休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

ギリシャ映画『テーラー 人生の仕立て屋』

20220927(了)

映画『テーラー 人生の仕立て屋』

  ソニア・リザ・ケンターマン監督//ディミトリ・イメロス/タミラ・クリエバ
  2020年製作/101分/G/ギリシャ・ドイツ・ベルギー合作/原題:Tailor
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  <★★★☆>

アテネでもって父親から30数年間もスーツの仕立てを仕込まれてきた男。
古風で流行らなくなってしまい、店が倒産の危機に陥るとともに、高齢の
父親は倒れてしまう。息子ニコス(主人公)は、店の隣に住む一家の内、
娘と、その内には母親とも親しくなっていく。
 
一方商売の方をなんとかしなきゃならないニコスは、スーツの移動仕立屋
を発想し、始めてみる。いろんな人との会話や希望を聞くうちに、仕立て
の能力はスーツに限らず何にでも通用することを悟り、様々な服と接し学
び、特にウェディングドレスが自身のブレイクのきっかけを作る。
始めは自転車で、次にはバイクで、大きなリヤカーを引っ張るスタイルな

のだが、どんどん行動範囲は広がり、最終的には、キッチンカーのように

なる。

母娘との付き合い、特にお母さんのほうとは店を手伝うだけではない関係
も匂わせる。父親との関係も残る・・・
 
と、これでは喋りすぎです・・・
この仕立屋の息子(ったって、独身だが50歳ぐらいかな)の独特の顔つ
き――ラテン系のようでもあり中東系のようでもある、つまりバルカンな
んですな――がおもしろく、かなり寡黙で、新しいことに対してうろたえ
ない。このキャラを見慣れてくると、なんだか楽しい。
ニコスの寡黙に合わせるように、物語にも説明的なところが非常に少ない。
思いついて、頭にポン!とライトが灯るような感じのところもほぼない。
とにもかくにも、おとなしく淡々とした(正しくないかもしれないが、ほ
かにいい言葉が思い浮かばない)進み方。
でも実は、かなり劇的な変化だったりしているんですね。
 
仕立屋つながりで言うと、ずーっと前に『仕立屋の恋』とかいった作品を
観たことがあります。静かな映画(今ならストーカー?)だったように覚
えていますが、主人公は共に飄々としている。といっても、その飄々の質

がまるで違っていた感じ。ま、どんどん忘れていきますし、それでいいん

でしょう。

あれでも古い、時代は変わる!だとか、ウェディングドレスへの特化って
どうなのよ!とか書く人、きっといるんだろうなぁ、今どきのこととて。
この作品、ワタシは面白かった。
 
音楽は、時々鳴らすだけなのが利いていました。8-9人のアコースティッ
クの楽器の奏者でもって、大半はせいぜい5-6人で奏する室内楽ふうなも
の。ギリシャを感じさせる部分は思いのほか少なかったようでした。

そうそう、、、サブタイトルの「人生」は、付けたいのはわかるが、不要

ですな。