休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

映画『聖なる犯罪者』

20220208(了)
映画『聖なる犯罪者』
 監督;ヤン・コマサ//バルトシュ・ビィエレニア/アレキサンドラ・コニェチュナ
 2019年製作/115分/ポーランド・フランス合作/原題:Boze Cialo
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 <★★★★>

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少年院(と訳されていた・・・)で、尻を貸したり、おもちゃにされたりして
いた男がシャバに出る。入ることになった原因もひどいものだったようだし、
決して道徳心にあふれていたり、倫理観が強かったりするわけではなさそう。
出て、製材所で働くことになっていたところ、そのそばの街で、殆ど出来心ふ
うに神父のまねごとをしたら、信じられてしまう。
おりしもそこのカトリック教会の神父がしばらく留守をしなければならないと
ころだったもんだから、この若い「流れ神父」は、しばらく教会の行事をやっ
てほしいと頼まれてしまう。まさかまさかの展開。断るものの、押し切られて
しまう。
彼は、状況を判断する能力があるだけでなく、スマホや本から要領をすいすい
吸い取って、なんとか神父のミサだけでないいろんな仕事をこなせるようにな
り、さらなる信頼すらも得て行く。成長してゆくというよりむしろ、いたって
ノーマルな感受性を発揮してゆく。ハチャメチャな過去が割引でもされてゆく
かのよう・・・なんてね。
もうひとつ、町ではある交通事故が起きた結果、その後遺症がまだわだかまっ
ているという状況がある。6人の若者が乗っている車に男一人が運転する車が
がぶつかって、全員死亡したらしい。
にわか神父は、成り行きで、その事故のことを調べ始めることになる。
話がややこしくなるが、彼の神父としての力を、危なっかしくも、かえって付
けさせて行く原動力にもなって行く。
他にも強く絡んでくる人物が何人か。教会にへばりついている(≒巣くってい

るかのごとき)関係者、町の有力者。そして悪者扱いされ萎縮している運転手

の妻、、、

 
彼は神父として、ほんとにやってゆけるのか。バレるんじゃないか。それは
いつ、どんな形で? なんてことを気にしつつ観ることになる。
この後のお話はもちろん書けません、、、ワタシはエンディングまでけっこ
う真面目に観ました。
ポーランドカトリック教会がどんなもんなのかよくわかりませんが、ワタ
シの家系にはプロテスタントとはいえ、クリスチャンがぞろぞろいて、ワタ
シも教会なんてものによく行っていました(≒行かされていた)。
宗教問答なんかより、カワイイ娘だとか牧師と教会員たちの諸々が目や耳に
入って、気になりましたから、いやなくせに、こういう話は気になってしま
うという面がどうしてもありますね・・・
と書きつつ、このお話は「そっち」には行きません、想像の範囲内とはいえ、
強烈かつ余韻たっぷりに終ります。
いや、面白かった。
 
今年の正月、年末から調子を崩して入院しているオフクロが頼むので、若い
牧師先生に連絡を取ったら、奥さんの里に帰っていた牧師が豊中あたりから
車を飛ばしてやってきてくれました。
「必要とされている時に、ちゃんと呼んでくださることがいかに大切なこと
か。本当にありがとうございます」
などと逆にお礼を言われたりなんかしまして・・・恐縮と同時に「へぇ、そ
んなもんか・・・」てなもんで、理屈ですよね、死んでからじゃ物理的な会

話はできんのだから。まああとは、召されるときに伴うお願いごとなどを聞

いておられましたっけ。タイヘンだなぁ。

この先生、確かミステリー好き。
オフクロ、施設に戻ってからも、まだ頑張ってますけどね、、、
そんなことをちょっと思い出しました。
原罪がどうのこうのと言いたがる批評家が多いかもしれませんが、ワタシは
そんなふうな意味付けなんぞする気は持てなかった。あの牧師にこの映画を
見せたらどんなことを言うだろう。訊いてみたい気が、ちょっとだけ・・・ 
こういうふうにであれば、興味も湧こうというもの。

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