「はるかな国」って?
20210605(了) |
アストリッド・リンドグレーン/『はるかな国の兄弟』
A.Lindgren/BRÖDERNA LEJONHJÄRTA/1973 |
大塚勇三 訳 |
2001年/岩波少年文庫/中古 |
<★★★> |
<ヨナタンとカールの兄弟は、楽しい生活を期待しながら、はるかな国ナン |
ギヤラにやってきた。しかし、2人を待ちうけていたのは・・・、怪物カト |
ラをあやつり村人を苦しめている黒の騎士テンギル。これを倒そうと、2人 |
は戦う決心をする。生と死、愛と憎しみ、正と邪との戦いを織り込みながら、 |
勇敢な兄弟の姿を叙事詩風に描いた作品・・・ |
どういう推薦を受けて手に入れておいたのか、もう忘れてしまいました。 |
これはネットでの紹介文だが、肝心なことは、ネタバレになってしまって興 |
趣を削ぐだろうということででしょう、書いてありません。 |
原題どおり「レヨンイェッタ兄弟」としなかったのはともかく、邦題にも苦 |
労したよう。 |
なのに、以下、大いにネタバレになってしまいます。 |
テーマは、強く美しい兄とひ弱な弟との兄弟愛。カルマニヤカとナンギヤラ |
という二つの「死の世界」と、彼らの死までの(と、そこが書きにくいのだ |
けれど)不思議ないきさつ。そしてその世界に巣くい村人を苦しめる黒い騎 |
士と、その召使的なとんでもなくでかい竜と闘うことになる、これまた不思 |
議な、テンポが感じられないスペクタクル。 |
“えっ? 冒険譚? ・・・死んだんじゃなかったっけ?” |
読み始めてしばらくしてからのワタシの感想の一つです。 |
リンドグレーンて、「長くつ下のピッピ」とか「やかまし村の・・・」とか |
なら、ぽかぽか陽だまりのようなイメージと共に、一応知ってはいます。こ |
っちはそこまでですね。それらとは別筋の作品らしい。 |
子ども用の言葉遣いがなされている訳文が、しっくりきたとは言い難い。 |
むしろ普通な言葉でよかったような気がするんだけどなぁ。 |
これらの世界を、わかる、わからない、なんて別に気にせず、ごっくり呑み |
込んでみてくださいな、とでもいうんだろう、きっと。 |
ウーン、なんでまたこんなへんてこりんなものを読み始めちゃったんだか。 |
でもまあ、こちとら、死はさすがに近づいてきましたからね、ヘンテコリン |
なんて言っておれないかもしれないが、孫にでもプレゼントするイメージで |
考えてみて、どうなんやろう。 |
ウーン・・・孫にあげる本の候補にはならないだろうな。 |
大真面目に、孫の顔など思い浮かべながら考えたわけじゃありません。ほん |
のチラッとです。 これをもってして書くのも憚られますが、徐々にフィクションから離れてき |
たというか、めんどくさくなってきてしまっていることを感じます、自分の ことです。 |
年齢とか、「終盤」へ差し掛かったことと、大いに関係があると思う。
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まあそんなことはどうでもいいですね。 |
ともあれこれは「死の世界での冒険譚」という言語矛盾のようなお話で、作 |
者のダークサイドふうなものも見え隠れする不思議なファンタジー。子ども |
も当然読めるけれど、記憶に残っても長く不可解なままになるんじゃないか しらん。 |