休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

『冒険者たち』と『サムライ』の音楽

20210620(了)

サントラ/

   冒険者たち』&『サムライ』

  ①-⑪ Les Aventuriers 22:15
       <★★★☆>
  ⑫-㉑ Le Samouraï 21:44
       <★★★★△>
   ㉒-㉓ Le Samouraï se remixe(パート1&2)6:02
   作曲:フランソワ・ド・ルーベ(1939-75)
   CD/2005年/仏Universal/輸入/中古
 
     映画「冒険者たち」 1967年/R・アンリコ//A・ドロン/R・ヴァンチュラ/J・シムカス
     映画「サムライ」 1967年/J・P・メルビル//A・ドロン/N・ドロン/F・ペリエ

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シェーンベルクのセットものの途中になにか挟もうと考え、まるっきりジャン
ル違いのものを選んだ。
そんなにシャカリキに追いかけた音楽じゃなくて、まあ思い出深いからという
くらいの感じでした。どちらも学生時代に観て、そこそこ覚えているのですが、
音楽のほうでは、断然『サムライ』を強く意識しての選択。人気としては映画
も音楽も多分『冒険者たち』のほうが高いでしょうねぇ。
 
聴くのは本当に久しぶりです。
 
冒険者たち』;
“ブリージーな口笛とギターによる第一主題と、スリリングなピアノとストリン
グスによる第二主題の組み合わせとなっており、スコア全体がこの2つの主題の
バリエーションで構成されている” 
と紹介されている通りで、口笛のメロディは一世を風靡したもの。
よく知られたクリスティアーヌ・ルグランのスキャットだとかジャズっぽいサ
スペンスなんかも、ド・ルーベのものはみな独特だけれど、ほとんどが始めに
書いた口笛のメロディに収斂してゆく感じ。それが人気でもあると思う。
レティシアという名の女性を演じたジョアナ・シムカスが素敵でね、一時的に
熱を上げ、その後意外と早めに冷めたものの、印象は強かった。
二つの主題がものの見事にアレンジされ組み合わされています。と書きつつ、
アルバムとしてのまとまり具合は『サムライ』ほどじゃないんですけど・・・

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『サムライ』;
“アパートの狭い室内にたたずむジェフを捉えたタイトル・バックに流れる「Le 
samouraï」 が、主人公の孤独感を見事に表現している。サスペンスフルなイ
ントロから寂寥感に満ちたオルガンによるメインの主題に展開・・・”
という映画音楽サイトの主の解説。
曲調のヴァラエティの点では『冒険者たち』のほうが断然勝っている。
となれば『サムライ』は単調なんじゃないか。
実際それは正しいんだけれど、それが退屈にならない。曲調のつながり具合や
調子(≒雰囲気)に統一感があってまとまっているのがいい。
考えてみると、メインタイトルをはじめとして、「ミニマル・ミュージック
という言い方もできる。それくらいどのアレンジも余計なものが削ぎ落とされ
ている。ミニマルであっても(かどうか、確かではありませんけどね)こんな
ふうにニュアンス豊かな音楽になる。その見本みたいなもの。ミニマルには警
戒するワタシが、こんなことをつい書いてしまう。
今回じっくり聴いてみて、嬉しいことに非常に魅力的でした。ほれぼれします。
この独特さ加減、今はもう忘れられてしまっているんだが、勿体ない話や。
 
「サムライ」のあとに2曲ボーナストラックがついています。一つはピアノだ
けの「原曲」っぽいもの。二つ目は、このころにはなかったリズムと合わせた
りしていて、多分あとでつけ加えたリミックス・ヴァージョン。なくてもいい。

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どちらも映画のムードや色彩にバッチリ合ってましたっけ。
そしてどちらも小編成。こんなにセンスいっぱいの音楽を付けて、映画を食

うぐらいに印象に残る仕事をした、稀有な才能の音楽家だったと思います。

(この1枚で断言することではないか。もっと聴かんとアカン)

1939-75 とあるから、ド・ルーベ、随分若くして亡くなったんですねぇ