休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

トミー・フラナガン 4 クラシック アルバムズ

20220125(了)

TOMMY FLANAGAN

       /Four Classic Albums

CD1 79:20

JAZZ....It’s Magic

 ①-⑤
 トミー・フラナガン(p)、ソニー・レッド(as)、カーティス・フラー(tb)
 ジョージ・タッカー(b)、ルイス・ヘイズ(ds)
  録音:1957年9月/ニュージャージー州、Hackensack 

The King And  I

 ⑥-⑬

 トミー・フラナガン(p)、ウィルバー・ハーデン(tp/fh)、ジョージ・デュヴィ

 ヴィエ(b)、グランヴィル・T・ホーガン(ds)
  録音:1958年/ニュージャージー州、Hackensack 

Trio Overseas

 ⑭
 トミー・フラナガン(p)、エルヴィン・ジョーンズ(ds)、ウィルバー・リトル(b)
  録音:1957年8月/スウェーデン、ストックホルム
 
CD2 79:59

Trio Overseas

 ①-⑧  (パーソネル&録音 同上)

The Cats

 ⑨-⑬
 トミー・フラナガン(p)、ジョン・コルトレーン(ts)、アイドリース・シュリーマン
 (tp)、ケニー・バレル(g)、ダグ・ワトキンズ(b)、ルイス・ヘイズ(ds)
  録音:1957年4月/ニュージャージー州、Hackensack 
 
  CD/モダンジャズ/2枚組/Ⓟ&ⓒ AVID Entertainment/輸入/中古
  <★★★☆>(「Trio Overseas」は<★★★★>)

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ジャズピアニスト、トミー・フラナガン(1930-2001)を聴いたのはワタシ自身
がまだ20代までで、70年代や80年代なんて、活躍されていたのに全く聴か
なかったですね。
名盤と言われる「オーヴァーシーズ」を久々に聴きたいと思ってリストアップし
ていたものを仕入れてみました。(4枚組でもよかったなぁ)
CD2枚、アルバム4枚分ですが、一挙に行きます。

 

JAZZ....It’s Magic

①③④がフラーのオリジナルであることからも、これはフラーのアルバムのよう
です。
こういう伴奏に徹したフラナガンは、品よくセンスもあるが、柔らかさや手堅さ
のためにいる感じもして、少し物足りない。上手いのにね。
気持ちはわかるけれど音が外れがちなフラーが、ここではさすがに張り切ってい
ると同時に安定感がある。レッドの派手さのないサックスも悪くなく、地味なが
らファンキーさ横溢のバップアルバム。初めて聴きました。まあ忘れてしまいそ
しまいそうなアルバムとはいえ、こういうの、ワタシは好きです。

 

The King And  I

なんとステレオ! そういやそうだ、この辺で多くはステレオになったんだよな。
57年と58年の間に起きた・・・
さて・・・
王様と私」のタイトルだけでなく、このアルバムはすべて夢見るようなロジャ
ース/ハマーステインのミュージカルナンバーで構成されている。
リーダーは前のアルバム同様フラナガンじゃない。ジャケットにも大きく載って
いるウィルバー・ハーデン。アート・ファーマーばりに(そりゃ違うけどね)柔
らかいトランペットやフリューゲルホーン。コルトレーンのプレスティッジの録
音なんかで吹いているのをいくつも聴いた覚えがあります。いいと思えたことは
あまりなかったと思うが、ここではのびのびした感じで、どうして、なかなか美
しくて素敵です。
ドラマーは知らない名前ですが、リズムセクションも手堅く品がいい。デュヴィ
ヴィエのベースはさすが。そして、前アルバムより、フラナガン、当然ソロが多
く、遥かに魅力的。⑪ではこの音、チェレスタかしらん。⑫はピアノトリオの時
間が長くて嬉しい!

 

Trio Overseas

最初の曲を、CD1の最後に入れているのは腹立たしいけれど、両CDの収録時間を
見て、まあしょうがないか・・・ でも、最初の曲が絶品なのだ!このノリがぶ
っ切られてしまう・・・ ハンク・ジョーンズのあるアルバム(多分「The New
York Rhythm Section Of Hank Jones」、大好き!)を思い出した。
それからね、モノーラルに戻ってしまった。音質がこっぴどく違ったので、これ
は、、、やっぱりけっこう残念。
全9曲中、6曲がフラナガンのオリジナル。
このトリオのユニット、長くはなかったように思うのですが、よーくアレンジの
準備がなされ、3人の緊密なまとまりがあるだけでなく、音楽への攻めの姿勢や
緊張感にも満ちている。三人ともいいですねぇ。
遠い異国での録音とは思えない。さすがの名盤・・・
でも、このコンピレーション、このトリオと他の3枚分のアルバムに、なんとい
うか、「違い」がありすぎる気はするな。

 

The Cats

インパルス時代の途中あたりまで、コルトレーンのLPをちょっとづつ集めていま
した。随分たまったはずなのに、大半を処分してしまった。アホ・・・
それはともかくこの「The Cats」持ってたかどうか覚えてません。持っ
ていたような気もします。プレスティッジ・レーベルだった気がするな。ジャケ
ットデザインは記憶にあります。
トレーンが入る以上、一曲一曲が長い・・・見ると全5曲中4曲がフラナガン
曲。これは正味フラナガンのアルバムなんやろうなぁ。
トレーンとしては開眼前というか、シーツ・オブ・サウンドの完成前というか、
いろんな試行錯誤中の普通の出来で、これぐらいの演奏は掃いて捨てるほどある
と思うけれど、フラナガンとしては張り切っている感じ。トレーンの目指す音楽
ってわけではないとはいえ、上出来のハードバップフラナガンは時に猛スピー
ドのアルペジオ⑪やショパン⑫を挟んだりしている。全体的にそれほど個性的と
は言えない。⑫のリズムの変わり方がちょっとヘン。このころだと、タイプは古
いが独特のブロック・コードを持っていた大御所レッド・ガーランドなんかのほ
うが、案外トレーンには向いていたかも、、、なんてね、ついコルトレーンとの
マッチングを考えちゃいましたが、実際のところワタシは分かってなんかいない
のです。それに、64年ほども前の録音に、何言ってんだか。
(ここで地味なギターを披露しているケニー・バレルさん、ワタシが地方都市で
学生をやっていて、せせこましいジャズ喫茶にたむろしていたら、ある日本人評
論家と入ってきて、ワタシの横でコーヒーを一杯飲んでいったのです。思い出し
ました。懐かしい。 ⑬でギターの弦を擦る音がけっこう聞こえますネ・・・)
 
以上、やっぱり「オーバーシーズ」でしたけど、職場でも車中でも、楽しいジャ
ズタイムでした。

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