スイングジャーナル主催第38回(2004年度)ジャズ・ディスク大賞金賞受賞作品) |
スイングジャーナル選定【ゴールドディスク】 第7期 第16弾 |
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初の全編バラード集、とある。 |
こんなふうに輝かしい(って、日本での評価だけどね)評価を受けている |
にしては、なんだかダサイなぁという1-2回の鑑賞の印象なんですが、こ |
れが少しずつ聴き慣れてくると同時に、ああ、はじめのダサさはちょっと |
違ってたんやな、引きずってしまったものがあったからみたい。 |
とりわけ最初の一聴がタルイ曲①! これでずっこけた人もきっといるだろ |
う、って、ワタシのことだけどね。これはきっとカリブ海、キューバの音 |
楽じゃないか。あの「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」の雰囲気の。 |
(どうやら当たりらしい、キューバのソンのよう。まあそれとボレロの中 |
間みたいな感じの仕上がりだそうな) |
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これに馴染んだら、あとは、泥臭くない、いいバラード集じゃないですか、 |
となった。 |
この馴染み方は、アメリカ人より日本人のほうが少し時間がかかるんだよ、 |
きっと。調子のいいサルサとはちがって、あのジジイババアの鄙びた |
とでもいうような、油臭いくすんだ情緒は、それなりに聴き慣れる必要が |
ある・・・ |
なんてね、エラそうなこと書きましたが、実はいたって安直な感覚からの |
ものです、スミマセン、いつもどおりです。 |
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2曲目からは、コルトレーンの音楽を思わせるところがありまして、ライ |
ナ―に書いている二人の日本人もコルトレーンの名を出している。マルサ |
リスと実際に喋ってその名が出ていたとか。ワタシはこういうライナーは |
ちゃんと読まないことにしているので、コルトレーンの名の理由は不明。 |
でも、線はうんと細いのに、どこか、ワタシもかつて入れあげたコルトレ |
ーン(バラードが異常にうまかったと今でも思います)の求道者のような |
雰囲気が出てますねぇ。 |
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と言いつつ、2曲目からは、1曲目のソンのような曲調はもはや出て来ま |
せんで、ちゃんとアメリカ国内の感じに戻っちゃった・・・ |
長い③は知っている曲で演歌調が好きではありませんが、ちょっとハッと |
する転調がありました・・・ |
楚々としたソプラノの④は、コルトレーン調からは離れたものの、野暮っ |
たいダンスふうでもあって、ひょっとするとマルサリスさん独特の感性が |
濃く出ているんじゃないか、オリジナル大作⑦よりも。 |
⑤はもっともコルトレーン寄りだが、美しさもすばらしい。 |
⑥はソプラノ。調性が不確かで、どこか浮遊するような感覚がいい。 |
メインディッシュの⑦。前半は、こういうと叱られそうだけれど、黒人ぽ |
さが全くなく、コルトレーンから一番遠いかもと思わせました。まあそう |
いう作りのアルバムなんでしょうね。で、後半での盛り上がりはトレーン |
にかなり近づきましてね、ドラムスがエルヴィン・ジョーンズのように重 |
たくドロドロやったら、そっくりだったでしょう、ハハハ。 |
④やこの⑦の前半は、例えば今年3月に感想文をアップした彼のクラシッ |
ク系のアルバム『20世紀フランス音楽作品集』にそのまま入って行けそ |
うな気がしました。(たくさんのミヨーとイベールの「室内小協奏曲」が |
中心)ボーナストラックの⑧は、オーソドックスな(?)バラードで、個性 |
は乏しい。やはり⑦で終るべきアルバムなんでしょう。 |
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ものすごくありふれた感じの美しいバラード集ですが、いいアルバムがた |
いていそうであるように、なかなか飽きの来ないものでもありましたね。 |
これ、いつも大事な点だと思っています。 |