休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

ミヨー/マリンバとヴィブラフォンのための協奏曲

20220104(了)

ミヨーマリンバヴィブラフォンのため

    の協奏曲

ダリウス・ミヨー:1892-1974

 (1)マリンバヴィブラフォンのための協奏曲 Op.278 (18:49)
   ①4:59 ②8:32 ③5:18
    <★★★★△>
 (2)葬送の行列 Op.202
   ④11:43
    <★★★★>

ミヒャエル・ラダノヴィチ:1958-

 (3)イントロヴァージョン (21:50)
   ⑤2:58 ⑥5:28 ⑦3:14 ⑧3:32 ⑨6:38
    <★★★△>

ダリウス・ミヨー

 (4)シンフォニエッタ Op.363 (10:18)
   ⑩3:09 ⑪3:37 ⑫3:32
    <★★★★>
   ネボジャ・ヨハン・ジヴコヴィチ(マリンバ①-⑨)(ヴィブラフォン①-③)
   エルンスト・タイス(指揮)/オーストリア室内交響楽団
   録音;1995年6月、ウィーン、Casino Zögernitz Tot.63:27
   CD/クラシック/協奏曲/ⓒ&Ⓟ Classic Center/musicaphon/輸入/中古

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またミヨーになっちゃいました。
順番的にはちょっと間違えましたね。でも、ミヨーって、猛烈に作曲数が多くっ
て、ラッキーなことに好きですからね、こういうことも起きてしまうってことに
しましょう。
すべて初めて聴きます。
 
(1) これは、ワタシには大傑作です。ただのムード音楽だという方もいるでし
ょうけど。アルバムのタイトルにしている通り。
ケストレーションに対して、合わないとは思わなかったものの、こんなにものの
見事に合うとも考えられなかったですねぇ。
オケの音は、たくさんある交響曲でしばしば聞かれるミヨー独特の涼やかな美し

さのところが集められたような感じになっていて、非常に心地よい。その上にマ

リンバとヴィブラフォンが違和感なく、どころか、ピッタンコ乗っかる。
②のLentoのヴィブラフォンなんてね、ちょっと「水琴窟」を思い出しました。
 
(2) 南欧、地中海沿岸のさんさんと陽光がふりそそぐ街の歴史的建造物。
その日陰になっている部分が妙に暗く見える・・・なんていうような。
「葬送の行列」というほどの人の数は感じられない。
小振りな交響詩ふうな作品。これも(1)の協奏曲同様、いかにもミヨーの音
色で、ヘンな表現かもしれないが、ミヨーにしては真面目な作品ですね。
 
 
(3)この現代作曲家は初めてです。
「イントロヴァージョン」は内向(性)なんて意味でしょうが、そうかなぁ。
ドイツ語で書いてある各章の説明なんか無視して、印象を書きます。
⑤ポップス系のオーケストレーションが混じるアップテンポのせわしない曲。
「ドラムス」がリズムを刻む
⑥弦楽器ごとでばらついたピチカートから始まり、水滴を思わせる。管もそ
れと似たふうにばらばらと密やかに不協和音を奏でる。あとは、ちんちんと

鳴るトライアングルのような音、一発だけ低弦がガリっと鳴らす。やや尖っ

た音楽。

⑦ドラムスとベースのリズムの上で弦やブラス群はいかにも都会的。それも
アメリカの東海岸の。街の人々のやや気取った歩調。
⑧トランペットやホルンが孤独にお喋りしている。高弦がやや不穏な感じに
通奏。どこかで聞いたような・・・
⑨ハードボイルド映画の幕切れの余韻のような曲。ベースやドラムスが土台
にあるせいか、かぶさる弦もブラスもジャズテイストの映画音楽のよう。
(1)のあと出てこなかったヴィブラフォンがちょっと顔をのぞかせる。
 
リズムセクションやハーモニーからして、アメリカ産の音楽というふう。
この曲がなんでミヨーの曲の間に挟まっているのか、わからない。
レヴュアーもそんな感じのことを書いてますな。いや決して悪い曲というつ
もりはないのだけれど、、、説明してもらわないと。
名前からして東欧系の方でしょうか。オーストリア人とある。
 
(4)このシンフォニエッタサウンドは、(1)や(2)と共通するものがあ
ります。ミヨーのオーケストレーションでは、最も「らしい」と感じさせる

ものだけで出来ている。素っ頓狂なところや毒気が一切ない、爽やかな新古

典。

 
ミヨーについては(4)に書いた印象がほぼ全体の印象に近いと思います。
もちろん(1)の協奏曲がメインであって、これだけなら<★★★★△>でし
ょうか。
指揮者の経歴はやや軽めの音楽が得意そうなものでしたが、まあなんでもこ
なす方らしい。写真じゃちょっとわかりにくいでしょうが、クラシック系に
は見えないですね。踊りながらタクトを振りそうだし、マラカスを持たせた
方が似合いそう・・・
ともあれ、このあいだの『管楽とピアノのための室内楽集』より遥かによか
ったです。(古巣の慣れ親しんだ音の世界に撤退≒冒険心の撤退、という捉
え方もできますが・・・)

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