休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

ブーレーズ・コンダクツ・シェーンベルク 9/11

20210814(了)

ブーレーズ・コンダクツ・シェーンベルク

                   (9/11)

Pierre Boulez conducts Schoenberg(1874-1951):

   Chamber Works・Orchestral Works・Vocal Works

(27)オラトリオ「ヤコブの梯子」(フラグメント) 

   Die Jakopsleiter(1917-22)

   (オーケストレーション:Winfried Zillig、テキスト:シェーンベルク)D1-11 47:35

 ①「右にいても、左にいても、将来に目を向けていても」(ガブリエル、合唱)4:51

 ②「問いかけもせずに?」(合唱、ガブリエル)4:46 

 ③「その調子で!先へ!」(ガブリエル、指名された男)3:54 

 ④「お前はいつも自分に満足している」(ガブリエル、扇動的な男)2:09 

 ⑤「この二者択一」(ガブリエル、奮闘する男)3:54 

 ⑥「彼と汝等の意志に対して」(ガブリエル)2:25  

 ⑦「私は近寄れない、何故なら近寄る時に私は負けるからだ」

   (選ばれた男、  ガブリエル)5:40 

 ⑧「主よ、私の不遜をお許しください!」(修道士、ガブリエル)5:10 

 ⑨「主よ、私は一生涯この時間を待っていました」(瀕死の男)3:30 

 ⑩「お前が再び光に近づくのは」(ガブリエル、魂、合唱)3:25 

 ⑪大交響間奏曲 7:25      

 (ソリスト)     

    ガブリエル :  ジークムント・ニムスゲルン(Bs)  

    指名された男:  ケネス・ボウエン(Te)  

    扇動的な男:   イアン・パートリッジ(Te)  

    奮闘する男:   ポール・ハドソン(Bs) 

    選ばれた男:   ジョン・シャーリー=カーク(Br) 

    修道士 :      アンソニー・ロルフ・ジョンソン(Te) 

    瀕死の男(女声):オルトルン・ヴェンケル(Ms) 

    魂 :       マディ・メスプレ(Sp) 

     BBCシンガーズ、BBC交響楽団

(28)室内交響曲第1番 Op.9(1906) D12 19:43

         アンサンブル・アンテルコンタンポラン

(29)映画の一場面の伴奏音楽 Op.34 (1929-30) D13  8:25

    BBC交響曲

 

  録音: (27)1980年4月、パリ、ジョルジュ・ポンピドー・センター、IRCAM 

      (28)1979年9月、パリ、ジョルジュ・ポンピドー・センター、IRCAM8    

      (29)1976年2月、ロンドン、EMIスタジオ     (【CD9】Tot.75:43)

  全ての指揮;ピエール・ブーレーズ
  Ⓟ&ⓒ 2013 Sony Music Entertainment/11枚組/現代音楽//輸入/中古


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(27)オラトリオ「ヤコブの梯子」 D1-11
   <★★★★>
5年前にこの演奏のことはブログにアップしています。読んでみたら、今回聴い
ての印象とほんど同じようなことを書いていましたね。そして、気に入っている。
コピーしてもいいぐらいです。
こんなタイトルにしたら総括したことになるんじゃないでしょうか・・・
 『「ルカ伝」(ルカによる福音書)をもとにした宗教的思索組曲
シェーンベルクがテキストを作ったそうですが、こっちはもともと宗教談義を気
にしつつ聴く気はさらさらない。だからちゃんと聴けているかどうかは大いに怪
しいわけですが、いまさらそんなことを言ってもしょうがない。ガキの頃から宗
教曲は聴いてきた。それでも歌が苦手だし、ここじゃあ、時には更に苦手な
「シュプレヒ・シュティメ」で歌われたりもする。
でも、それを補って余りある、とんでもなくすばらしいオーケストラルサウンド
が楽しめてしまったのですね。一つ前の『グレの歌』とはまるで違って、一皮む
けた(調性を離れた)音楽の完成度の高さがあって、一つのピークに近づいてい
るとまで思わせる。
そりゃ音楽全体を聴いていることにならんだろうと言われても、素敵なものは素
敵であって、じゃあどうしろというんだと、ケツマクリせざるを得なくなっちま
う・・・ 案外この辺は、本音なのです。

思い付きみたいなもんですが、何か違うことを書くとしたらこんなことでしょう

か。

 
さて、いたって具体的なことです。シュプレヒ・シュティメ以外にも大いに苦手
なものはあって、D10のソプラノの非人間的な高音。こういう無理して出す声は
楽しみようがない。その代わり、最後のD11でもって陶然とさせてくれるので、
帳尻は合うんですけどね。
 
もっとも、このオーケストレーションは奥さんが頼んだツィリッヒというかたの
手になる部分が多くあるようで、主に広範なんだろうとは思うものの、ワタシに
ゃよくわからん。解説にも書いてはいなかった。でもこの御仁、シェーンベルク
をよほどよく知っていて、能力もあったんでしょう。
そして、構想では出来上がっている部分は第一部。第二部はまるっきり未完成で
で終わったわけだから、「フラグメント」、つまり「断章」みたいなものになっ
た。残念でした。
 

(28)室内交響曲第1番ホ長調op.9 D12 

   <★★★☆>

小さいオケによるものであるために、斬新なサウンドに聞こえなくもないものの、
これはいかにも後期ロマン派のものという感じが強い。
 

(29)映画の一場面への伴奏音楽op.34 D13 

   <★★★★△>

どういう映画のつもりだったか、この曲、少し映画としてはオーバーだけど、
1930年頃だと思えば、実際に使われれば、そうとうぶっ飛んだものというこ
とになったに違いない。こんないい音では録られないのみならず、一音たりとも
変えないなんて駄々こねたとすれば、そもそも使われっこない。
それも納得。
較べると、前曲(28)なんざ、古色蒼然。
 
アルバム作成上の都合、こういうところに(28)と(29)をくっつけたわけで、
あまりいい案だったとは言えない。(28)でガタっと雰囲気が変わってしまう。
でもまあ、レコードなんてままそういうことが起きる。ましてセットものですか
らね。『モーゼとアロン』の余白に入っている室内交響曲第2番とはわけが違う

・・・ もっとも、室内交響曲2つってのは、とかく余白用の扱いが多い気がす

るなぁ。

 

さて、最後はその『モーゼとアロン』の聴き直しです。感想はいつになることや

ら。暑さが戻ってきたことですし。

 ※

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          (以前聴いた時のアルバム・ジャケット)