休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

映画『アルプススタンドのはしのほう』

20220401(金)

映画『アルプススタンドのはしのほう』

  城定秀夫監督//小野莉奈/平井亜門/西本まりん/中村守里
  2020年製作/75分/日本/DVDレンタル
  <★★★★>

「第63回全国高等学校演劇大会で最優秀賞に輝いた、兵庫県東播磨
高等学校演劇部による戯曲が原作の青春ドラマ」
 
野球なんぞよく知らない高校3年の女子二人が、夏休みの中のある日、さ
る球場のアルプススタンドの端の方で、自校と強豪校が対戦しているのを
観ている。一応かり出されてらしく、ほぼいやいや。下のほうではブラス
バンドを中心に自校や地元の観客が応援中。
観ているといっても観戦になってるんだか、野球のルールなんてまるで知
らない二人。トンチンカンな会話をしている。二人には一番初めに鬱屈が
あるらしいことが紹介されている・・・
そこへ色白の女の子が一人、席にすわらずスタンドのてっぺんに立って観
始め、次にその子を意識しているらしい男子が、先の二人の近くに着席。
女子二人のうち一人は鬱屈が隠せないまま、勉強や成績や受験の話、クラ

ブ活動に関する話、自分たちや知り合いたちの恋のさや当ての話・・・こ

れらが青春ということなの? と言いつつ。男子のほうは女子3人を意識し

つつ、会話のチャンスをうかがっている。

 
茶道部顧問の男性教師が、道化的に何度か出てきて、応援を鼓舞する。
彼を除くと、この4人とブラスバンドの女性リーダーぐらいにしかセリフ
らしいセリフがない。
試合に出ている選手のことが話題になる。多くの女子の憧れの的らしいピ
ッチャーや、レギュラーになれないくせにやたら頑張るヤツのことなど。
彼女らの鬱屈や片想いなどと、どうやら結びついているらしい。

場所は一塁側最奥のアルプススタンドの端っこ。大半ここだけ。彼らの会

話だけといってもいい特異なシチュエーション映画。

 
野球自体は一切見えない。音だけ。試合の状況は彼らの会話や場内放送、
観客の反応などで大体わかるようになっている。
ホームベースなど、あまりに遠いので(というか、ここはどうやら甲子園
なんやね、そりゃ遠いわ!)よく見えないというのもあるんだけれど、女
の子たちの野球に関する知識があまりにお寒いもんだから、試合の状況は

わかりづらい。それが笑いの種にも、青春の会話のいい味付けにもなって

いるよう。

 
ワタシなんざ、野球じゃないスポーツ部だったし、もてずにおくてもいい
ところだったから、女の子と気軽に喋りあうなんてことは、うんと少なか

った。(そのせいか、大学でたいへん苦労した・・・なんてね、関係あり

ません) 

そんなもんで、こういう会話だけでもうらやましいという気持ちが湧いた
りしましたが、とにかく、彼らは、「中心的な存在でない、活躍できなき
ゃ意味がない、なんてことがしんどくってしょうがない」。
多分こういう視野の狭さも青春の大きな部分。
 
野球に興味のないコと野球の話をするのが大変、とかいう感想もあるけれ
ど、結局のところ、ここでの会話(の感じ)について行くのがたいへんで
した。切実さは伴わなかったのですが、懐かしい気持ちは覚えましたね。
もう遠い昔のことで、、、記憶からすっかり水分が抜けてしまったみたい。
こんなこと言ったら、子どもたちは笑うだろうな。でも、機会があったら
喋ってもいい(てなこと思ってんだが、そのシチュエーションは多分ない)。
 
おしまいに、みなもう社会人になってから、こんなことがありましたとい

うような後日談がくっついていました・・・多分、オリジナルの脚本には

なかったんじゃないかしらん。

 
現実ではちょうどこの4月1日から、18才で一応「成人」ということにな
ったんでした。ニュース番組では、「大人になるということは・・・」など

と訓をたれられている新大学生、高卒で就職したひとたちなどが映っていま

した。

その後はウクライナ侵攻のニュースにかき消されて、ネタになったところに

出くわさない。