20220620(了) |
ミヨー/エクスの謝肉祭
(ピアノと管弦楽のための作品集)
ダリウス・ミヨー(1892-1974): |
(1)エクスの謝肉祭 Op.83b ①~⑫ 18:17 |
(2)ピアノ協奏曲 第1番 Op.127 ⑬~⑮ 12:26 |
(3)5つの練習曲 Op.63 ⑯~⑳ 10:03 |
(4)ピアノ協奏曲 第4番 Op.295 ㉑~㉓ 19:34 |
(5)バラード Op.61 ㉔ 7:46 |
クロード・エルフェール(ピアノ) |
デイヴィッド・ロバートソン指揮/フランス国立管弦楽団 |
録音:1991年4月&1992年6月、パリ、ラジオ・フランス、スタジオ104 |
CD/1993年4月/WMJ/輸入盤仕様の邦盤//ⓒ 1993 Erato/中古 |
<★★★★>(1)(3)(5)、<★★★☆>(2)(4) |
<紹介文> ミヨー満喫の1枚。各作品は何かが語られるというよりエネルギ |
ーそのものが吹き抜けるようだ。 多調が探究された③をはじめ,昨今業界を |
あげて臆面もなく自称している{折衷的な様式の現代作品}が70年前のセンス |
から一歩も出ていないことを教えてくれる。 |
このところ、ピアノと管弦楽の作品のシリーズみたいになってました。 |
まだマルティヌーやクシェネクのものが回って来るかもしれません。 |
タンスマンで触れた彼の師匠格、ご本家ミヨーです。 |
(1)エクスの謝肉祭 ピアノと管弦楽の曲を集めたといっても、所謂協奏曲じゃない。1924 |
年頃に書かれたコミカルな歌入りバレエ「サラダ」から12曲を選んで、 |
演奏会用にピアノと管弦楽に編曲し、幻想曲と名づけられた。 |
交響曲なんかでは、やや遊び心が影をひそめる傾向のあるミヨーだけれど、 |
これは仄暗い曲も含めて実に軽快に並べられ、犬なら小首をかしげる例の |
素っ頓狂なところはほとんどない。でも独特の翳りのある表情は随所に聴 |
かれ、やはりいかにもミヨー。初演(自身のピアノとなんとメンゲルベル |
ク指揮/ニューヨーク・フィル)はきっと大成功だったろうね。 |
①コリソ ②タルタリア ③イザベッラ ④ロゼッタ ⑤善男と悪い |
後見人 ⑥コヴィエッロ ⑦カルトゥッチア船長 ⑧プルチネルラ |
⑨ポルカ ⑩チンツィオ ⑪リオの思い出 ⑫フィナーレ |
ファリャの「三角帽子」なんかで出てくるような踊り⑩、タンゴっぽい⑪ |
など、そのまま踊れそうな曲が多い。フィナーレの⑫が全体のイメージで |
すかね。タイトルは多くがバレエのキャラの名前なんだって。 |
(2)ピアノ協奏曲 第1番 協奏曲、なんてふうに括ると、やっぱりミヨーはちょっと真面目になっち |
ゃう。1933年作曲。へぇ、マルグリット・ロンのために書かれたのか |
・・・。繊細でニュアンス豊かであることは確かだけどね。フィナーレの |
リズムの弾み具合は楽しくミヨーらしい。 |
(3)5つの練習曲 調性の曖昧さだとか、不協和音を柔らかく使うだとか、完全に時代を先取 |
りしていて、現代音楽って肩身が狭いなぁ、という感じ。「なんだ、もう |
やってるじゃん・・・」 新しいことをするのは難しい。 |
もっとも、こういう内容の曲は当時(1921年頃)は賛否両論、コンサ |
ート会場でつかみ合いの喧嘩まで起きたという。 |
ストラヴィンスキーの「春の祭典」からだいぶん経ってるけどね、面白い |
話。刺激的でたいそう楽しい曲たち。 |
(4)ピアノ協奏曲 第4番 ヴィルトゥオーゾピアニストのために1949年に書いたという、技巧的 |
には難しそう(やたらオクターブが出てくる)な曲。手法的には特に目新 |
しい感じは受けないが、”非常に遅く”と指定された第2楽章の、沈潜した |
不思議なバーバリスム的雰囲気が独特。軽く弾むミヨーではよくある曲調 |
の第3楽章との対比の妙。 |
(5)バラード ブラジル風、とよく言われるときのミヨーの曲調で、めちゃくちゃ魅惑的 |
な美しさ。1920年作曲。有名曲「屋根の上の牡牛」のころだそうな。 |
ミヨーって、1920代にもう現代音楽の大事なことはやってしまってた |
のかもしれないね。(そんな面もあるんじゃないかというようなつもりだ |
けど、それでも失礼かもしれません) |