面白いと思ったものを |
送ってくる。これは、考えてみるとかなり長い間続いている。カミサンも、そ |
れを知っているものだから、娘に贈り物をするのはたいていワタシの役目こな |
っている。正直なところ読んでいないものがいくつかある。 |
でも、仰天してそっくり返りそうになった本もありますね。すぐに思い出すの |
がヒグマの話で(吉村昭の『羆嵐』もけっこう面白かったけれど)、 いやもう |
恐いなんてもんじゃない熊の話、増田俊也の『シャトゥーン ヒグマの森』で す。(何人かに薦めたことがあります) |
アイツはホラーものも好きらしい。血かねぇ。カミサンと似てる・・・ |
このカミキリ本はワタシが虫や動物のことに少し関心があることを知っていて、 |
くれたのかな。色々な生物も出て来る。カマドウマなんてふつう出てこないの |
で珍しい。昆虫の話は楽しい。 |
予定通り脱線しました。 |
これも恐怖譚かな・・・なんて思いながら、読み進めることになりました。巨 |
大カマキリと(当然巨大ハリガネムシと)人の自殺は関係あるんかいな・・・ |
ハリガネムシが脳に働きかける?(繁殖のために水へ誘う?) |
誰も信じてくれない中、ネズミ、ネコへ感染する小さい原虫 トキソプラズマ、 |
こいつは時には人間にも感染するなんて話が進行するうちに、夜、虫寄せのス |
クリーンに、ついに理論上はあり得ないとされる70cm級が現れ、さらに大き |
な個体(巨大カマキリ)が出るぞ出るぞーって雰囲気。 |
その次には、島での数少ない知人扱いになった男が川でおぼれるという事件が |
起き、、、普通ならこの辺りから、怒涛の展開が待っているんじゃないか・・・ |
いや、確かにページターナーになりました。 |
そして、嘘!というようなどでかいのが出て来ます。ここまでデカイと恐い! |
ストーリーをなぞるのはこの辺まででしょうか。 |
ハリガネムシって、考えてみると、興味もったことないなぁ、気色悪くてね、 触りたくない。 |
この恐怖譚は上にあげた『シャトゥーン』なんかと怖さの質なんかは似ている |
気がするのですが、このハリガネムシの存在が独特の味付けになっている。エ |
ンディングにも。 |
一晩で読了したわけでは勿論ありませんが、すいすい読めて、寝る時間に悪影 |
響はなし。 |
(付録)ワタシの写真ではありません・・・
(実際はハリガネムシの大きさはこんなもんじゃない、カマキリやバッ
タなどの体長の10倍なんてのはザラ)
(これはカマドウマっぽいのに寄生したヤツ。思い起こせば、ワタシ
が観たハリガネムシは真っ黒なものばかりでした)