休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

ドビュッシー・ラヴェル 管弦楽作品集/ジャン・マルティノン 8-2

20220109(了)

DEBUSSYRAVEL ORCHESTRAL WORKS

/JEAN MARTINON 8CD 2/8

 

【Disc2】ドビュッシー管弦楽曲全集2 (70:05)
 遊戯<1912-13> 18:15
 管弦楽のための映像ジーグ、イベリア、春のロンド)<1905-12>
     7:08/20:47/7:29
 交響組曲「春」(orch.:アンリ・ビュッセル <1913>) 9:31/6:29
 <★★★★>(「春」の第二楽章のみ<★★★△>)

 

     ジャン・マルティノン指揮

  フランス国立放送管弦楽団
  録音;1973年、パリ、Salle Wagram
  CD/クラシック/管弦楽/8枚組/Ⓟ1974・1975 EMI ⓒ2012 Warner Music Group
   /輸入/中古

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【Disc2】ドビュッシー管弦楽曲全集2

バレエ音楽「遊戯」①18:15

タイトルの仏語「Jeux」は英語では“play”のこと・・・か。

こんなお話なんだ・・・ 

 「夕暮れの庭園。テニスボールがなくなって、一人の青年と二人の娘が

  ボールを捜しに登場する。幻想的な光を3人に投げかける大きな電燈の
 人工的な照明は、子供じみた遊びを思い付かせる。隠れん坊をしたり、
 鬼ごっこをしてみたり、口喧嘩したり、わけもなく拗ねたりするのであ
 る。夜は暖かく、夜空は青白い光に染まっている。3人は抱きしめ合う。
 ところが、誰かの手をすり抜けた、もう一つのテニスボールが投げ込ま

 れると、魔法は消える。3人の男女は、驚き慌てて、夜の庭園へと姿を

 消す。」

まとめると「テニスをする3人の男女の恋の駆け引き」。
まあこんな話はいちど読めばいいんだが、この曲、聴いたことがあるのに全
く知らない曲みたい。いやもうこんな素敵な曲だったなんて、バカみたい。
調性はあるよね、なんかあやふやではあるけど。実際曖昧なんだそうな。ワ
タシ、若い時にはその辺がダメだったのが、現代音楽をいろいろ聴くように
なってからは聴ける準備が整っていたのに、聴くチャンスがなかったってこ
となんやろうな。
ドビュッシーの最後の管弦楽曲だそうな。なんとなく「さもありなん」。
この初演(オケの指揮はモントゥー)の2週間後、なんと『春の祭典』(俗
に「ハルサイ」)が初演されて大騒動になってしまったから、その爆発(&
物議)の陰に隠れちゃった。ハルサイも初演はモントゥーだったわけだから、
この感想文とは何の関係もないけれど、モントゥー、すごかったんや。それ
にしても、ニジンスキーなど、ディアギレフの同じバレエ団のスタッフで、
たった2週間後にあのバレエ「ハルサイ」初演だなんて、全く信じられない。

こりゃ、これからも何度も聴かなきゃ!

 

管弦楽のための映像
 ジー    ②7:08 
 イベリア   20:47 ③街の道と田舎の道 ④夜の薫り ⑤祭りの日の朝
 春のロンド ⑥7:29
CD1と同じ、超有名曲なので、書くことというと、CD1と同じようなことに
なってしまいます。つまり・・・この演奏は、すっきり、くっきりと表現した

もので、あとは楽譜に忠実にやったから、音楽そのものを楽しんで!ぐらいの

感覚。

そしてそれが実にいいのですな。見事にカラフル。英国のターナーの絵とは違
って、ワタシには、例えばバルビゾン派、かしらん・・・

 

交響組曲「春」(orch.:アンリ・ビュッセル) 

 ⑦第一楽章 9:31 ⑧第二楽章 6:29

過去に誰の演奏で聴いたのかはっきりしません、アンセルメをLPで持ってい
た気はします。ともあれはっきりしていたのはどうも好きじゃないってこと。
で、今回いい意味で裏切られたのは第一楽章。ビュッセル編曲は「小組曲
に引けを取らない出来だと思います(エラそうに・・・)。 編成は「小組
曲」より遥かに大きい。
エラそうついでに書かせてもらうなら、ビュッセルなのに⑦にも⑧にもワー
グナーはいる気がする。知識のほうが先かもね。それと、ピアノが少ない⑦
にはイギリスっぽい音もあった。でもまあ、これはこれで素敵でした。思っ
たより遥かに。
ところが、第一楽章ではチラホラと聞こえただけなのに、第二楽章ではピア
ノ(2台だったんだ!)が前面に出てくる。これがワタシとってはどうもい
けない。第一楽章とはつながらない。まるで別の曲。なんというか、譬えと
してちょっと違うんだけれど、ヴァンサン・ダンディやフランクがいるみた
いな感じなのね。ビュッセルとしては上手くオーケストレーションをやった
に違いないのに、ここにはドビュッシーが感じられない。
 
この2枚目では、もうちょっと妄想してみますか。天才2人に関して・・・
ラヴェルって、なんかもう作曲家として殆ど完成した感じで出てきて、死ぬ
までそうだったのに対し、ドビュッシーは、始めはいわば凡庸だったのが、
ワーグナーに心酔したり離れて行ったりするようなことを、もたもたと経験
しながら成長して行き、良し悪しの問題では全くないんだけれど、遂にはラ
ヴェルのレベルを追い越してしまった・・・
ん??? これって、青柳いづみこさんの本の受け売りみたいだ。
でもね、互いに似通った音が存在する(にも拘らず)この二人が天才である
ことは異論を挟む余地はないと思うんだけど、どうでしょうか。
この2枚目じゃあ、「遊戯」が傑作だったんだということがわかっただけで
有意義でしたというまとめ。
最後は蛇足でした。