休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

ディーリアス/ピアノ・デュオによる名作集

20211030(了)

ディーリアス/

           ピアノ・デュオによる名作集

         フレデリック・ディーリアス(1862-1934)作曲
   ピーター・ウォーロック【本名フィリップ・ヘルスタイン】(1894-1930)編曲
   ピアノ・デュオによる名作集
(1)春初めてのカッコウを聞いて(1911/2,1913/4編曲)  5:42
(2)川の上の夏の夜(1911/2,1913/4編曲)           5:29
(3)夏の庭園(1908/11,1912/3編曲)          11:02
(4)夜明け前の歌(1918,1921編曲)              4:33
(5)北国のスケッチ(1913/4,1921編曲)
   第1曲 秋(風がこずえを渡る)            7:39
   第2曲 冬の風景                   4:05
   第3曲 踊り(マズルカのテンポで)          5:46
   第4曲 春のおとずれ(森と牧場と静かな荒地)     8:03
(6)ダンス・ラプソディ 第1番(1908,1913編曲)      11:13.
(7)ダンス・ラプソディ 第2番(1916,1921編曲)      7:27
 
  小川典子 & キャスリン・ストット
  録音;2002年6月、ダンデリド・ギムナジウム/スウェーデン 
  CD/2004年9月/器楽曲/BIS(オーストリア)/輸入&発売キングレコード/中古
  <★★★☆>

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(ジャケット惹句) 小川典子とキャスリン・ストットによるピアノ・デュオ
 のデビュー盤。ディーリアスの名作を、彼の精神的息子と言われる作曲家
 ピーター・ウォーロック(本名フィリップ・ヘルスタイン)がピアノ・デュオ用に編
 曲したものの世界初録音。ディーリアスの音楽を熟知していたウォーロッ
 クだけに、とても自然で効果的。ディーリアスの不思議な世界をピアノに
 移すと、繊細さが増し、透明の極み。イギリス的味わいも独特です。
 
 
上手い編曲だなぁ。
それも2台のピアノのための、というのがいい。
ファンタジー系の(1)から(4)なんて、ものすごくよく聴いたから、オー
ケストラのニュアンスを頭ん中で補おう、補おうとしてしまう。
ピアノ1台じゃ、あのふくよかな繊細さは出ない。2台にすることで “繊細さ
が増し” なんて、ちょっと矛盾するような惹句に繋がったんだよ、きっと。
超有名曲の(1)や傑作(3)なんか、どうもねぇ、頭がオーケストラのサウ
ンドでもってサポートしていないと断言することは出来ない、なんて気取る
ことはない。確実にサポートしちゃってるね、間違いなく。
その点、情景描写にも拘らず、幾分幻想曲に近づくと言えなくもない(5)
になると、オリジナルはむしろピアノのほうかも、というような独自のサウ
ンドの世界を作り得ている気がする。(6)と(7)は、ディーリアスとして
は動きのあるものなのに、それだからこそなのかもしれないが、聴くこちら
側がディーリアスに求めてしまうるものとずれがあって、このアルバム全体
のなかでは、華々しい面を担ってくれているにもかかわらず、ちょっと収ま
りが悪かった。
 
2台のピアノねぇ、馴染むといいもんです。
このCDをたまたま見つけるまで、ディーリアスがピアノで弾けるなんて想
像だにしなかった。
 
また、素敵な「カプリオール組曲」で知っているウォーロックが、ルネサン
ス音楽からバルトークまで広くを聴き、シェーンベルクの英国最初の論文を
書いたり、ディーリアスの最初の伝記までものしていたなんてね、知りませ
んでした。