休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

ブーレーズ・コンダクツ・シェーンベルク 7&8/11

20210717(了)

ブーレーズ・コンダクツ・シェーンベルク

                  (7&8/11)

Pierre Boulez conducts Schoenberg(1874-1951):

  Chamber Works・Orchestral Works・Vocal Works

【CD7】 63:38
(25a)グレの歌 パート1 D1〜D11(1900~ )
    ジェス・トーマス(Te/ヴァルデマール)、マリタ・ネイピア(Sp/トーヴェ)、イヴォンヌ・ミントン
    (Ms/山鳩)、ケネス・ボウエン(Te/道化クラウス)、ジークムント・ニムスゲルン(Bs/農民)、
   ギュンター・ライヒ(語り)、BBCコーラル・ソサエティ、BBCシンガーズ、ゴールドスミス・コーラル・
   ユニオン、ロンドン・フィル合唱団男声メンバー、BBC交響楽団
【CD8】 64.:57
(25b)グレの歌 パート2&3 D1〜D9(~1911)
   ジェス・トーマス(Te/ヴァルデマール)、マリタ・ネイピア(Sp/トーヴェ)、イヴォンヌ・ミントン
    (Ms/山鳩)、ケネス・ボウエン(Te/道化クラウス)、ジークムント・ニムスゲルン(Bs/農民)、
   ギュンター・ライヒ(語り)、BBCコーラル・ソサエティ、BBCシンガーズ、ゴールドスミス・コーラル・
   ユニオン、ロンドン・フィル合唱団男声メンバー、BBC交響楽団
(26)4つの歌曲 op.22 D10〜D13 13:13
   イヴォンヌ・ミントン(Ms)、BBC交響楽団

 

   全ての指揮;ピエール・ブーレーズ
   録音;1974~1986年
   Ⓟ&ⓒ 2013 Sony Music Entertainment/11枚組/現代音楽

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(25a)グレの歌 パート1 D1〜D11
(25b)グレの歌 パート2&3 D1〜D9 
  <★★★△>
浄められた夜」と「月に憑かれたピエロ」の間の作品で、ロマン派と無調の
間といったところ。つまり後期ロマン派に属する作品。実際全くその通りで、
実に濃厚。1911年完成。作品番号がついてません。
 ・・・テキストは、デンマークを代表する(略)ヤコブセンの未完の小説
 『さぼてんの花ひらく』のなかで、登場人物が語る長編詩『グレの歌』(ド
 イツ語訳F・アルノルト)からとられた。その内容は、デンマークで古くから古くか
 ら残っている言い伝えによっており、中世の王ヴァルデマール大王はグレ城
 の美しい乙女トーヴェを愛するようになるが、嫉妬する女王によってトーヴ
 ェは殺されてしまい、怒り狂った大王は神を呪い、天罰を受け、亡霊として
 いつまでも狩りをし続けなければならないようになるものの、トーヴェの愛
 の自己犠牲によって、救済が予感されてゆく――といったもの。若く美しい
 女性の自己犠牲による救済というテーマは、この「グレの歌」に限らず、他
 にも数多くの創作活動の分野で用いられ、名作が生みだされている・・・
                   (他のCDのブックレットから拝借)
声楽陣は語り手と5人の独唱者、それに4声3組の男声合唱と8声の混声合唱
加えて、最低150名を必要とする大編成のオーケストラ、というただならぬ
規模の作品で、まあ、いわば動きのないオペラ。
 
これが無調の「月に憑かれたピエロ」の直前に書かれたとはとても信じられな
いですね、だいぶん前にも書きましたが。
そしてこれもその時書きました。第1部と第3部が大分感じが違う。
事情があってオーケストレーションに時間がかかったり、中断しているうちに、
目指すものが変わってしまったとしか言いようがない。
 
第一部と第二部は、確かにワーグナーの息子であって、つまり後期ロマン派。
ワタシには、まぎれもない、濃厚なワーグナー臭だと思います。
マーラーR・シュトラウスの少し先を行く感じで、大オーケストラと独唱と
合唱による深い世界。
一方、第三部ではその臭いが大分消えている。ワーグナー臭さが消えた後期ロ
マン派。
好きでないシュプレヒシュティンメも出てくる(第三部、D-9)けれど、そう
長くなく、全体のサウンドも嫌いじゃない、むしろ好きなほう。それに、シュ
プレヒシュティンメから普通の歌唱にふっと切り替わるところなんざ、妙にい

けてます!そしてとても感動的なエンディング・・・ シェーンベルクらしく

なーい!

 
比較した演奏は、インバル/フランクフルト放送響のPCM録音(コロムビア)盤。
迫力に劣るわけでもなく、さすがに繊細で美しい音。ブーレーズ盤と違うとす
ると、よりオペラっぽく、面白いことに、なんだかオペレッタぽさとかウィー
ン情緒のようなものを、ふっと感じた気がしたことでしょうか。
でも、曲に対する感じ方に大きな違いはなかったようです。
結局のところ、音楽劇『幸福の手』やモノドラマ『期待』より出来上がったの
は遅いのだが、ワタシはこの2曲のほうが好きですね。
 
そうそう、CD4の最後に入っていたジェシー・ノーマンが歌う「山鳩の歌」は
第一部の最後の曲でした。気付いてませんでしたね。情けない気もするが、ま
あしょうがない、その程度の知識や記憶です。
 
(26)4つの歌曲op.22 D10〜D13 13:13
   イヴォンヌ・ミントン(Ms)、BBC交響楽団
  <★★★★>
このオーケストラルサウンドは絶品! そして歌のミントンさんも。
調性からは自由になっている感じなのが妙にうれしい。(こんな表現をしてし
まうことに、我ながら不思議な思いにとらわれます。)
大作の余白に入っているわけですが、「余白」用では勿体ないほど。
 
勘定しちゃいますねぇ、わかってます、ようやくあと3枚・・・