(ジャケット惹句) 小川典子とキャスリン・ストットによるピアノ・デュオ |
のデビュー盤。ディーリアスの名作を、彼の精神的息子と言われる作曲家 |
ピーター・ウォーロック(本名フィリップ・ヘルスタイン)がピアノ・デュオ用に編 |
曲したものの世界初録音。ディーリアスの音楽を熟知していたウォーロッ |
クだけに、とても自然で効果的。ディーリアスの不思議な世界をピアノに |
移すと、繊細さが増し、透明の極み。イギリス的味わいも独特です。 |
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上手い編曲だなぁ。 |
それも2台のピアノのための、というのがいい。 |
ファンタジー系の(1)から(4)なんて、ものすごくよく聴いたから、オー |
ケストラのニュアンスを頭ん中で補おう、補おうとしてしまう。 |
ピアノ1台じゃ、あのふくよかな繊細さは出ない。2台にすることで “繊細さ |
が増し” なんて、ちょっと矛盾するような惹句に繋がったんだよ、きっと。 |
超有名曲の(1)や傑作(3)なんか、どうもねぇ、頭がオーケストラのサウ |
ンドでもってサポートしていないと断言することは出来ない、なんて気取る |
ことはない。確実にサポートしちゃってるね、間違いなく。 |
その点、情景描写にも拘らず、幾分幻想曲に近づくと言えなくもない(5) |
になると、オリジナルはむしろピアノのほうかも、というような独自のサウ |
ンドの世界を作り得ている気がする。(6)と(7)は、ディーリアスとして |
は動きのあるものなのに、それだからこそなのかもしれないが、聴くこちら |
側がディーリアスに求めてしまうるものとずれがあって、このアルバム全体 |
のなかでは、華々しい面を担ってくれているにもかかわらず、ちょっと収ま |
りが悪かった。 |
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2台のピアノねぇ、馴染むといいもんです。 |
このCDをたまたま見つけるまで、ディーリアスがピアノで弾けるなんて想 |
像だにしなかった。 |
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また、素敵な「カプリオール組曲」で知っているウォーロックが、ルネサン |
ス音楽からバルトークまで広くを聴き、シェーンベルクの英国最初の論文を |
書いたり、ディーリアスの最初の伝記までものしていたなんてね、知りませ |
んでした。 |